フランス大統領選が終わり、サルコジ政権が敗北。社会党のオランド氏が大統領となることが決まった。どちらも決定力に欠き、決選投票までもつれ込んだ末の結果である。


敗けたサルコジ大統領は引退するらしい。首相辞めたら政治家として引退すべきと言っていた某政治家が居座るどこぞの国とは大違いである。この点は高く評価してよい。


さて、このフランスにおける政権交代がもたらすものは何か?を予測してみたい。


今回の選挙の最大の争点は欧州経済危機にある中で、フランス経済をどう立て直すか?というものだったと理解する。もちろん、どちらの側にも決定的な経済政策がある訳でもなく、政権交代があったからといって、これが直ちにフランス経済の回復、ひいては欧州経済の回復をもたらすものではない。




しかし、はっきり言えることとして、おそらくフランスは自国優先政策に大きく舵を切るだろう、ということ。経済危機、特に失業率の増加は、必ずしもそれが原因である訳ではないものの、感情論的に移民問題を責めることとなった。ルペン氏の自由党(極右政党といってよい)の躍進はその象徴である。




ギリシャ救済も頓挫するだろう。以前にも指摘したと思うが、既に【ユーロ構想】は破綻している。同時進行しているギリシャ総選挙でも与党が苦戦していることもあって、ギリシャをユーロ圏に留まらせた上での救済の試みは、救済する側も救済される側も失敗に終わるだろう。


結局、ギリシャはユーロを離脱して、旧ドラクマに戻り、為替レートの調節によって半ば強制的に解決せざるを得なくなる。




ギリシャ単体の問題としては、これはこれで良いと思われるが、問題はこのユーロからの離脱(というか、放逐とも言えるが)がイタリアその他に波及するかどうか?鍵は独仏連携の維持の程度、にもあるが、フランス社会党政権がどの程度ドイツとの親密度を維持できるか、疑問は残る。現時点で独仏間に直接の利害対立は見られないので、そう大きな問題はないかもしれないが。。。




仮に、独仏間に緊張をもたらすとすれば、今回の大統領選挙では全く争点とならなかった原発・エネルギー問題があるかもしれない。ドイツの脱原発は、フランスの原発電力に依存している。もし、フランスがドイツをはじめ、他の欧州諸国への売電価格を上げる(ある意味、当然の措置だが)とすれば、対立問題にもなりかねないし、少なくとも比較的好調なドイツ経済の足かせとなりえる。この辺り、注視していきたい。