登場人物
 Aさん(28) プログラマー 1型糖尿病 病歴2年

 Bさん(42) 設計士     2型糖尿病 病歴18年
 C先生(48) (百戦練磨の)糖尿病療養指導士

二人とも強化インスリン療法中。
1日4-6回の血糖測定を行っています。
今日はひさびさのIDDM会。

A: 「血糖測定ってなんだかんだで痛いですよねー。
   オレ、指ではかるとたまに腫れちゃって、
   キーボード打つのツライんですよ。」

B: 「ホントに?オレは腕で測ってるよ。
   腕だとあんまり痛くないからやってみなよ!」

A: 「(ガーン) 聞いたことなかった!!」

(百戦練磨の療養指導士Cさん の話が始まる)

C: 「血糖測定は指先だと痛いですよね。
   でも腕やふとももで測ると値がズレるときがあります。
   それは食後とか運動後とか、血糖値が急に動く時です!
  手のひらはわりと血糖値がズレにくく、
  痛みはほどほどですよ


B: 「(ガーン) 聞いたことなかった!!」

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Aさんの1型糖尿病やBさんのような若年発症2型糖尿病では、
良好なコントロールと低血糖回避のために、
1日4-6回のインスリン注射と血糖測定がおこなわれることがしばしばあります。


血糖測定は大事ですが、指先での血糖測定の指導が広くされているのではないでしょうか?
指先の血糖測定は最も正確ですが、一番痛いです。
指先は繊細な作業をするために、神経がたくさんあるためです。


糖尿病治療に関する調査はかなり細部まで行われています。
今日はアメリカ糖尿病学会の機関誌「Diabetes Care」の2つの報告から
血糖測定部位の違いによる、痛みと測定結果のブレ
について紹介します。
(参考文献) http://care.diabetesjournals.org/content/26/4/981.short
        http://care.diabetesjournals.org/content/25/6/956.full


方法、、

糖尿病患者さん86名を対象に栄養ドリンクを飲んでもらい、
飲む前飲んだ後(60, 90, 120分)、
指先・手のひらの下の方・前腕・ふとももで、
同時に血糖値を測りました。
 …痛そぅぅ(ノ゚ο゚)ノ

さらに、その後有酸素運動を15分間行い、運動後の血糖値
再度4か所で測定しました。


結果、、、

空腹時の血糖値は、どこで測ってもほぼ同じでした。
ドリンク飲んだ60分後の血糖値は、腕・ふとももで低くでました
運動後の血糖値は、逆に腕・ふとももで高くでました
手のひらでの血糖測定は、指といつも同じくらいでした。

どこで測るのが痛かったか?というアンケートでは、
指先が一番痛く
手のひら・前腕・ふとももは同じくらいでした

ここまでだと指先は手のひらに負けてます。
しかし、指先にも一番のものがありました。
指先は一番、「血糖測定を失敗しにくい」場所でした。

血糖測定のコツと手のひら採血を2血糖測定のコツと手のひら採血を2分半の動画で紹介♪
で動画紹介しているので、よかったらみてください。

まとめ!!


前腕やふとももで血糖値を測定すると、
血糖値の変動についていくのに時間がかかる。
…言いかえると
  食事で上がった血糖値を、低く測定してしまう。
  運動で下がった血糖値を、高く測定してしまう。

血糖測定結果がブレる腕やふとももは空腹時だけにしておいた方がよさそうです。
手のひらは、安定していて、かつ痛みが少ない場所です。

通常血糖測定が指先で指導されるのは、
①値が正確で、②失敗しにくい
からだと推測されます。

Aさん・Bさんのように1日何回も血糖値を測るひとは、
手のひらの測定も検討してみてください!


個人差があるので、必ずこの通りとは限りません。
「たくさんの人で試すとこうなる。」ということです。
この記事が、いろんな方法を試すきっかけになればと
祈っております。
自分なりの最良の方法を見つけてください!!

追伸)
みなさまのブログを読んでいて、
指先をつかう仕事の方は、
血糖測定がしにくいというのをみかけて書きました。
ブログをやっている皆様、誠にありがとうございました。



糖尿病を理解して ストレスフリーな毎日を!-穿刺部位




この研究は外国でされています。
日本でも検査人数が少ないながら、同様の研究がされています。
グルテストNEOセンサー でおなじみの三和化学さんのデータでは、
日本人でもこの報告と同様の傾向があることを確認しました。
三和化学さんありがとう!!
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