官吏とその側近達が消えて暫く後、村役人など縁のないこの村に司憲府(サホンブ)が入ると、助役含め、全ての者が捕縛された
そして、助役の地下蔵に何故か姿を消していた筈の倭寇の者達が居た為、倭寇を匿った罪も含め、改めて厳しく尋問される事となる
村の人達は漸く安寧が訪れると喜んだが、ふとある事に気付いた
――官吏は一体何処へ?
この機に乗じて姿を晦ましたのか
だとすれば、
ほとぼりが冷めればまた戻って来て好き放題するつもりかもしれない
何処までも汚い奴だ、と皆、口を揃えて不快感を顕にし、唾を吐いていた
そんな、ある日
朝靄も残る頃
漁へと駆り出そうした漁師が船着き場へとやって来た時、
其処に何やら見慣れないものが立っているのが視えた
漁師は首を傾げながらもその見慣れぬものへ近付いていくと、
それは太い大きな柱で、何やら妙なものが括り付けられている
漁師が恐る恐るそれに近付くと、
まじまじとそれを見つめ、思わず大声を挙げ腰を抜かした
「うわぁぁぁぁぁっ!」
腰を抜かしながらも、急いで村の方へと駆けていく
「誰か!誰かぁぁぁ!官吏が、官吏が……」
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