Hey!Say!JUMP山田涼介主演ドラマ「もみ消して冬」最終回の視聴率が発表されました。

 

 

 

最終回(第10話)は10.8%!!

 

2けたを見事回復し、有終の美を飾りました~

 

 

感動の最終回でした!山ちゃんお疲れ様でした!!

 

 

 

 

 

ちなみに全10話の平均視聴率は9.8%で、日テレの土曜ドラマが22時台に移動した2017年4月以降で最高だそうです。

 

 

 

日テレ土曜ドラマの平均視聴率 2017.4~

僕、運命の人です(亀梨和也主演)9.6%

ウチの夫は仕事ができない(錦戸亮主演)8.7%

先に生まれただけの僕(櫻井翔主演)8.8%

もみ消して冬(山田涼介主演)9.8%

 

 

 

ジャニーズの並みいる先輩方が主演したドラマの中で過去最高を記録したことは評価されるべきだと思います。

しかし、もみ冬はすごくおもしろくて大好きなドラマでした。

だから個人的には、もっと視聴率が伸びてもよかったのではないか、と思っています。

 

今回は、『もみ消して冬、おもしろいのに視聴率が伸びなかった問題』として、その背景を検証しつつ、視聴率とは何かを考えていきたいと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

もみ冬視聴率の実態を分析する

以下が、もみ冬の最終回までの視聴率の推移です。

 

 

 

もみ消して冬 視聴率

第01話(1/13):13.3%
第02話(1/20):11.1%
第03話(1/27):11.1%
第04話(2/03):11.0%
第05話(2/10):07.1%
第06話(2/17):08.1%
第07話(2/24):06.6%
第08話(3/03):09.5%

第09話(3/10):09.0%

第10話(3/17):10.8%

 

 

 

13.3%の高視聴率でスタートしたもみ冬はその後も2けたを維持していましたが、5~7話は裏で放送されていた平昌オリンピックの影響を受け8~6%台に低下。

閉幕後の8話で9.5%まで回復しました。

やはり五輪の影響は大きかったのです。

仮に平昌五輪がなかったら、全体の平均視聴率はもっと高かったといえると思います。

 

オリンピックはやはり生で見たい人が多い。でも、もみ冬はおもしろいので、五輪期間中は録画して見ていた人が増えたのではないか、と自分は推測しました。

 

いわゆる「視聴率」というのは、その時間にリアルタイムで見ていた人たちの視聴率、「リアルタイム視聴率」です。

「視聴率=リアルタイム視聴率」なのです。

 

そこで、レコーダーで録画して見た人の割合、録画視聴率もビデオリサーチさんから発表されているので、この数字を見てみることにしました。

これを「タイムシフト視聴率」と呼んでいます。

さらに「リアルタイム視聴率」と「タイムシフト視聴率」を足した「総合視聴率」も発表されています。

 

 

 

もみ消して冬:視聴率 タイムシフト視聴率 総合視聴率

第01話(1/13):13.3% 9.8% 21.4%
第02話(1/20):11.1% 8.4% 18.1%
第03話(1/27):11.1% 7.5% 17.6%
第04話(2/03):11.0% 6.9% 16.9%
第05話(2/10):07.1% 7.0% 13.3%
第06話(2/17):08.1% 7.8% 14.5%
第07話(2/24):06.6% 7.5% 13.0%

第08話(3/03):09.5% 6.2% 14.9%

第09話(3/10):09.0%

第10話(3/17):10.8%

 

タイムシフト視聴率と総合視聴率は、放送から1週間以上後に発表されるため、まだ9話と10話の数字はわかりません。また、リアルタイム視聴率とタイムシフト視聴率を単純に足した数字が総合視聴率の数字と合わないのは、リアルタイムで見てなおかつ録画でも見た人を除外しているためです。

 

 

 

この数字を分析するといろんなことが見えてきます。

まず残念ながら、平昌五輪中の5~7話のタイムシフト視聴率は7%程度で、それ以前と比較して大きな変化はありませんでした。

五輪があるので録画してでも見ようという人が、それほどいなかったということを、このデータは示しています。

 

基本的に1話完結型のストーリーで、時間があるときに軽い気持ちで楽しめるドラマというのが、もみ冬のコンセプトと言われていましたが、概ねそれは成功しているといえます。

一方で、もみ冬を見ている視聴者全体の傾向としては、視聴熱はそれほど高くなく、視聴者をそこまで引きつける求心力がこのドラマになかったともいえると思います。

 

それは総合視聴率にも表れています。

個人的にはリアルタイムで見ようが録画で見ようがとにかく見てくれることが大事なので、総合視聴率は最も重要な指標だと思っています。

平昌五輪の影響を受けた5~7話を除いた総合視聴率は、1話21.4%→2話18.1%→3話17.6%→4話16.9%→8話14.9%となっています。

どんなドラマも初回は番宣に力を入れて視聴者も1度見てみようと思うので高い傾向にあるようですが、それを差し引いても、もみ冬は学校や職場やネットで話題を集め、次第に視聴者を増やしていったドラマとはいえませんでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

もみ冬は高視聴率番組だ!

ここまで否定的なことを書いてきましたが、データを分析するときに一番注意しなければいけないのは、「木を見て森を見ない」ことだと思います。

では、森とは何か。一番重視すべき点は何か。

それは、もみ冬の総合視聴率の高さです。

録画を含めれば、8話時点でも約15%も視聴されている高視聴率番組ということです。

 

今の時代、10%以上の番組は高視聴率番組といわれるそうです。

超高視聴率番組といわれる「鉄腕ダッシュ」のこの週の総合視聴率は16.8%(リアルタイム視聴率16.2%)です。

もみ冬は初回20%を超え、五輪期間中も13%以上の視聴者が見ていた。

これはすごいことです。

この点をもっと強調すべきだと思いますし、これに比べたらそれ以外は小さな問題だと言っていいと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ドラマ冬の時代」は本当か?

昔、月9やキムタクドラマが20%超えを連発していた時代と比べると、「ドラマ冬の時代」とか「テレビ離れ」とか言われています。

しかし、本当にそうなのでしょうか?

 

現時点で確認できる最新のデータで見てみましょう。

 

 

 

週間ドラマ視聴率 2/26~3/4

視聴率 タイムシフト視聴率 総合視聴率

99.9

17.4% 14.2% 28.3%

わろてんか

21.1% 05.4% 24.9%

BG

15.8% 10.5% 24.8%

アンナチュラル

10.5% 13.9% 22.7%

相棒

15.0% 06.9% 21.5%

西郷どん

14.8% 06.3% 20.7%

科捜研の女

14.4% 03.3% 17.3%

もみけして冬

09.5% 06.2% 14.9%

FINALCUT

06.9% 06.6% 12.5%

隣りの家族は青く見える

05.7% 06.8% 11.9%

 

 

 

上記は総合視聴率が高い順に並んでいます。

総合視聴率で見ると、20%を超えているドラマが実は6本もあったことがわかります。

特に99.9は30%に迫っていて、往時のキムタクドラマと比較しても遜色ありません。

中島裕翔くんがゲスト出演した最終回の視聴率は自己最高の21.0%だったそうですから、おそらく総合視聴率は30%を突破しているとみられます。関心のある方は、ビデオリサーチのHPで約1週間後に発表される総合視聴率をお楽しみに。

 

 

 

 

また注目すべきは、99.9、BG、アンナチュラルの3番組のタイムシフト視聴率がいずれも10%以上あることです。

特にアンナチュラルは、リアルタイム視聴率が10.5%なのに対して、タイムシフト視聴率が13.9%もあります。

リアルタイムで見ている人より録画で見ている人が多いという逆転現象が生じています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

テレビ視聴の構造変化

このデータから少なくとも言えることは、「日本人がドラマを見なくなった」というのがまったくの嘘であるという事実です。

近年のデジタル録画機器の発達と普及、ライフスタイルの変化で、「リアルタイムでドラマを見る人が減った」「録画で見る人が増えた」というのが正しい実態です。

「テレビ離れ」というのはある意味間違っていないけれども、「テレビ番組離れ」ではなかったのです。

 

ビデオリサーチによるタイムシフト視聴率と総合視聴率の調査は、2016年10月から関東地区で始まりました。

それは、近年進むテレビ視聴の構造変化、視聴の分散化に対応し、その実態を正しく捉えることが目的だそうです。

特に2008年以降、デジタル録画によるタイムシフト視聴が急増しているそうで、そこで2016年に打ち出されたのが、自宅内の録画視聴をカウントするタイムシフト視聴率調査でした。

 

これはこれで素晴らしいことなのですが、まだこの調査では捕捉しきれていないものがあります。

そのひとつが、インターネットでのテレビ番組視聴です。

既に放送局もTVerやNHKオンデマンドなどの見逃し配信を実施しており、ネットで番組を見ている層はかなりのボリュームでいるとみられます。

しかし、「視聴率」にも「総合視聴率」にも、それは含まれていません。

 

20%を超えるドラマが6本もあるなど、総合視聴率の高さに驚いた方もいると思いますが、ネットでの視聴者も捕捉できるようになれば、「本当の視聴率」はもっと高くなるはずです。

テレビの価値を正しく評価するためには、テレビ番組のあらゆるリーチを測定することが今後一層求められるのではないでしょうか。

ただ、「視聴率」には、もっと大きな課題があると自分は考えています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

テレビはなぜタダなのか?

総合視聴率は2016年に調査が始まりましたが、耳にする機会はあまりありません。

報道されるのは、「山田涼介は数字が取れない」とか「月9がまた視聴率1けただった」とか、あくまでリアルタイム視聴率が高かったか低かったかが問題とされます。

本当は今も日本のドラマはこんなにも多くの人に見られているのに、リアルタイム視聴率が低いというだけで主演した俳優は、俳優生命の危機だとか、もう終わったとか言われてしまいます。

近い将来、伊野尾慧ら他のJUMPメンバーがドラマに主演することもあるでしょうが、そんなリスクを負うくらいなら、地上波は主演ではなく脇役の方がいいと言うファンやジャニーズ以外の事務所もあるそうです。

 

さきほど、「個人的にリアルタイムで見ようが録画で見ようがとにかく見てくれることが大事なので、総合視聴率は最も重要な指標だと思っています」と書きました。

しかし、現実には総合視聴率は最も重要な指標になっていません。

特に民放の現場では、今でもリアルタイム視聴率だけが評価基準になっていて、そんな一面的な指標にみんな日々一喜一憂しているそうです。

 

なぜか?合理的な理由があります。

それは私たちが受像機さえあれば、民放をタダで見られることと関係があります。

民放はNHKと違い有料放送ではないので、CM収入で成り立っています。

私たちはCMを見ることと引き換えに、番組を無料で見ているのです。

 

あなたは録画で見る時に、CMを飛ばさずに見ていますか?

 

逆にあなたがスポンサーだったら、録画視聴が多いからといって、その分、制作費を多めに出しますか?そこに広告効果を感じますか?

 

タイムシフト視聴率が評価基準にならない理由がここにあります。

民放のビジネスモデルからして、タイムシフト視聴率がいくら高くても意味がないし、今の総合視聴率に大きな価値はないのです。

 

しかし、それでいいのでしょうか?

これだけテレビ番組の視聴形態が多様化している中で、放送局がリアルタイム視聴率だけを唯一の指標とし続けることは、様々な弊害を生んでいると思います。

 

例えば、総合視聴率では「アンナチュラル」より数字が低いにもかかわらず、リアルタイム視聴率が高いドラマとして、「相棒」「科捜研の女」があります。

テレビ局の経営的に評価されるのは、「相棒」「科捜研の女」の方ということになります。

「相棒」「科捜研の女」もいいドラマだと思います。しかし、リアルタイム視聴率が狙える在宅率の高い層をターゲットにした番組を作ることが経営的に正しいとなれば、そうした番組ばかりが量産され、再放送されることになります。

それは結果として、テレビの多様性を失わせ、若者のテレビ離れをさらに加速させるという悪循環につながりかねません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エンターテイメント文化の危機

そして、最大の問題は、リアルタイム視聴率はこれからも確実に下がり続けるので、テレビ広告の市場がさらに縮小していくことです。

それは番組制作費の削減やお金のかかる番組の打ち切りなどによって、エンターテイメント業界へ流れるお金が縮小していくということと同義です。

 

日本のエンターテイメントの中核がテレビであることは否定できない現実です。

そこに我らがHey!Say!JUMPも生きています。

そのテレビが「リアルタイム視聴率至上主義」にこだわり続けるのは、経済的にも、多様性の面でも、日本のエンターテイメント文化が危機に陥ることを意味します。

 

前に書きましたが、自分は最近、全録ができるレコーダーを買いました。

これはすごい便利です。

JUMPの番組を含めほとんどの番組をタイムシフト視聴で見ています。

リアルタイムで視聴できる番組も、あえて少し遅らせて時差でタイムシフト視聴しています。

なぜならCMを飛ばせるからです。

その分、短縮した時間を、他のことに効率的に使えるからです。

 

しかし、これは、ある意味でJUMPに一銭も入らない視聴の方法です。

広告収入の対象にならない、こうしたタイムシフト視聴率が、さきほど紹介したように無視できない規模になっています。

 

世の中にタダはないと言います。

本来、莫大な制作費をかけて提供されるドラマなどの有料コンテンツを、CMを見ることと引き換えに、無料で視聴できるのが地上波放送の仕組みです。

録画やネットでCMを飛ばして視聴するフリーライダー(タダ乗りする人)が増大すれば、この仕組みが崩壊するのは当然のことです。

そして、自分もその共犯者のひとりなのです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どうしたらいいか考えてみた!

日本のエンターテイメント文化、そこにはJUMPも含まれますが、それを守るためには、やはりフリーライダーを規制するしかないと思います。

でも、「録画で見る時もCMは飛ばさずに見ましょう」といくら呼びかけても、誰も守らないでしょう。

自分もわかっていても、できないと思います。

 

民放をすべて有料放送にするというのも選択肢ですが、現実的ではないので、具体的な解決策としては、CMを早送りや飛ばすことができないレコーダーを開発し、それ以外を法律で禁止することだと思います。

利便性の点から電機メーカーは抵抗すると思いますが、見逃し配信は既にCMを飛ばせないようになっていますし、レコーダーにおいても技術的には十分可能なはずです。

 

やはり、世の中にタダはありません。特に文化はお金をかけて作られる財産です。

その財に対して、必要なコストを負担せずに、利益だけ享受している人が急速に拡大しているというのが、現在のテレビをめぐる最大の不条理だと思います。

 

JUMPの番組を録画してまで見る人は、きっとJUMPを愛している人たちでしょう。

そんなJUMPを愛する人たち、テレビを愛する人たちが、その愛するものの首を自ら絞めている、そのことに気付いていないのです。

 

第一歩としては、「視聴率」という指標をめぐるこうした不都合な真実を多くの人が知ることが大事なのかなと考えています。

 

そうすれば、「ドラマ冬の時代」も、もみ消して冬できるかもしれません。