「こちゃ」「ぐるちゃ」「スタ爆」

 

 「こちゃ」「ぐるちゃ」が何のことか分かりますか? 「こちゃ」はLINEで交わす個人対個人のチャット、「ぐるちゃ」は「グループチャット」のことです。「暇なら、こちゃしてー」と「友だち」に呼びかけてトークを始めたりします。

 

 大人は主に「こちゃ」を利用していると思います。これに対して、中高生は「ぐるちゃ」で一斉に会話することのほうが多いです。クラスメート、部活の仲間、仲良しの友人など、複数のグループを作っていて、「明日の部活は○時集合」といった連絡もありますが、ほとんどはテレビの感想などのおしゃべりに使っています。

 

 トーク中に同じスタンプ(イラスト画像)を何度も送信することがあります。これは「スタ爆」「スタ連」と呼ばれています。「友だち」のメッセージが面白かったら、大笑いしているイラストのスタンプを何度も送信することで、いかに面白かったかを表現するのです。

「バトン」「ブロック大会」

 

 

 LINEは無料通話アプリとして有名ですが、中高生は無料のビデオ通話もよく使っています。スマホの内蔵カメラを通じて顔を見ながら話すのです。ビデオ通話はグループで会話することもできます。暇つぶしにビデオ通話を始めると、「友だち」が参加してきたり、招待されて入ってきたりすることがあります。

 

 SNS(ソーシャル・ネットワークキング・サービス)のような使い方もあります。投稿が時系列に並ぶ「タイムライン」にメッセージを送るのです。「○○に行って楽しかった」「このスイーツがおいしかった」といったメッセージを写真付きで投稿し、それを見たユーザーがコメントや「いいね」を付けて交流します。

 

 タイムラインには「友だち」から「バトン」が盛んに回ってきます。バトンには、自己紹介、友人紹介、好きな人のタイプなど、色々な種類の質問があります。質問が100個もある長いバトンもあります。大人だと骨が折れそうな数ですが、子どもたちは一つ一つ丁寧に答えて次の「友だち」に回します。

 

 タイムラインでは「ブロック大会」という遊びもよく行われます。「ブロック」は、「友だち」として登録した相手を遮断することです。ブロックされた人はメッセージを送っても、相手の画面に表示されません。

 

 誰かがタイムラインで「ブロック大会するよ。ブロックされたくない人はスタンプ押して」と投稿したら、それを見た「友だち」はスタンプを送らなければなりません。これからも「友だち」でいたいかどうかの確認を取っているのです。「私のタイムラインをいつも読んでくれているよね?」という意味もあります。

 

 大人の感覚からすると、「スタンプを押し損ねたくらいで友だちの縁を切るなんて」と深刻に考えがちですが、たいていは単なる遊びで、スタンプを押さなくてもブロックされないことが多いようです。でも、中高生は大人と違ってブロック自体を簡単に行います。安易なブロックがもめごとに発展することがあるのも事実です。

「有料スタンプ」が欲しくても

 

 

 便利なLINEですが、子どもが危険にさらされることもあります。

 

 ツイッターなどで投稿された奇跡的な瞬間を撮影した画像や、恋愛にまつわるポエムなどを数時間おきに投稿するLINEアカウントが存在し、つい読み物感覚で「友だち」に追加してしまうことがあります。しかし、リンク先にアダルト広告が貼られていることがあります。お子さんがそういうアカウントと「友だち」になっていたら、ブロックするように促しましょう。

 

 「有料スタンプをプレゼントします」と投稿するアカウントもたくさん存在します。「友だち」になり、「スタンプを送って」とメッセージを送ると、「その代わりに」とアダルトサイトに会員登録させたり、ゲームなどのアプリをダウンロードさせたり、何らかの見返りを求めてきます。

 

 試しに筆者がこうした12のアカウントと「友だち」になり、スタンプを要求したところ、実際にプレゼントしてもらえたのは1回だけでした。「言うことを聞いたらスタンプをあげる」という誘いに乗せられた女児が、自分のわいせつ画像を送信させられる被害も相次いでいるので、保護者としては注意が必要です。

 

 大人が想像している以上に、子どもはLINEで知らない人とつながる機会がたくさんあります。よくあるのは、同じグループの誰かが、知らない人を招待するケースです。最初は学校の友人しかいなかったのに、いつのまにか他の学校の人、そのまた友人と広がっていきます。そういう「友だちの友だち」から「友だち追加」されると、自分も「友だち追加」してあげないと悪いと感じるのですが、実際は赤の他人で、どんな人物かも分かりません。

知らない人とつながらない

 

 以前は「友だち」としか交流できなかったタイムラインも、現在はすべてのLINEユーザーと交流できます。ハッシュタグ(#)付きの投稿をタップすると、ハッシュタグでの検索窓が表示されます。好きな芸能人の名前、参加するイベントの名称などを検索すると、その言葉を含んだ投稿が一覧で表示されるので、共通の趣味を持つユーザーを簡単に見つけることができるのです。

 

 同じように「profile」を検索すると、主に自己PRのために投稿されたメッセージを一覧で見ることができます。でも、そうやって「友だち」になって楽しく話していた相手が、実は女子中高生を装った大人の男性だったということもあります。

 

 一度つながってしまうと、ブロックしてもプロフィルの写真やアカウント名は見られたままとなります。お子さんがLINEを使っているなら、知らない人と「友だち」にならないことを約束させましょう。我が家も中高生の娘たちがいて、これだけは絶対条件として守らせています。

 

 今は、小学生でもスマホを持ち、LINEを使うことが少なくありません。初めは家族だけとつながるようにし、メッセージの交わし方から教えるとよいと思います。中学生になると「友だち」が増えていきます。クラスや部活の連絡がLINEで行われることもあるため、先生や先輩への言葉遣いも含めて話せるといいですね。

 

 LINEを使っていると、深夜に及ぶこともあります。家族でルールを話し合い、「スマホは夜○時まで」と決めるのがおすすめです。高校生ともなると、部活や塾から帰宅してゆっくりLINEができるのは夜だけです。とはいえ、毎朝寝不足でふらふらされても困ります。目に余ったときは声を掛けるといいでしょう。



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