吉田修一の「犯罪小説集」が原作。
この「犯罪小説集」は短編集で
今回はその中から
「青田Y字路」と「万屋善次郎」という
2作品が「楽園」という1つの作品に映画化されました。
この原作本は「怒り」を読んだ後に
興味があって購入したものの未読だったので
映画を観る前に読んで挑みました。
この小説のテーマというのが
人はなぜ人を殺めてしまうのか
というところにあり
映画化されるにあたっても
そこがテーマだという記事を目にしました。
たしかに小説は
もともと人を殺めるような人ではない人が
追い詰められて犯罪に手を染めてしまう
人間の弱さとか
人間の恐ろしさとか
すごくうまく描かれていたんです。
ほんの些細なことの行き違いから
どんどん歯車が狂っていくことの恐ろしさ
そういうことを起こしてしまう
人間の持つ闇の部分の
恐ろしさとか哀しさが
かなり切実に伝わってきたんですね。
で、期待して観に行った映画だったのですが…
かなり残念な仕上がりに
感じてしまいました( ;∀;)
この物語で重要だと思われる
人が些細な行き違いや思い込みから
取り返しのつかない方へ
追い詰め、追い詰められていく
その過程の描き方がかなり雑で(-""-;)
特に佐藤浩市が主人公を演じた
「万屋善次郎」はそれがひどく
善次郎がそこまで追い詰められてしまう原因が
あまりにもさらっと一瞬で流されるものだから
何でかわからなくもないが
追い詰められる善次郎に
誰も感情移入できないのでは?という
出来映えになっていたのです。
それに加え
原作にはない登場人物を加えたことで
その分
原作にあった重要部分がなくなり
大事なところが伝わりにくくなってしまった
のではないかと感じました。
映画化するにあたり
男女の色恋を入れた方が観客受けがよい?という点から、老婆の設定を主人公と釣り合う女性に変えたりしたのかもしれないけど、
それが逆効果で、善次郎への共感をさらに遠ざけるものになってしまってる気がしました。
「青田Y字路」の綾野剛に関しても
何故彼がそこまで追い詰められていくことになったのかという描き方がいまいちだったなぁと。
で、それなのに、映画だからか?
希望を持たせる作品にしようと思った感が
かなり感じられて
それがまた逆効果で
この物語の肝心なテーマが薄れてしまった
そんな気がしてならなかったです。
さらに
ラストも
希望を持たせようとするわりには
そこで落とすの?!
どう感じさせたいの?
みたいな中途半端なまとめ方のような印象だったし(-""-;)
観終わった後も
全く救われず、ただただ気分沈むって感じで
原作を読んでない人には
この話の深さはほとんど伝わらないんじゃないかなぁという感じでした。
ただ!
とっても良かったのは
エンディングテーマですね!!
RADWIMPSの野田洋次郎作詞作曲
上白石萌音が歌う「一縷」
すごく素敵な歌でした~。
満足度・・・50%