精神的に落ち込んだとき、読書はいいです。

 

で、最近読んだのが司馬遼太郎の「燃えよ剣」

 

我らがHey!Say!JUMPのエース、山田涼介が沖田総司役を演じる映画の原作小説です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これがめちゃくちゃおもしろかった。

 

学生時代に読んだときも「坂の上の雲」や「竜馬がゆく」よりこっちの方が俺は好きだなあと思った記憶はあったのですが、本棚から久しぶりに引っ張り出したら、びっくりするほどおもしろかった。

 

新選組ファンの千葉くんから借りた同じ司馬遼太郎の書いた短編集「新選組血風録」も読んでみると、これもすごかった。

 

司馬文学を再発見したような気持ちです。

 

剣士たちが腕一本で人生を切り開き、歴史を動かしていくってワクワクしますよね。

 

そこから新選組にもハマって、幕末に関連する本を読み漁ってます。

 

本に没頭している時間は、少しだけ失恋のことも忘れられますし

 

ま、二宮さんからは「またKくんの悪いくせ出てるねえ」と言われてますが(笑)

 

こういうときは現実逃避も悪くないと思うんですよね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、「燃えよ剣」の沖田総司(おきた・そうじ)ですが、非常に魅力的なキャラクターです。

 

最強の天才剣士、子ども好きで無垢な明るい性格、でもどこか人生を悟ったようなところがある薄命の美少年。司馬は「ちょっと色小姓にしたいような美貌」と表現しています。

 

山田涼介にピッタリじゃないですか!

 

そして、この小説の魅力のひとつが、主人公である土方歳三(ひじかた・としぞう)と沖田の会話です。

 

新選組って、基本的に時代の流れにさおさす存在なので、隊士たちはそれぞれ悲しい結末を迎えていきますが、どんなときも飄々としてユーモアを絶やさない沖田の言葉が、物語に救いを与えています。

 

「燃えよ剣」から沖田総司のお気に入りシーンを選ぶとするなら、一番隊組長として京都で大活躍する場面や、池田屋事件の喀血、山南敬介との惜別、土方とお雪の恋を後押しするシーンなどたくさんありますが・・・

 

個人的に一番好きなのは、京に上る前、まだ新選組になる前の、沖田のデビュー戦

 

現在の東京府中、月夜に沖田と土方がたった2人で大勢の刺客たちに挑んだ「分倍河原の決闘」のシーンです。

 

その章を抜粋でご紹介します。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「総司、これで斬れると思うか」

「さあ、どうかなあ。私は土方さんのように人を斬ったことはありませんのでね」

可愛い口許でからかうように笑って、刃をのぞきこんだ。

 

「こわいのか」と、土方歳三は聞いた。

「まあね。しかし、考えも及ばなかったなあ。私の一生で人を殺すような羽目になろうとは。いったいどうすればいいんです」

無理もなかった。

いかに道場剣術の俊才とはいえ、白刃の下をくぐるのは、いまが初めてなのである。

 

沖田と歳三は橋の下の闇を離れ、敵二人の左右にまわった。

「沖田総司、参る」

あざやかに胴を払ってたおした。

水ぎわだった腕である。

「土方歳三、参る」

奇襲は成功した。

 

沖田は、土方の背後にまわっている。

「総司、何人斬った?」

「三人」

落ちついている。

「が、土方さん、変ですよ」

言いながら、前に来た男を右袈裟に斬り、

「ほら、変でしょう」

「なにが」

「刀が棒のようになっている」

「そろそろ」

また一人、沖田に打ち込んできた。

沖田はあざやかに撃ち落としてから、さっと飛び下がると、

「そろそろ、何です?土方さん」

「逃げるか」

「それがいい。私はもうこんなのいやになった。こわくなってきましたよ」

そのくせ、沖田の太刀筋は落ちつきに落ちついている。

どんな斬り方をするのか、返り血もあびていない。

「逃げろ」

すぐ下の桑畑に飛び込んだ。沖田もついてくる。

 

歳三の足は早い。

沖田は追いすがるように

「一緒に帰りましょう」

「ばかめ。こういうことのあとだ。二人雁首そろえて本街道を帰れるか」

「土方さん」

沖田はくすくす笑った。

あとは言わない。

言えばこの男のくせで本気になってごまかしてしまう。

(女の所だな)

沖田はまだ女の味を知らない。

どういうわけか、そういうことには生まれつき淡いほうらしく、道場の連中が岡場所の女に夢中になったりするのをふしぎに思っている。

が、いまの歳三の気持ちはなんとなくわかるような気がしたから、「では、ここで」と言った。

沖田は聞きわけのいい坊やのような微笑を残して、真っ暗な桑畑の中へ身を入れた。

 

 

以上、「燃えよ剣」から引用再構成

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

このころの司馬先生、筆が冴えわたってます!

 

天才剣士沖田総司のかっこよさとかわいさが、テンポよく生き生きと描かれていて、筆から沖田というキャラクターへの強い愛情を感じるし、読んだら誰もが沖田のファンになっちゃうと思います。

 

そんな沖田を山田くんがどう演じているか、今から楽しみでしかたないです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ということで!

 

関連本を読んだり、歴史好きの千葉くんに教えてもらったりして、新選組に少し詳しくなりました。

 

せっかくなので、歴史は苦手という方のために、映画「燃えよ剣」鑑賞前に知っておきたい、沖田総司や新選組の基本情報を、なるべくわかりやすくまとめてお伝えしようと思います。

 

ここから書くのは「燃えよ剣」のストーリーではなく、あくまで歴史的事実です。

 

小説も映画も歴史背景を知っていると一層楽しめるし、山田くんの演技の意味の理解にもつながると思うので。

 

 

 

 

 

題して・・・

 

 

 

「燃えよ剣」が100倍おもしろくなる!?

新選組沖田総司の真実

 

 

 

 

 

 

新選組とは

黒船襲来で日本には「尊王攘夷」の嵐が吹き荒れました。

その中で「幕府を討ち野蛮な外国人を排斥しよう」という過激派があらわれ、京都で暗殺やテロ、不法行為を繰り返していました。

ちなみに過激思想に最も染まっていたのが長州藩です。

当時の長州には「尊王攘夷原理主義」ともいうべき狂信的集団がいて、のちに同盟を組む薩摩藩からもドン引きされてるくらいでした。

そうした過激派の取り締まりを幕府から「外注」された「特別警察」が、新選組です。

正確にいえば、幕府から京都警備を「外注」されていた会津藩から、さらに「外注」された「孫請け」ということになります。

本来ならば幕府のサムライたちがその任に当たればいいはずなのですが、250年の泰平の世ですっかり官僚化してしまい使い物にならなくなっていました。

そこで「強いやつ募集!身分は問いません!」と集められたのが、芹沢鴨のような浪人や近藤・土方のような農民出身の剣の達人たちです。

 

 

沖田の亡父は足軽小頭とはいえ武士だったので「エリート若手刑事」といえます。

近藤勇は「人望あるリーダー」、土方歳三は「鬼軍曹的ナンバー2」で、いずれも剣の腕は一流でしたが、本当の武士ではありませんでした。

彼らは真のサムライになることをずっと願っていたのです。

身分制度の厳しい時代、そんなチャンスはそうそうありません。

彼らは一生懸命働きました。

過激派をバッサバッサ斬りまくり、一方で組織内には厳しい規律を設け、違反した者を粛清する内ゲバや派閥争いを繰り広げました。

 

 

 

 

 

 

池田屋事件とは

そんな新選組を一躍有名にしたのが、池田屋事件です。

長州などの過激派は「風の強い日に京都中に放火して、御所も焼いちゃって、そのドサクサに天皇陛下を拉致して長州に連れ去ってしまおう」という恐るべきクーデターを計画していたのです。(諸説あります)

この陰謀の証拠を新選組は事前にキャッチし、秘密会合が行われていた池田屋という旅館に踏み込み、過激派を一斉検挙しました。

 

 

検挙といっても死人に口なし、多くはその場で斬り捨てちゃったわけですが。

さらに証拠というのも長州の関係者を拷問して証言させたものでした。

池田屋事件摘発は「強引な国策捜査」みたいなものでしたが、クーデターを未遂に防いだとして新選組の名声は天下にとどろき、近藤や土方は一気に政局の主役に躍り出て、組織をさらに拡大していくことになります。

一方で、この事件をきっかけに、ただでさえアブナイ長州藩で「無実の同志が殺された」と強硬論が沸騰、長州軍は京に進軍し、御所に突入しようとしますが、西郷隆盛率いる薩摩軍に阻まれ、壊滅的な敗北を喫します。これが「禁門の変」です。

「禁門の変」によって、京の街の3万戸が焼失し、戦火を交えた長州と薩摩の関係は決定的にこじれてしまいました。

クーデター計画が本当にあったかどうかは別にして、新選組の「やりすぎ」が歴史の逆行と戦災につながったというマイナス評価もあります。

 

 

 

 

 

 

沖田総司とは

元隊士の証言では、実際の沖田総司は「燃えよ剣」で描かれたような美少年ではなかったようです。

近藤や土方のように写真を残さなかったので、創作の余地があったということでしょう。

でも山田くんが演じるのは、あくまで「燃えよ剣の沖田総司」ですからね。

ちなみに千葉くんの推しメンは土方歳三です。

千葉くんによると、新選組で一番女にモテたのは土方で、芸者さんからのラブレターがたくさん残されているそうです。

俺が「へーそんなにモテたんだ~千葉くんみたいだねえ」と言うと、千葉くんは「最近、僕へのあたりきつくない?」と困った顔をしていました(笑)

 

 

沖田が子ども好きで、冗談ばかり言ってる陽気な若者だったというのは事実のようです。

剣の腕前が天才的というのも本当で、新選組の一番隊組長という花形ポストに就いたのは20歳そこそこ、数々の修羅場をくぐり抜けながら一度も負けていません。

「燃えよ剣」の中でも、数えきれないほど人を斬ってますが、斬った直後に祇園祭の鉾を無邪気に眺めて刀をはらうような「ふしぎな若者」だとも司馬は指摘しています。

そんな沖田を倒したのは剣ではなく、結核という病魔でした。

池田屋事件の戦闘中に激しく咳き込み血を吐いて戦線を離脱、着物に付いた吐血の痕を「返り血ですよ」と仲間に誤魔化すシーンは「燃えよ剣」にも出てくる名場面です。

 

 

 

 

 

 

新選組と沖田の死

沖田は病を押し反政府活動の取締りに奔走しますが、時代は大きく変化していきます。

池田屋事件の3年後に大政奉還、命がけで守ろうとしていた幕府そのものが消滅してしまいました。

翌年には薩長などが樹立した新政府と旧幕府が激突する鳥羽伏見の戦いが勃発。

このころ沖田は病床にあり、戦いには参加せず、大阪城内で治療を受けていました。

 

 

新選組は、あくまで「外注」の「警察組織」であって、「軍隊」ではありません。

ですから、鳥羽伏見の戦いという実際の戦争では、近代化された新政府軍に勝てるわけはありませんでした。

そして、総大将の徳川慶喜は錦の御旗を恐れ敵前逃亡。

生き残った隊士も江戸に入りますが、官軍と戦う気のない慶喜は、徹底抗戦を唱える近藤や土方たちが邪魔になり、甲州で官軍と戦ってほしいという理由をつけて江戸から遠ざけてしまいます。

甲州行きにも沖田は何とかついていきますが、途中で病が悪化、江戸に戻されます。

かくまわれていた千駄ヶ谷の植木屋で沖田は亡くなりました。25歳だったとされています。

 

 

死の間際、庭にあらわれた黒猫を名刀「菊一文字」で斬ろうとして力なく、「ああ斬れないよ」と嘆いて絶命したという逸話があります。

これも創作と思われますが、死ぬまで「菊一文字」を病床に置いていたのは事実らしく、この名刀「菊一文字」と沖田の出会いを主題にした短編が「新選組血風録」に収められています。血風録で一番好きな話です。

近藤勇は甲州の戦いで敗れ、千葉で捕らえられて斬首。33歳。

土方歳三はその後も抵抗を続け、北海道に渡って理想国家建設の夢を追いますが、五稜郭の戦いで新政府軍に突撃して戦死。

最期まで「士道」を貫きました。34歳でした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

参考になったでしょうか・・・

 

歴史に翻弄された悲しくも美しい天才剣士を山田涼介ならきっと演じ切ってくれるはずです。

 

ちょっと早いですが、劇場で山ちゃんの勇姿を見届けましょう!

 

映画「燃えよ剣」は、5月22日公開です!!