いまだに脱原発とか言って、デモやってる連中がいる。「文化人」と称して扇動する者もいる。嘆かわしいばかりだ。


確かに福島で事故は起きた。安全管理が杜撰であった、と批判する者も多い。300年に一度だろうが、1000年に一度だろうが、大地震・津波に備えておくべきだった、という。


なるほど、そうだろう。防波堤を10メートル高くしておけば良かった。二次交流電源のバックアップを二重、三重にしておけばよかった、その通りである。しかし、これらの批判は同時に「備えておけば事故は防げた」との認識に立つ。であれば、必要なのは、備えをすることであって、原発を止めることではない。



300年や1000年を’想定’しておく、というのであれば、では以下の疑問に彼らはどう答えるのだろうか?



- 300年、1000年、安定的に火力発電を続けられるか?



2つの意味がある。そもそも火力発電は、重油やガスを燃やして発電している。重油やガスの可採埋蔵量があとどれだけあるのだろうか?原油が30年くらいで枯渇する、と言われてまだある。確かにそうなのだが、その大きな要因として採掘技術の発展がある。無理やり掘っている感は否めない。そして、現在主力となっている原油の採掘場所は北海にしろ、メキシコ湾にしろ、海底である。メキシコ湾の原油流出事故をもう忘れているのだろうか?


仮にあっても、価格的にどうだろうか?ちょうど貿易収支が発表された:



8月貿易収支は7753億円の赤字、3カ月ぶり赤字
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110921-00000774-reu-bus_all


”財務省が21日に発表した8月貿易統計速報によると、貿易収支(原数値)は7753億円の赤字となった。自動車などの供給体制回復で輸出が増加したが、原発稼働停止に伴う石油や液化天然ガスの輸入増と価格上昇で、3カ月ぶりの赤字に転落した。

 輸出は前年比2.8%増の5兆3575億円と6カ月ぶりに増加した。輸入は同19.2%増の6兆1328億円と、20カ月連続で増加した。米国向け輸出は前年比3.5%増、中国向け輸出は同2.4%増だった。

 ロイターが民間調査機関を対象に行った調査では、予測中央値は2188億円の赤字。輸出は前年比8.0%増、輸入は同14.0%増だった。”



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言うまでもなく、資源高騰の最大の要因は新興国における需要増である。地球資源である以上、新興国の人たちが消費していけない訳ではない。というか、未だに途上国の消費量を考えれば、日本を含む先進国の消費量は突出して多い。これまで通り、使い続けていい、という訳ではない。



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そして、最大の懸念はやはり温暖化である。CO2という温暖化ガスの影響度合いについては諸説ある。大して影響しないという人もいる。しかし間違いなく言えることとして、我々がそろそろ考えなければならないのは:



- それにしたって、酸素は有限だろう?



ということだ。言うまでもなく、我々は酸素が無ければ生きていけない。重油やガスを燃やして酸素を消費して、結果、我々が呼吸できる酸素が足りなくなりました、はシャレにならない。



ちょうど台風15号が日本を通過中で、前の台風同様、大変な被害を受けている。福島原発と異なり、直接の死者も出ている。テレビでお婆ちゃん達が、ここまで水が来たこと無い、と言っていた。堤防など、台風被害を抑える設備は以前より拡充しているのに、である。



これが全く問題なく、これまで以上に、重油・ガスを燃やしていい、という人たちがいるのであれば、ぜひ顔を見てみたいものだ。