腹腔鏡手術を行ってみると卵管のいろいろな異常が見つかります。
卵管の長さが長すぎるケース、短すぎるケース、向いている方向が卵巣から遠ざかるケース、卵管采の異常(過去の記事も参考にしてください卵管采の奇形
)、、、等実に様々です。
この様な卵管の細かい異常は卵管造影検査(以下HSG) では詳しくはわかりません。
HSGはあくまで卵管が通っているか、詰まっているかくらいしか判別ができません。
今日はその中でも特に興味深い異常について説明したいと思います。
なおこれらの事は教科書にも書かれておらずほとんど知られていないことです。
①ダミーの卵管
普通卵管は左右に一つずつあり、卵巣から排卵した卵子を卵管采から取り入れて、その後精子と出会い受精へと向かいます。
ダミーの卵管があるケースがあります。
エクストラチューブと呼んでいますが、正常な卵管のわきに小さい偽物の卵管があります。
この卵管は行き止まりであり卵子を取り入れても子宮まではたどり着くことができません。
もしこの卵管に卵子が取り込まれても妊娠することはありません。
手術ではこのダミーの卵管は切除します。
②卵管に穴が開いている
もう一つの興味深い異常として、卵管の途中に穴が開いているケースがあります。
これもHSGでは見つけることが難しい異常なのですが、腹腔鏡検査の際には見つけることができます。
この穴がどうして問題かというと、せっかく卵子が卵管に取り込まれてもこの穴から外に出てしまう可能性があります。
また精子もこの穴から外に出てしまう可能性もあります。これでは妊娠できなくなってしまいます。
手術ではこの穴を塞ぐ事を行います。