通年観光計画に邁進しながら観光都市建設を否定する市長、その真意は⁈ | 地方都市は死なず! 滝沢いっせい ブログ爽創通信  *09016693890*kpissey@rf6.so-net.ne.jp*

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上越市議会議員滝沢一成のブログです! 日々感じたこと、考えたことを、できるだけ素直に書いてゆきます。
滝沢一成のテーマは「雪」「老い」「貧困」、これらを追及します。

中川市長の観光施策について、一般質問しました。

先月中川市長は通年観光計画の中間とりまとめを出してきました。市民、議員の関心の高い観光施策ゆえ、この度の12月定例会一般質問では8人もの議員がこの計画について質しました。

私もその一人です。そのやりとりは上越タイムス、新潟日報等で相次いで記事として取り上げられましたが、いずれも記者の考え方からでしょう、力点の置き方が異なり、私の主張したかった事と微妙にずれている感がありますので、この場を借りて説明させていただきます。

「そもそもなぜ観光都市になる必要があるのか」というのが、私の質問のすべてと言っても過言ではありません。

一点申し上げておきたいのは、「観光都市になる必要はない」と主張した訳ではないという事です。「観光都市にする事は基本的に賛成だが、そうであれば何故そういう方向へ向かうのか、根本の思想をはっきり示す事が必要ではないか」という考えです。

多くの市民、民間団体、企業がすでにそれぞれのフィールドで、具体的な観光への取組みを始めています。雁木町家の再生と活用、町家民泊、飲食店などの展開、鉄道パーク、自律した謙信公祭の模索…プレイヤーであるそうした皆さんの活動を支えるプラットフォームづくりこそ、いま市がやるべきことです。

そのリーダーである市長は、観光に携わらない多くの市民も「なぜ観光化に力を注ぐのか」理解できる「思想」あるいは「方向性」を明確に示すべきだというのが私の考え方です。

一般質問当日、そういう思いで「そもそも…」と質問を始めたのですが、のっけから驚くべき答弁がありました。それが、新聞報道もされている「私は上越市を観光都市にしたいと思っていない」という言葉です。

市長は2年前の市長選の公約で観光振興をいわゆる「目玉」としてあげています。ご本人は「目玉というほどではない」とおっしゃるかもしれませんが、多くの市民も私もそうであると解釈し、「中川さんは、観光をやりたいんだ」と思ってきました。

市長就任後は、観光施策を推進する特任的な「魅力創造課」なる課を創設し観光施策にあたろうとしています。
どう見ても「上越市の観光都市化」にのめり込んでいると見える訳です。

そうしたなか「私は観光都市化を目指していない」という答弁があったのは、大袈裟に言えば「驚天動地」の出来事でした。前提がガラガラと崩れた感がありました。

市長は「上越市には、自然、歴史文化、食など魅力的な資源がたくさんあるのに、市民がそれに気づいていない。市民誰もがその魅力に気づき、誇りを持つために、まち磨きをしなくてはならない。その'手段'として観光を使いたい」と主張されました。

これはこれで一つの見識だと思います。
なるほど、わかりました。
しかし、観光は手段であると初めておっしゃいましたね。ここは私だけではなく多くの市民の皆さんも驚いたと思いますよ。
このまちを変える、まちに住む市民の意識も変えるというなら、賛成反対はともかく、市長は本気で観光施策に取り組むのだと市民に知らしめるのが大事なのではないでしょうか。「手段(に過ぎない)」と言われたら、ちょっとズッコケます。
この「手段」という言の真意を、市長は一生懸命市民に説明した方がよろしいかと思います。

次に…
「豊かな自然、歴史文化、食、そこに生きる人々のコミュニティ…上越市の持つ魅力を磨きあげたい」と市長はおっしゃいます。それはそれで良いのですが、「上越市」を他のまちに置き換えてもまんま成り立つロジックでは弱いです。

そのあたり、タイムスさんが言及してくれていますが、「他の都市にはない上越市ならではの存在意義をはっきりさせ、そこに重点をおいた観光施策をやるべきだ」というのが私の主張です。

上越市ならではの存在意義。私はそれは「雪」だと考えています。18万人という人口集積地に2メートルもの雪が降るのは、世界でも稀な事なのです。このアイデンティティこそ活かさなくてはならないと思うのです。

上越市はまさにどこにもない雪国、杉みき子さんがおっしゃる「小さな雪のまち」、個々に見ればさまざま違った魅力を持つ雪の里たち…
「雪と生きる」まち上越市に特化し、それを観光のテーマとして展開すれば、世界にもアピールできると私は思っています。

そんな主張を知ってか知らずか、同僚議員の「上越市の魅力を一言で言えば?」という質問に、市長は「それは雪です」と断言された。よしっとこころの中で拍手しましたね。そこの共通認識があれば、もしかしたら市長と一緒に観光を訴求していけるかもしれないとちらっと思いました。

最後にもう一点。

新聞報道で「危機的状況に向かおうとしているまちを何とかしたいなら、観光でなくてもいい」(新潟日報)と書かれていますが、それはそのまま私の考え方です。日報さんありがとうございます。

観光は観光で雪をアイデンティティとして進めていけば良いです。
一方で「まちを守る」「持続させる」「市民の生活を支える」ためには、いつどう成就するかわからない観光に依存するのではなく、いまこのまちで奮闘している事業者、第一次産業から第三次産業まで(もしかしたら第六次産業まで?)をしっかり支えるのが、つまり経済的安定を訴求するのが、まず市長がやるべき事なのではないかと私は思います。

市長。
「観光都市化」を進めるなら本気でのめり込みましょう。高い目線(上から目線ではないです、深い知見)からのリーダーシップを発揮する事を望みます。
そして、観光施策とは別に、まずはいま苦しんでいる地元事業者とその従業員、家族、子供たち、お年寄りを守る施策に力を入れていただきたい。
それが私の一番の真意です。

長くなりました。これで筆を置きます。