「さまよう刃」 | 尋常ならぬ娘のオタクな映画日記

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尋常ならぬ娘のオタクな映画日記-samayou     「さまよう刃」



公開初日。


行ってきました!!


待望の「さまよう刃」


直前に原作を読み終え、その重さにひどく心を打たれました。


本当に考えれば考えるほど重いテーマであり、現代社会の抱える問題の核心に迫る作品で、答えを見つけることは簡単ではない、考えれば考えるほどどうすればいいのかと、何が正しいのかと、出口を見つけられなくなります。


今の社会になくてはならない作品だと思います。


現代社会に生まれるべくして生まれた運命の一冊のような気がします。


東野圭吾さんは本当にすごいです。



この作品を後味が悪い、などと評価する人もいるでしょう。


確かに、この作品は、決して後味のいいものではありません。


読み終えたあとも、心に切ない重い塊を残して行きます。


しかし、その思いは決して無駄ではない、貴重なもののように思うのです。



その素晴らしい作品の映画化ということで。


キャスト的には最高です。


これ以上のキャストは他にいないでしょう。



しかし。。。


脚本がよくなかったように思います。


作品を観る前に少しチェックしたレビューなどではかなりの高評価だったので、私の判断ミスかもしれませんが。。。


東野圭吾さんはこの出来で本当に満足だったのだろうか?と思ってしまいました。


原作を読んでいなかったら、とてもよかったのかもしれません。


しかし、原作を読んでいた人にとっては、きっとあまり満足いくものではなかったのではないでしょうか。



ストーリーを簡略化しすぎというか、


テストなどで、長い文章の趣旨を何百字以内でまとめよというような問題が出た際に、大事そうなことを切り取って貼り付けただけというような感じに似た、そんな感じがしました。


なので、原作にあるそれぞれの登場人物の思い描く感情や、それぞれの行動に出るときの心情、そうなるまでの背景など、そういったものがほとんど略されており、こんなことが起きた、この人がこうした、ああしたといった報告のような感じで、あまり感情移入ができないのです。


499ページある原作を約2時間ほどの映画で表現するのは難しいとは思います。なので多少ストーリーの設定を変えたり、省略することはしなければならないことですが。。。


今回は映画の上映時間は112分しかないのです。


最近は2時間半近くある映画も珍しくないので、もう少し時間を長めにしてもいいので、もう少し詳しく描いて欲しかった。


これだけの素晴らしい原作とキャストを揃え、実にもったいない気がしました。


叶わぬ夢ではあるけれど同じキャストでもう一度撮りなおしたものが観たいと思います。



ということで


原作を読んだ人にはオススメできない結果となってしまいました。



それに比べると前回映画化された「容疑者Xの献身」は、あまり評価は高くなかったですが、けっこう忠実に映画化されていて、原作を読んだものでも、それほどの不満は持たずに感動できたと思います。


何度も言いますが、本当にもったいない。。。


原作にある過激な部分は映像化は無理でも、登場人物の人間関係など、物語のつながりなどはもっと忠実に再現できたのではないだろうか。


そうした上で、感情移入できるストーリーになっていたら、寺尾聰さんの演技がどれだけ涙を誘うすばらしいものになっていただろうか、竹野内豊さんの演技がどれだけぐっとくるものになっていただろうか。


そんなことばかり考えてしまいます。


キャストが素晴らしかった分、余計にもったいなくて、歯痒い。。。