受精卵にとって良い環境とは | 両角 和人(生殖医療専門医)のブログ

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生殖医療専門医の立場から不妊治療、体外受精、腹腔鏡手術について説明します。また最新の生殖医療の話題や情報を、文献を元に提供します。銀座のレストランやハワイ情報も書いてます。

体外受精で胚を管理している部屋は培養室(ラボ)と呼ばれています。


以前の記事 も参考にして頂けたらと思いlますが、培養室は一般的にはクラス1000~10000程度のクリーンルームとなっている施設が多いと思われます。


培養室は大体採卵室と隣り合わせの位置にあります。

採卵の際や胚移植の際に、出来るだけ胚の移動距離が少なくて済むように隣接して設計されています。


室温は年間を通して大体(27度前後)一定に保たれています。

湿度も大体一定に保たれています。

また胚にとって光は害となるため、培養室には窓は無く、作業に支障の出ない程度の照明を用いています。

紫外線を出さないLEDを採用している施設も増えています。


災害時の停電に備えて無停電電源装置(UPS:Uninterruptible power supply)を備えている施設もあります。UPSは停電時に瞬時に電源が切りかえられ、培養庫などへ電気を送る事が出来ます。また自家発電装置などを保有している施設もあります。


また培養状態(温度、ガス濃度など)に何か異常があった場合に、自動で責任者の携帯電話へ連絡が行くようなシステムを採用している施設も多いようです。


培養室がどの程度クリーンであるべきか?

クリーン度と培養成績は関係しているのか?

この様な疑問もありますが、培養室のクリーン度と妊娠率を調べた報告によると、相関関係は特にないと言う報告がありました。

ただ空気の清浄度は必須であり、HEPAフィルター等で空気を浄化する必要があります。特に近年揮発性有機化合物質(VOC) に対する対策は必要となっています。