凍結胚移植のメリット、デメリット | 両角 和人(生殖医療専門医)のブログ

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生殖医療専門医の立場から不妊治療、体外受精、腹腔鏡手術について説明します。また最新の生殖医療の話題や情報を、文献を元に提供します。銀座のレストランやハワイ情報も書いてます。

凍結胚移植のメリット、デメリットについて説明します。


1) メリット

a.妊娠率の向上

これが最大のメリットといえます。やはり内膜の状態を整えた後の移植のために妊娠率は向上しています。

b.多胎の防止

凍結が可能になったことで単一胚移植が増加し、その結果多胎の頻度が減少しました。

その他OHSSのリスクが減らせるという事も挙げられます。



2) デメリット

a.治療が遅くなる。

新鮮胚移植に比較し、次の周期以降での移植になるため妊娠までの期間が遅くなります。

b.凍結および融解によるコストの発生。

凍結、融解に対してコストが発生します。

c.融解後に胚の変性が認められる。

融解後に数%の胚に融解後変性が認められています。

凍結および融解という手技自体が胚にストレスをかけている可能性があります。

d.将来への不安。

現時点で分かっていない凍結融解操作にリスクがある可能性があります。

今後長期的に児をフォローしていくと今後何らかの異常が出てくる可能性はゼロではありません。

e.透明帯の硬化

凍結後に透明帯の硬化が認められるために、原則的に融解時全例にAHA(透明帯開口術)を施行しています。