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自分のことについては、不可能でも理性の思うところに従おうと努力するのが人間らしい。人間関係については、無理をしないのが人間らしい。この二つを混同するのが、間違いなのである。

 

 

 

 

(自分だけの問題には無限に努力することが人間らしいけれども、人間関係の問題では、同様に無限に努力することには問題があり、この二つを分けることこそ人間らしい。人間関係の問題では、相手を受け入れるかどうかが問題となるが、ここで、相手を受け入れるよう無限に努力するのが人間らしいと説くのはおかしい、という気づきを、ぼくは得た。自分が自分に関わる問題と同様に人間関係問題で努力するのが人間らしいと説くことは詭弁だ、とぼくは気づいた。気づいてみれば当たり前のことで、相手を受け入れることが自分を失うことになっては、元も子もない。そんなことのために無限に努力するために、ぼくたちは生きているのではないのだ。その実現のために無限に努力している自分自身と調和する相手かどうかを感じ極めることこそ、人間関係において大事なことであって、これは努力の問題ではなく感覚の問題である。この区別が分からない者は、愛についても何も分かっていない、とぼくは思う。無理をした偽善の愛しか知らず、真に自分を愛することも分かっていないのだ。これは、当たりまえなようで、世のなかの実際においては大変難しい問題になっている。)