昨日の、東京都による「としまえん」買い取り・防災公園化案についてのエントリだが、いくつかコメントを頂戴した。いくつか補足しておきたい。




例えば、次のような記事は参考になる:




減らせ帰宅困難者 自治体「直下型」に備え
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110910-00000111-san-soci



”東日本大震災から11日で半年。震災当日、都内では鉄道網がストップ、自宅に帰れない「帰宅困難者」の課題が浮き彫りになった。その数は200万~300万人と言われた。首都圏直下型地震が発生した場合、都内では約448万人が帰宅困難者になるとされ、その対策が急務だ。3月11日の教訓から、自治体では新たな対策に取り組んでいる。
 震災発生直後、山手線内のターミナル駅のひとつ、JR品川駅(港区)前には約1万人弱の帰宅困難者がひしめきあい、満員電車内のように一歩も身動きがとれない状態に陥った。
 「下りられないじゃないか」。駅と地上をつなぐ階段では多くの人が将棋倒しにあいそうになり、怒声も飛び交った。
 区によると、当日、区内には推計約10万人の帰宅困難者が発生した。主な原因は、区内の会社を出た従業員が一斉に家に向かったことだった。 区が取り組もうとしているのが、むやみに帰宅せず会社などにとどまる“発生抑制”だ。区内の約4万5千の事業所に、発生抑制の「努力目標」を課す都内初の条例を制定し、10月中旬の施行をめざす。
 「家が倒壊したり、介護中の家族が家に1人でいるなど、どうしても帰らなければならない人は除外し、区内の従業員が基本的に会社に残れば混乱はかなり防げる」と区防災課。
 企業には飲料水、食料品。毛布などの備蓄についても必要な場合は補助する方針だ。
 対策は一部の区だけで行っても効果が薄い。
 同様に企業と連携しながら取り組むのが千代田区だ。帰宅困難者対策は平成15年度から独自に行ってきた。「本当は首都圏全域での広域的な対策が必要。しかし物理的に区外の対策はできないのがつらい」と区防災課の関係者は嘆く。
 JR渋谷駅を抱える渋谷区が力を入れるのは情報伝達だ。震災当日の対応には苦い経験があるという。
 区は地震後、都立広尾高校など区内48カ所の施設で帰宅困難者を受け入れる一方、情報を同駅周辺で断続的にアナウンスし、区ホームページでも公表した。
 しかし結果的に多くの人に休憩所の存在は伝わらなかった。約5千人が収容可能な同区千駄ケ谷の東京体育館には、実際は約150人しか集まらず、歩き疲れ体調を崩す人も出た
 こうした反省を基に区は9月1日から、災害時に情報を得やすいとされるツイッターで、災害情報を発信する仕組みを創設。1日1回は訓練をかねて情報を発信している
 また渋谷駅周辺の企業などと連携し、大型ビジョンで災害情報を流したり、インターネットを使わない人にも情報が伝わるよう看板等の活用も積極的に検討。情報伝達手段の多様化に力を入れている。”



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 先ず繰り返しておきたいのが、被災者となりえる我々自身の教訓、として、『どうしても必要な場合を除き、また、確実な情報を基に出来る場合を除き、震災等が発生した場合には、取り敢えず動かないのが大原則』、ということ。



歩き続ける体力に不安がある人はもちろん、「いや、おれは普段から鍛えてるから大丈夫!」というような人であっても、自分自身のことだけではない。下手に動かれると他人に迷惑が掛かることがありえる、ことを十分に肝に銘じておいて頂きたい。



不十分な情報や確認できない情報を動かれる・・・例えば、〇〇線は動いてるらしい、とか・・・と移動距離は容易に倍以上になりえる。直線距離なら歩けた人でも回り道させられたり迂回を要するなどすれば、ヘタることは十分に考えられるし、交通渋滞などの恐れもある。



たまたま出先で土地勘がないところで被災した場合は仕方ないが、多くの場合、事務所内で被災することが通常だろう。大企業であれば日頃の防災訓練などを通じて、避難場所の確認は必須だし、社内・事務所内で安全が確保される場所、棚の書類や備品などが落下しないところなど、の確保も必要。



コメントも頂いた通り、中小企業で古い雑居ビルに入居していて耐震性に問題があるところもあるだろう。とにかく最善の方法は耐震性に不安がないビルへの引っ越しを考えることだ。引っ越しに無理があれば、家主と話して耐震補強を行うなど要請することもできる。もちろん、カネがない・・・ということが多いだろうが、都内であれば様々な助成金が出ている筈。それも無理なら諦めて、全社員に避難場所を周知徹底させるしかないが。このとき、避難グッズ(防災リュックなど)を備え置くことも徹底していただきたい。大した金額ではない。




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帰宅困難者の多くが実際には都民じゃないから・・・というのは理由にならない。そもそも、東京都の潤沢な財政は、こうした方々が集中して成立する、法人住民税や固定資産税収入によるところが大きい。だから、国に頼るのではなく、都の責務として取り組むべき課題だ。




だから、土地を買ってる場合じゃない。他にやるべき事業はたくさんある。




なお、としまえんについては、西武グループは否定しているらしい。まぁもちろん、売却が本気ならば経営不安のうわさにも繋がり兼ねないので取り敢えず否定しているだけかもしれないが。繰り返すが、震災対策・防災対策という美名の下に、一私企業の救済が図られるなどがあってはならない。