もうすぐ今年も終わる・・・・


今年もイロイロあったな~入江くんと喧嘩して仲直りして


ふふふっ入江くんが思ってたより


ずっとヤキモチ焼きだって分かったり


何だかんだ言って幸せな1年だったな~


でも・・・でも・・・・何より1番嬉しくて


幸せだって思えたのは


この子を授かったこと・・・


そう思いながら


そっとお腹に手をあてて幸せを実感する


来年には3人家族になる・・・・


「ふふふふふっ・・・

 やだな~ついついニヤケちゃう」


「琴子ちゃん?そっちの煮物

 そろそろ良いかしら?」


お節料理を詰めていた お義母さんから声がかかる


「はい、良さそうです

 ちょっと味を見ていただけますか?」


小皿にレンコンを取って渡すと


「うん、いいお味よ

 ずいぶん上手になったわね~

 さすが私の娘!琴子ちゃん」って


お義母さんが褒めてくれた


うふっ自分で食べても大成功って思う


できる事なら、できたての美味しいのを


入江くんに食べて欲しいなぁ


だけど・・・今日は生憎に夜勤


本当は違ったんだけど奥さんの体調が悪くなった先生と


交代してあげたんだって・・・その奥さんも妊娠してて


人事に思えなかったからって


そんな事を言われたら・・・怒れないよ


でも・・・・本当に美味しくできたのになぁ


あっ!届けちゃおうか?ねぇいい考えだと思わない?


お腹の中の赤ちゃんに話しかける


そうと決まれば!とお弁当箱にお節を詰め始めていると


「琴子ちゃ~ん電話よ♪お兄ちゃんから」


えっ!入江くん


パタパタとリビングに行って受話器をとる


「入江くん?どうしたの」


ドキドキしながら聞く私に


「琴子・・・・お前、携帯どこに置いてるんだ?」


「えっ携帯・・・あっ充電切れそうだったから寝室で

 充電してたんだった

 もしかして・・・電話してた?ゴメンネ」


「携帯電話なんだから持ってなきゃ意味ないだろ

 それじゃなくても妊娠してるんだから

 すぐに連絡がつくようにしとけよ」


「ごめんね気をつけるよ」


「それと・・・来なくていいからな」


「えっ?」


「おまえの事だから俺が夜勤で居ないからって

 お節とか持って病院に来ようとか考えてるんだろ」


「凄い・・・・なんで分かったの?」


やっぱり愛の力♪って言おうとしたら


「お前の考えてる事くらい分かるよ

 何年夫婦やってると思ってるだ」


「へへへっ・・・・

 でも・・・行っちゃだめ?

 料理置いたらすぐに帰るよ

 行きも帰りもタクシーにするし」


「ダメだ

 この時期の病院なんて

 インフルエンザやらノロウイルスやら

 どんな病気をもらうか分からないだろ

 それに、こんな時間に出歩くなんて

 何かあったらどうするんだ」


「うん・・・分かった

 我慢するよ・・・

 あの・・あのね・・だけど

 煮物が凄く上手に出来たの!

 お義母さんも褒めてくれたんだよ」


「分かった・・・明日、帰ったら食べるよ

 じゃあ、そろそろ切るぞ

 温かくして良い子で待ってろよ」


そう言って電話は切れた


・・・・いい子にして待ってろだって・・・・


パパは何でも分かっちゃって凄いね


仕方ないから一緒に良い子で待ってようね


お腹を撫でながら話しかける


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


明日の準備も終わりお風呂にも入ったし


後は・・・・・ふと時計を見ると


もうすぐ今年が終わる


後・・・・1分・・・・30秒・・・


そうだ・・・・電話しちゃおうかな


・・・新年を迎える瞬間を


入江くんの声が聞きたい


急いで携帯を取り出すと


着信のメロディが鳴り出す


慌てて出ると


「・・・琴子」


「入江くん?今かけようと思ってたんだよ

 凄い偶然♪うれしい~よ~」


「琴子の事だから

 せめて年の変わる瞬間に声が聞きたいとか

 言うんだろうと思ってな」


「うんうん、そう!そうなの~

 もう~嬉しいよ!!!声が聞けて」


「琴子・・・・明けましておめでとう

 今年も宜しくな!奥さん」


「入江くん

 明けましておめでとうございます

 今年も宜しくお願いします」


言いながら頭を下げたらゴツン!!


と受話器にぶつけてしまった


絶対・・・・分かったよね・・・・ぶつけたの


だって声が震えてる


「くくくくくっ・・・・ドジ

 そんな調子で転ぶなよ」


「分かってるもん

 ちょっと油断しただけだもん」


「油断ねぇ~

 まぁそういう事にしてやるよ」


う~くやしい!!まだ笑ってる


でも・・・嬉しいな・・・気にしてくれて2回も


入江くんから電話をくれたんだもん


「じゃあ、切るぞ」


「うん、お仕事頑張ってね」


とっても心が温かくなっている


余韻に浸りながら電話を切ろうとすると


「琴子・・・」と私を呼ぶ声


「何?入江くん」


「愛してる・・・」


その言葉とともに電話が切れた


入江くん・・・・大好き


私も愛してるよ


                                      END


ペタしてね


皆様、明けましておめでとうございます

今年も宜しくお願いします

                ミルク