「坊」の恋


<sisen-R->



やっぱり・・・俺は未だに『先輩』としか思われてないんだろうか・・・。

あの一件以来、少なくても『先輩』なれたとは思ったのに・・・。

「お前・・・大丈夫か?」

「大丈夫ですよ。」

「そうは見えないけど・・・。」

鋭い社さんには、俺の今の気持ちなんてお見通しみたいらしく、心配される。

「本当に大丈夫ですから。」

「なら、いいけどさ。」

俺は苦笑いするしかなかったけど、その後はいつものように社さんは接してくれた。

それがありがたかった・・・。



『敦賀さん。』

どうしたら、俺はあの子の一番になれるのだろう?

出会ったときには、既に「アイツ」が彼女の中にいて・・・。

あの優越感の表情を思い出すと今でも心がドロドロして、いやになる。

こんな俺を知ったら、あの子はどう思うのだろう・・・分からない。

「・・・ません。今日はちょっと・・・。」

俺がTVでそんなことを考えながら移動していた時だった。

聞き覚えのある声に動きを止める。

「そっか・・・じゃあ、今度ね。」

目線の先には、残念そうに苦笑いする男と

「はい、すみません。」

かぶったところをみた俺は衝撃を受けた。

どうみたってあの着ぐるみは俺が相談をしていた鶏だったからだ。


まさか・・・あれが最上さんだなんて・・・。


そう思うと怒りがくつくつと湧き上がってきたけど、

「気づかない俺も、どうかしてる・・・。」

思えば、このTV局での仕事を彼女は話したがらなかった。

なぜ気づかなかったんだ・・・。

それよりも本人に恋愛相談してたなんて・・・。

「アホだろ・・・。」

あまりにも自分のアホさにあきれるしかなかった。

『口説き落とせ!!』

そういえば・・・そんなことをいってたな。

「・・・いいだろう・・・。」

口説き落としてやろうじゃないか。

君のアドバイスのままに・・・!!絶対に落としてみせる・・・!!


そう決意した俺は、彼女に背中を向け、逆の方向へと歩き出したーー。











あとがき

ってことで、蓮編はなんか短くなりました;


しかも中編が二個目に・・・まぁ、短編ってことでお見逃しを・・・。

それではまた・・・。