目の離せない患者がいたり急患が運ばれたりと


何だかんだで忙しく・・・・ここ4日間ばかり家に帰れていない


今までなら、こんな時


何だかんだと理由をつけて(やれ弁当だ着替えだと)


・・・もしくは理由もなく本人はコッソリと(つもり)


だけど実はバレバレでチョロチョロと俺の周りをうろつく琴子が


現れないしメールもない


珍しい事もあるもんだ・・・と思っていると


どうやらソレは俺だけじゃないらしく


本当なら琴子のいれたコーヒーが飲みたいのを


缶コーヒーで我慢して飲んでいた俺をみつけ


「不満そうですね」


と桔梗が声をかけてきた


「何が?」


俺の問いに何もかも見透かしたような笑みを浮かべ


「琴子不足って顔してますよ」


そう言いながら自分も缶コーヒーを購入して


お邪魔します・・と俺の斜め前に座る


「簡単に心を読まれるほど単純な顔を

 してるとは思えないけど?」


ぬるくなった缶コーヒーは甘い味しかしない


やっぱりブラックにすれば良かったか・・・


疲れてるからと微糖を選んだのは失敗だった


「否定しないんですね・・」


「意味ないだろ」


「そうですね・・・

 入江先生・・」


桔梗が何かを言おうとした瞬間


ブブブッとマナーモードにして白衣のポケットに入れていた


携帯がメールの着信を告げる


メールの相手は琴子、そこには


『ウサギは寂しいと死んじゃうんだよ』


何だこのメール・・・・


思わずフッと笑みが浮かぶ


残りのコーヒーを飲み干しゴミ箱を入れると


俺は立ち上がり


「桔梗、悪いけど

 そこに隠れてる西垣先生に伝言頼む」


ニヤニヤと人の悪い笑みを浮かべながら


「琴子ですか?」


とコソッと聞く私に入江先生はスッとメールを見せて


「瀕死の重症患者が待ってるから帰るんで

 後はお願いしますって」


そう言いながら歩き出す入江先生はすでに白衣を脱いでいて


物凄く楽しそう・・・・・まぁ休日返上で4日も拘束されてたんだから


帰っても文句は言われないだろうけど


その言葉を聞いた西垣先生は柱の影から飛び出すと


「何!入江!お前

 先輩の俺に仕事押し付けて帰る気か!?

 カルテ整理は?他にも!」


「全部終わってますよ

 それじゃ宜しく」


とヒラヒラと手を振ってエレベーターの中に消えていった


・・・・・・だけど先生・・・瀕死の重傷患者って琴子ウサギですか?


なんかウサギの着ぐるみの琴子を抱っこしてる入江先生を


想像して笑ってしまった


後で琴子に聞かなきゃ♪


「じゃあ、西垣先生頑張ってくださいね

 私も仕事に戻らなきゃ」


まだ夜は始まったばかり・・・・今夜も頑張らなきゃね♪先生

 

                                    FIN


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