§お久しぶりです! | なんてことない非日常

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§お久しぶりです!




 「お久しぶりです!敦賀さん!!」



テレビ局の廊下で会った先輩俳優に、新人タレントの最上 キョーコは大きな声でそう挨拶をした。

普段はとても温厚で、春の日差しのような優しい笑顔と態度で接してくれるの人なのだが・・。



「ああ、誰かと思ったら・・・最上さん?・・・本当に久しぶりだね?」



春の日差しをぶち壊す、春の嵐の前の静けさと言うべきなのかひんやりとした空気を漂わせて彼は笑顔・・なのだがそうは見えない表情でキョーコに挨拶を返してきた。



「この間会ったのは・・・桜の花も咲く前だから・・・かれこれ3か月近くかな?その間君は事務所の先輩である俺に挨拶をしに来ることもなくさぞ忙しい毎日を暮していたんだね?」



「え・・・そ、そういうわけでは・・・・」



蓮の厳しい口調にキョーコは驚きながら首を振るしかなかった。

こんなこと言う人ではないと頭では思っていても、下手に優しくされて反省しそびれることへの恐れが蓮の異様な言動を受け止めていた。



「・・・・はあ・・もういいよ・・・たいして忙しくもないのに挨拶にすらこれないほどのダメ新人にいくら言ったところで改善することなんかできやしないんだから・・・ただ、これからは事務所の後輩という立場で近づいてこないで欲しい・・・さよなら・・・・」



蓮は悲しそうに瞳を伏せると、キョーコの前から立ち去ってしまった。



「そっ・・待って・・・敦賀さん!申し訳ありませんでしたあああ!!!!!!!」



ガクン!と体が揺れてキョーコははっと目を覚ました。

どうやら居眠りをしていたらしい。


どうりで実に厭味ったらしい事を言うなとキョーコは一人納得した。

なぜなら先ほど、一人で悶々と考え込んでいた時に『敦賀さん人形』で自分で自分に言ったせりふだったからだ。


しかし場所が悪かった。

撮影に入る前の打ち合わせ中だった共演者やスタッフたちが一斉にキョーコの方を見つめていた。


その様子に、キョーコはポカンとするもののその前に叫んでいた言葉を思い出して赤面した。



「す、すみません!お騒がせしました!!」



キョーコは即座に立ち上がり深々と頭を下げると、撮影所がどっと沸いた。



「あはは!京子ちゃん、いったい何やらかしたの?」



「敦賀君、あんまり厳しくすると可愛い後輩がなついてくれなくなっちゃうよ?」



「へ?・・・・!!」



監督や俳優仲間からヤジが飛んできたが、その言葉で自分の傍らに蓮がいることを思い出したキョーコは青ざめてゆっくりと後ろを振り返った。



「ひどいな・・・最上さん・・・夢の中で俺は君に怒ってたの?」



にっこりとほほ笑む蓮にキョーコは恐怖の雄たけびを発しそうになりながらも、それを両手で塞いで首を振った。



「そっか・・・それならよかった」



キョーコの行動に蓮はいつものように良い先輩の顔でにっこりと笑顔を作った。



「もし俺が怒っているとしたら、なかなか挨拶ができなかったことじゃないからね・・・」



「へ?」



腕組みしてため息交じりでそう言った蓮の真意がわからず、キョーコは?マークを頭の上にたくさんつけて首を傾げた。

その表情に蓮は、少し苦笑した。



「普段は気を使い過ぎて気を張りまくっている最上さんが現場で居眠りをしてしまうくらい、今忙しくて無理をしているということだろ?まだ専属のマネージャーがついていないんだから自分の体の管理は自分でしなきゃいけないっていうこと」



「!!そ、そうですよね!・・すみません!!」



蓮の助言にキョーコが頭を下げたことで、その場がまとまりまた撮影が再開された。

その様子を見ながら蓮は、ちらりとキョーコの横顔を見た。


そこには居眠りしてしまう前の、しんどうそうな表情ではなく気合を入れなおし活き活きと打ち合わせを見つめている横顔だった。



「・・・一番の不満は、俺に寄りかかってくれないことだよな・・・」



先ほど船を漕いでいるキョーコの横にさりげなく来てみたのに、キョーコは寄りかかりそうで持ち直しまたぐらついても元の姿勢に戻るということをしていた。

そんな不満を小さな声で漏らしても、キョーコに届くはずもなかった。



「?・・・何か言いました?敦賀さん」



「なんでもないよ?・・・また共演できて嬉しいよ」



「私もです!これからもよろしくお願いいたします!!」



「うん、よろしく・・・できれば・・・・ずっとね」



「はい!ずっと!!」



にこにこ笑いあう二人の後ろで、社は飽きれつつ盛大なため息をついたところでようやく二人の出番が来たため呼ばれた。



「いこうか?」



「はい!行きましょう!」



たくさんのスタッフや共演者が笑顔で待ち構える中、二人は気合を入れなおしライトが眩しいセットの中に向かうのだった。




end






≪と、いうことで!!ただいまです!!

前回戻ってくるよ~と言いながら、あっという間に一月近くたってようやくこれ↑です。orz

他のお話で戻って来ようとしたのですが、ボツ出しまくりで書き進まなさに絶望すら感じました。

成長はしないが、後退はするんだね・・・ハハハ・・


まあ、お話の中でキョーコちゃんに言ってもらいましたが、「みなさん、挨拶だけして申し訳ありませんでしたあああああっ!!」(((( ;°Д°))))

これからもボチボチではありますが、のんびりと我が家にお付き合いいただけたら幸いです。


よろしくお願いいたします!!できれば、ずっとww       ユンまんまでした≫