昨日のHey!Say!JUMP長野公演のラストで、ステージにJUMPが並び、代表して薮君からファンに対して、マナー違反問題についてのお願いがありました。

 

 

 

薮宏太の言葉

「素敵な声援をいつもありがとうございます。これから4大ドームツアーが始まりますが、それにあたり、僕達Hey!Say!JUMPからお願いがあるので、代表して僕からお伝えします。僕達はライブ会場でみんなに会える時間が一番好きです。元気をもらってワクワクしながら、各土地に行きます。でも、その移動中、ほんと一部の人、私関係ないって思う人もいると思う。でも、マナーが悪い人達も最初はそうだったはず。僕らは構わない・・・というか、一般の人に迷惑をかけないでほしい。移動中ついてきたり、マナーの悪い人が本当に目立ってきたなって。毎年ツアーで会えるのはすごいうれしいけど、このままだと考えなきゃいけない。今後どうして行くかメンバー、事務所でも話し合ってる。ちょっと考えて僕らの立場になってほしい。光もブログで書いてくれたけど、光だけじゃなくて、みんな思ってる。光が忠告しても、昨日もいて。ホームや改札で押し合ったり。一般の人に怪我があったら、新幹線、飛行機が使えなくなる。会場に来れなくなる。だから、今日も新幹線ではない方法で帰ります。駅に行ってもいないから。ごめんね。会場にいる人はみんないい子ってわかってる。僕らも悲しくなるの嫌だし、皆も嫌でしょ?あの子もやってるから私もじゃなくて、あの子もやってないから私もやらないであってほしい。私は関係ないはやめてほしい。みんなも向き合ってほしい。ジャニーズファンの人はみんな関係あることだから。こんなこと言いたくないけど。よろしくお願いします」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

本人の口からこうしたことを言わせるのはファンとして本当に悲しいし、事態は相当に深刻なんだなって思いました。

 

薮君の言葉で印象的だったのは、「私は関係ないはやめてほしい。みんなも向き合ってほしい。ジャニーズファンの人はみんな関係あることだから」という部分です。

 

これは、一部のファンだけでなく、ジャニーズファン全体の問題、自分たちファン全員が向き合わなければいけない問題なんだと改めて考えさせられました。

もっと言えば、交通機関でのマナー違反だけでなく、関ジャニの大倉君が指摘したファンのストーカー的な行為、また交際報道をめぐるネット上での相手への執拗な誹謗中傷など、全体としてのジャニーズファンのあり方そのものが問われているんだと思います。

 

そして、ジャニーズとファンがいま直面する様々な問題を考えるとき、まず「ファンとは何か」という定義を一度整理する必要があるのではないかと感じています。

少し遠回りになるかもしれませんが、重要な問題だと思うので、考えをまとめておきます。

 

「ジャニーズファン」と一言で言っても様々な人がいて濃淡がありますが、「中核ファン」と「周辺ファン」の2種類に分けられると考えています。

では、「中核ファン」と「周辺ファン」をどう分類するのか?

ここではファンの行動から次のように定義してみます。

 

 

 

【中核ファン】

①ファンクラブに加入

②コンサート・舞台へ行く

③ドル誌・グッズ・関連商品の購入

④ラジオ番組を聴く

⑤ネットで発信する

 

【周辺ファン】

⑥CD・DVDを購入

⑦映画館へ行く

⑧ドラマ・音楽番組を見る

⑨バラエティ・情報番組を見る

⑩ネットをチェック

 

 

 

 

 

図にするとこんな感じです。

 

 

 

 

 

「中核ファン」の構成要件

①~⑤の行動のうち、2つ以上当てはまれば、「中核ファン」と定義したいと思います。

④のラジオは、テレビに比べ娯楽色が低く、出演も基本アイドル単体なので、それをわざわざ聴く行為は「中核ファン」の構成要件にしました。

 

ちなみに自分は・・・

①Hey!Say!JUMPファンクラブに入ってます。

②コンサートに行ったし舞台も鑑賞しました。

③ドル誌やジャニ写は買わないけど、うちわやペンラを買ったことがあります。

④「らじらー」はほぼ毎週聴いてます。

⑤TwitterなどのSNSでJUMP関係の書き込みはしていませんが、このブログを書いています。

 

つまり、自分は①~⑤すべてが当てはまり、2つ以上の要件を満たすから「中核ファン」ということになります。

ただ、「中核ファン」の中にも濃淡があって、複数名義所持、全ステ制覇、アイドル誌定期購読、1日に何度も担当についてツイート・・・などをしている人、そこまではしていない人、熱量は様々ですが、いずれもここでは「中核ファン」と呼びたいと思います。

また、「中核ファン」というと、岩盤のように強固な支持層というイメージがあるかもしれませんが、熱心であっても割と担降りして、別のアイドルの「中核ファン」になったりします。

 

 

 

 

「周辺ファン」の構成要件

次に、⑥~⑩の行動のうち、1つでも当てはまれば、「周辺ファン」と定義します。

⑥と⑦は有料なので「周辺ファン」の要件の中でも比較的ハードルが高いです。

⑧と⑨は、ある程度意識的にその番組を見る行為を指します。

例えば、「SUITSを見ていたら中島裕翔が出ていた」ではなく、「中島裕翔が出ているからSUITSを見てみよう」「櫻井翔が出ているからニュースゼロを見よう」「今日はセクゾが出るからMステにチャンネルを合わせる」という人たちのことです。

⑩も、そのアイドルの情報を知りたくて、能動的にネットニュースやSNSを検索したり登録したりしている人たちです。

 

自分の母親は今年初めて息子に連れられてコンサートに行きましたが、①~⑤の中では②だけなので「中核ファン」とは呼べません。しかし、山田涼介のドラマは欠かさず見ているので「周辺ファン」のカテゴリーに入るということになります。

 

 

 

 

 

「周辺ファン」が巨大化したジャニーズ

ジャニーズの中で「周辺ファン」を幅広い世代に極めて大量かつ継続的に獲得したのは、SMAPと嵐の2グループだけです。だからこそ彼らは「国民的グループ」と呼ばれています。

ジャニーズは伝統的に⑦⑧は強かったと思うのですが、SMAPの顕著な功績は⑨を開拓したことです。

アイドルが本格的なバラエティ番組を成功させた「SMAP×SMAP」の意義はここで説明するまでもないし、中居君や香取君はスポーツ・情報番組にも活躍の場を広げました。

 

続く嵐では、櫻井君が報道番組にまで進出。

さらに、SNS時代が始まり、嵐の「わちゃわちゃ」と言われるメンバーの仲の良さは⑩のネットで拡散されていきました。ファンはそこに「癒し」や「家族」を求めたとも指摘されますが、とにかく嵐はふわっとした民意を掴む独自のスタイルを確立しました。

こうしたパイオニアが築いた路線に他グループも次々に参入、ジャニーズ事務所という企業は巨大化し、メディアにも強い影響力を及ぼす帝国と呼ばれるようになりました。

 

ですから、事務所が重視するのは「周辺ファン」をいかに増やすか、という点です。

「中核ファン」を軽視しているわけではないのですが、「周辺ファン」は「中核ファン」に移行する「中核ファンの入口」でもあるのだから、ビジネスとしても当然です。

 

JUMPの将来的な夢は、メンバー自身が口にしているように「国民的アイドル」なので、やらなければいけないことは明確です。

もっと周辺ファンを開拓し、拡大しなければなりません。

中核ファンが「それは寂しい」「チケットが取りにくくなる」などと言っても仕方ありません。

 

 

 

 

 

ジャニーズが直面する課題2つの側面

このようにファンを分類した上で、現在のジャニーズが直面している課題を整理すると、次のように名付けられると思います。

「中核ファンの暴走」と「周辺ファンの縮小」です。

 

「中核ファンの暴走」は、薮君が直接、「一般の人に迷惑をかけないでほしい」とファンに呼び掛けた、ツアー移動中のJUMPメンバーを追いかけ回すマナー違反問題が象徴的です。

キンプリでは同様の迷惑行為で新幹線が止まる事態にまで発展しました。

大倉君が訴えたストーカーのようなつきまとい行為は犯罪と言っても過言ではありません。

また、ドラマなどで共演する女優へのネット上での過剰な批判、交際が報じられた女性の「匂わせ」なるものを執拗に探して誹謗中傷・脅迫する行為など、「中核ファンの暴走」はとどまることを知りません。

 

「中核ファン」の大多数は良識的なのですが、ごく一部に過激な人がいるのも事実です。

こうした人たちを「中核ファンの過激派」、略して『中核派』と呼んだらどうでしょう・・・

ただ、ごく一部と言いましたが、自分の担当の熱愛報道が出ると、「中核ファン」のかなりの規模の人たちも冷静さを失い、中には自担を批判する人も出てきます。以前書いたので詳しく触れませんが、どんな理由があれ、人の恋愛や結婚の自由を阻害する行為は、人権問題だと自分は思います。

 

話を戻しますと、「中核ファンの暴走」によって、薮君が言及したように公演が開催できない恐れが出たり、アイドルが精神的に追い込まれるという影響も出ています。

さらにこれが「周辺ファンの縮小」というジャニーズにとって深刻な現象にもつながっています。

 

「周辺ファンの縮小」については、CDセールスや視聴率などの指標もありますが、なかなか定量化できるものではありません。ただ、SMAPや嵐が牽引してきた「周辺ファン」の拡大基調は、ここにきて収縮、少なくとも勢いが失速していることは否めません。

 

その背景には、SMAPの解散や嵐人気の頭打ち、嵐に続く国民的グループが育っていないこと、あるいはLDHや韓流など男性アイドルの多様化、所属タレントの相次ぐ不祥事や事務所の対応のまずさなどがあると思われます。

また、不祥事に加え、これまで成功してきた「周辺ファン」を獲得するための方法論や営業力が、「ごり押し」「圧力」などとネット上で非難されるようになりました。

 

こうしたアンチの拡大にはSNSも大きく影響していて、「中核ファンの暴走」が、一般の人の目に触れ、ファンだけでなくジャニーズそのものを忌避する雰囲気がネット空間に漂っています。

まるで無党派層やふわっとした民意を掴むことができない今の野党のような状態です。

つまり、「周辺ファン」とは対極の「アンチ」の増大で、最も重視する「周辺ファン」が増えにくい構造が生まれてしまっているのが、現在のジャニーズの最大の問題であると思います。

 

 

 

 

 

課題克服のために

「中核ファンの暴走」と「周辺ファンの縮小」という2つの課題は、密接に絡み合っているわけですが、この課題を克服するためには、「暴走する中核ファンの正常化」と「周辺ファンが縮小する構造の是正」が必要ということになります。

 

薮君や光君、大倉君のようにタレント自らがファンのマナー違反を警告するのも、「中核ファンの正常化」という意味で、ひとつの対応策かと思います。

あとは、アイドルと向き合う時にも、学校や会社や一般社会と全く同じルールが適用されるのだという、ごく当たり前の意識改革がファンに求められます。

要は常識を持ってアイドルを楽しむということです。

「私は関係ないはやめてほしい。みんなも向き合ってほしい。ジャニーズファンの人はみんな関係あることだから」という言葉を、自分たちは心に刻まなければいけません。

 

「暴走する中核ファンの正常化」が達成できれば、「周辺ファンが縮小する構造の是正」にも一定の効果があると思いますが、事務所側もタレントの教育や営業方針の見直し、「周辺ファン」獲得への新たなアプローチの開発、ネットをはじめとするリスク管理の徹底など、改革すべきことは山積しています。

 

このままの状態を放置すれば、良識的な「中核ファン」さえ離れていきかねません。

「中核ファン」が空洞化してしまっては、「周辺ファン」の拡大どころではないわけですから、「中核ファン」はアイドルにとってやはり一番大切な存在のはずです。

 

 

 

マナー違反問題は深刻です。一方で、昨今のジャニーズをめぐる報道やネット上での議論は過熱ぎみで、様々な問題が混同され、ジャニーズやファンを全否定するような極端な言説も目立ちます。

他とは少し違う視点だったかもしれませんが、冷静な議論をするための前提として、「ファンとは何か」を整理することで、ジャニーズの課題の本質を整理することにつながればと願い、この記事を書いてみました。

皆さんが考えるときに、何かの役に立てば幸いです。