AMHの正常値 | 両角 和人(生殖医療専門医)のブログ

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今月号のHuman ReproducitonにAMHの正常値について調べている文献がありましたので紹介します。


背景

AMHは卵巣機能の評価に使用されている。

AMH濃度は不妊センターで調べらているいる事が多いが、今回の研究では妊娠している女性のAMH値を調査した。


方法

フランスのニースにある大学病院で調査した。

15歳から50歳の340名の女性を調査した。

全ての女性が自然妊娠しており、妊娠初期(14週未満)であった。


結果

AMH濃度の中央値は2.42ng/ml(25-27 percentiles 1.19-4.12)

AMHと年齢は相関していた。

AMHは29歳まで上昇して、それ以降は低下した。

15~50歳までのグループでAMHの正常値は異なった。

0.75ng/ml以下が47名(13.5%)いた。

さらに0.4ng/ml以下が10名(2.8%)いた。

さらに検知できないケースが3名いた。


結論

フランス人の妊娠している女性のAMHの正常値が判明した。


この結果から言える事として

妊娠している女性のAMHを調べていて、とても参考になる文献です。

また、AMHが極端に低くても妊娠している事が判明しており、例えば検知不可能レベルでも妊娠しています。

そのためAMHが極端に低いからと言って妊娠できないと言う事にはならないと言えます。


Normal serum concentrations of anti-Mullerian hormone in a population of fertile women in their first trimester of pregnancy.

Massé V, Ferrari P, Boucoiran I, Delotte J, Isnard V, Bongain A.

Hum Reprod. 2011 Dec;26(12):3431-6.


この論文の考察に「AMHと喫煙に関して調べている」論文がありました。

この文献によると、「喫煙をしていてもAMHには影響ない」との事です。

Smoking and AMH levels in women with normal reproductive history.

Dafopoulos A, Dafopoulos K, Georgoulias P, Galazios G, Limberis V, Tsikouras P, Koutlaki N, Maroulis G.

Arch Gynecol Obstet. 2010 Aug;282(2):215-9