昨日の夕方、予約してあった小児科のアレルギー外来へ行ってきた。
前回、起立性調節障害の検査をして異常がなかったので、その後についていろいろ質問された。
あみは、この頃、毎日、3時間めから登校している。
診察の間中ずっと、患者用の回転椅子に変な座り方をして、くるくる回っているあみを見て、主治医が、
「授業はちゃんと聴けるの?」
と聞くので、
「学校では動けないんです」
と答えたけど、
「授業は聴けてるんだねー」
と、不審そうに言っただけだった。
目の前でくるくる回る落ち着きのないあみの姿に気を取られていたから、場面緘黙・場面緘動で学校では固まってしまうなんて、想像もつかないよね。でも、この場では、あまり関係ないので、私もそれ以上、何も言わなかった。
次は、喘息の薬、キプレスを春になったらやめてみようと言う話の確認。予定通り、やめてみようということに。
それから本題。食物アレルギーの話。
今は沸騰してから10分のゆで時間で、卵白を1日おきに食べているけど、あみが、
「2日おきにしたらどうか先生に聞いて」
と言っていたので、そのことを確認。OKが出た。
小麦の経口免疫療法をしたいと、あみ自身が言い出したので、そのことを相談。
最近、食物アレルギーの治療に主体性が出てきている気がする。卵を食べる日とか、自分で意識していて、私が忘れていても、「今日は卵の日だよ」とか言ってくる。
血液検査が必要とのこと。前回が2年前で、ω-5グリアジンとかいうものの数値が高いので、これがもう少し下がっていないと難しいかもしれないという話だった。
ここから、あみの態度が変わる。
「やだ」
血液検査を拒否。私と主治医とで代わる代わる説得するも、「やだ」の連発。
ご褒美で釣ろうとしても、無理。
ここに来るまでは、採血にかなり前向きだったんだけどな。
しかたないので、次回の予約をして帰ろうとしたら、急に、
「やる」
と言い出す。
気が変わらないうちに、と、検査項目を決める。この相談には、あみも参加。
大麦、小麦、ライ麦、卵、えび、かに、いか、ピーナッツ、ハウスダスト、ダニ、スギ花粉等々。
採血は、暴れて泣き叫ぶ恐れがあるから、小児科の処置室でやってもらいたかったのだけど、「あちらにも人手はあるから」と、病院中の患者さんが来る検査センターへ行くように言われた。
ヒヤヒヤ。
検査センターの受付へ行くと、誰もいない。呼び出しボタンを押して、待つ。出てきたのは採血担当の男性が一人。
おーい。人手は?
話が違うと思いつつ、採血担当の男性と、あとから鍵を持って来た女性一人について、採血室へ。鍵を開けて入るんだから、当然、他には患者さんがいない。それは、ラッキー。
午後の遅い時間だったから、こんな感じなんだよなー。人手もないさ、そりゃ。
あみは、指示通り、指定された椅子に座ったものの、まだ、抵抗ぎみ。それでも、自分で、
「ここがいい」
と言って、手の甲を示した。病院に来る前にも私にそう言っていた。前回、採血したとき、ひじの裏では血管が出なくて、手の甲でやったらすぐ取れたのだとか。実は、私もひじの裏の血管は出にくくて、下手そうな人に採血や点滴をしてもらうときは、最初から手の甲を指定する。
「いやー、そこはおじさん、怖いなぁ」
と言いながらも一応、手の甲を見て。ついでに、見るだけだからと、ひじの裏を一応、見る。
「前、やったとき、ここ(手の甲)でやったら、痛くなかった」
とあみ。
「そうだねぇ。やっぱり、こっちのほうがいいかな」
と、手の甲に決めると。
今度は、さっき出ていた血管が出てこなくなり。
「ごめんねぇ。おじさん、じゃないか、おじいさんだね、躊躇しちゃったのがいけなかった。最初からここですればよかったね」
それから、手を下に下げたり、グーパーグーパーを繰り返したり。
この辺りで、採血室のドアの外に何人か女性スタッフが現れて、大丈夫か聞いてくる。小児科から連絡があったのかもしれない。採血室に一緒に来た女性スタッフが「大丈夫」と返す。
さてと。となると、やっぱり、あみは怖い。手をひっこめかける。
針を見せてくれる。あみに使う針と、大人用の針。
「赤ちゃんに使うのと同じ細い針だよ。大人用の針はこんなに太いの」
「痛い?」
「嘘はつけないからねぇ。ちょっとは痛いよ。転ぶよりは痛くない。頑張って、一つ大人になろう!」
やっと観念して、じっとするあみ。
注射針はすんなり血管に入り、そこからは、もう、余裕。一言二言、採血してくれている人と言葉を交わす。
あっさり、試験管に2本、採血できた。
私は、もう、感激。感激。感激!!
前回の採血の時は、私は寝込んでいて同行していないし、夫は採血の現場に立ち会わなかったから、あみ自身の「泣いたけど暴れなかった」という言葉しかしらないんだけど、それでも、今日の手のひっこめ方からすると、実は暴れたんだと思う。
それ以前は、年に一度は採血していて、その度に、泣き喚くわ暴れるわでたいへんだった。小2の時は、病棟からも看護師さんが応援に来て、5、6人で抑えつけてやっと採血ができたくらい。毎年毎年、そんなだったから、私としては、可哀想に思うより、恥ずかしい気持ちのほうが強くなっていた。
もう、いい加減、大きいのにって。
それが、あんな風に、大人しく、ちゃんと採血してもらえて!感動!!
「転ぶより痛くなかった」
と、本人も誇らしげ。ホントに一つ大人になったね。
「来年もあの人にやってほしい」
なるほど。採血担当の人が気に入ったのね。自分のことを「おじさん、じゃないか、おじいさんか」とか言ってたのがポイント高かったらしい。お父さんと歳変わらないと思うけどね。いるといいねぇ、そのとき。
頑張ったね、すごいね、大人になったね、と、最大限に褒めまくった。
たいして痛くないことが実感できたから、次からは大丈夫だろう。
あまりに嫌がるから、アスペルガー症候群からくる感覚過敏か何かかもしれないと思ってたから、そうでなくてよかった。変な方向にたくましい想像力の問題だったのかな。
帰りには、寄る予定のなかったスーパーに寄って、ご褒美を買いましたとも。乳酸菌ショコラ。いや、こんなんでよかったのね。私は玩具とかもっと大きいものをねだられるかと覚悟しておりましたよ。
後は、来月23日に結果を聞いて、負荷試験ができるかどうか決まる。先に進めるといいな。もう5年生だからね。私が寝込んでいて治療に関われずに遅れたこともあるし。
そうそう、あみは場面緘黙があるけど、ここでは発動していない。名前を言ったり、きちんとした受け答えをしたりはできないけど、上のようなやり取りはできる。
すごーく、不・思・議。