その雑誌のページを閉じ、ため息をついた。
表紙には、女を抱く上半身裸の山田涼介と
「愛とＳＥＸ」の文字
罪悪感と後悔が襲ってくる
メンバーのグラビアで、俺は・・・
あの日、楽屋に置いてあったものの中から、一冊を密かに持ち帰った。
山田のせいだ
こんな写真
美しすぎるから
「愛とＳＥＸか・・・」
欲望の残骸に目をやると、自己嫌悪に陥った。
それを振り払うように、投げ捨てると
ゴミ箱の縁に当たり、ポトリと床に落ちた。
「くそ」
ベッドから起き上がり、拾って投げ入れ、ベランダへ向かう。
そうだ、今夜はペルセウス座流星群が見られるって、ニュースでやってたな
外に出ると、夏の夜風が体を包み込んだ。
最近、引っ越した高層マンションからは、東京の夜景と夜空が一望できる。
その夜は星空がいつもより近いように感じた。
きれいだなあ
山田も見てるかなあ
山田にも見せてあげたいな
しばらく目を凝らした。
でも、流れ星を見つけることはできなかった。
「都会じゃ見られるわけないか」
自嘲気味に部屋に戻ろうとしたとき
ひときわ輝く星が、すっーと落ちはじめた
え
流れ星
あ、こんなときは願い事！
とっさに目を閉じた俺はこうつぶやいていた。
「神様、山田と付き合いたい」
目を開けると、もう流れ星の姿はなかった。
「ふっ」
自分で自分がおかしかった。
何をしてるんだ俺は
それは叶わない願い
星に願ってはいけない願い
メンバーのことを好きになってしまった。
片想いは１０年になる
ストイックで、真面目で、責任感が強くて
いつもグループのことを第一に考えてる
仕事では強気だけど、本当はピュアで
下ネタが苦手なのもカワイイ
容姿端麗で、内面も美しい、うちの絶対エース
好きにならない方がおかしかった。
でも、この想いを言葉にすれば
山田の隣にいることはできない
メンバーもファンも裏切ることになる。
絶対に叶わぬ恋
１０年間、何度も何度も反芻した思考
考えに考え、悩み、苦しみ、到達した結論
想いを封印し、メンバーとして
喜び悲しみ受け入れて生きる
そう決めたんだ。
俺はａｎａｎが置かれたベッドにダイブした。
愛用の抱き枕をギュッと抱き締め
もう一度、自分に言い聞かせる。
絶対に口にしない。
中島裕翔は、山田涼介を愛してると
つづく