夏休みを終えて2日目になります。超・超・超多忙です。時々息をすることも忘れてしまいます。これから3月まで特急列車に乗ったように一気に突き進むのですね。

私は、高校生の就職を担当しています。今の高校生は本当に大変です。しかし、首都圏、中部地方を中心に景気は順調に回復し、求人はうなぎのぼりです。愛知県ではバブル期をしのぐほどの求人数があり、逆に人手が足らずに困っているそうです。(うらやましい話です)

しかし、なぜか高校生の就職内定率は100%にはなりません。なぜだと思いますか?答えはさておき、とにかく人でのほしい企業では、日本人の労働力ではなく海外に労働力を求めるようになりました。こうなってくると労働力の競争市場は日本の高校生だけではなく、安く質の高い海外の労働力と競わなければならず、また新しい競争社会が生まれたことになります。


さて、東京、大阪といった首都圏でも求人数は非常に多く軽く1倍を超えています。しかし、ここでも高校生の就職内定率は100%にはなりません。私の県は比較的地方の県なのですが、地方都市では「地元志向」の高校生が多くて問題になっています。「県外では働きたくない」という子供たちが多く、そうした子供たちの要望を満たすだけの労働力は地方都市にはなく、毎年多くの未就職者を出すことになります。


しかし困ったことに「危機感」はほとんどありません。家族は「アルバイトして小遣いだけでも稼ぎなさい」と子供のフリーター化を容認します。なぜでしょう?そのひとつの要因に親の育った時代背景があります。丁度、今高校生の親たちはいわゆる「高度成長期」に高校を卒業した頃の親たちです。その頃がどんな時代だったかというと、求人倍率20倍とか30倍。企業が学校に対して「生徒を一人でもいいから受けさせてほしい」とお願いに来てくれていた頃です。そんな時代を生きてきた親たちなので、いくら理屈では分かっていても染み付いた「売り手根性」はなかなか払拭できません。「そんなに条件の悪い仕事しなくてもいい!お母さんがご飯くらい食べさせてあげる」となるわけです。お母さんの頃には辞めても、辞めてもいくらでも仕事があったのですが、いまはないのです。

もうひとつには少子化の問題があると思います。少ない子供を手塩にかけて育てて、子供がいくら大きくなって親から離れなければならない時期が来ても「子離れできない親」が非常に多く感じます。子離れできない親の子供は自分から生きていくという、生物としての本来の行動パターンもなくなります。親に依存し、親を馬鹿にし、ちょっと気に入らなければ親に暴力を振るう。挙句に殺人まで犯してしまう例もあります。


子供たちは自分で生きていかなければなりません。

親は子供よりもずっと先に死んでしまいます。


そして・・・・


子供達は親のペットではありません。


子供達には自分の力で生きていく教育が必要です。今までの日本の教育は肝心なことを忘れていました。ものすごく基本的なことなのですが、「どうやって生きていくか」を誰も教えていなかったのです。そして、日本は泥沼のような受験戦争に突入し、いわゆる「いい学校」に行けば「いい大学」に入れてそして「いい会社に入れる」という呪縛にいまだに縛られています。この方程式はすでに大きく崩れ「いい会社」までいけたとしても「いい人生」が待っているかというとそうではないことが非常に多くなりました。子供達にとって「いい会社に入る」ことはゴールであり、そこから先の「幸せになり方」について、つまり「どう生きていくか」については何も考えずに人生の25%を受験・勉強という偏った能力を伸ばすことに全精力を使い込んできたのです。親も、ここまでは応援できてもここからは「なにをどう応援したらいいのか」分からない・・・・・


もちろんそうとばかりはいえません。ものすごく幸せになっている人たちもたくさんいます。


しかし、生き方教育・あり方教育は受けたことがなかったはずです。


生きていくってどういうことなのですか?お父さん、お母さん・・・・

幸せってどうやったらつかめるのですか?先生・・・・

私の夢って何?


人生を「成功」という言葉で飾られて生きてきた22歳はとても大きな壁にぶつかってしまうのです。


皆さんは子供達に自分の「夢」を語ることができますか?

皆さんは子供達に自分の「生き様」を語ることができますか?

皆さんは子供達に「幸せ」ってどんなことなのか、教えることができますか?


いま、キャリア教育が本当に求められています。<つづく>