「…疲れた…。」

蓮は半端なく疲れ果てた。

ベッドには熱によって頬を染めているキョーコがおり、彼が脱がしたために今は何も着ていない。

シーツがキョーコの体を隠しているだけの状態である。

「やっぱり、これは拷問だ…もしかしたら、社長の陰謀かも…。」

もう蓮は泣きたくなった。それもそうだろう、彼は健全な男子である。

手を動かす度にキョーコが体をよじったりするため、何度も何度もタンを飲み込む度に理性のこよりが切れそうになった。

その為、疲れ果てた蓮は拷問だと思い、ローリィの陰謀ではないかと考えてしまう。

「…とりあえず…暖かくさせないと…。」

このままでは、一向に熱が下がらないため、暖房の温度をあげ、床に下げてあった布団などを彼女にかける。

「あとは服だな…。」

無意識に服が必要だと蓮は口にしたが、

(またかーー!!)

心の中で絶叫した。

「…またやるのか…さっきの拷問…。」

けれど、やらなければキョーコの熱は悪化する。

「…はぁ~~。」

長いため息をした蓮は、仕方ないため、覚悟を決めたのか、女の子でも着れるものを探しに行く。

彼の服で着れるものと言うと蓮は自分のパジャマしか思いつかない。

なにしろ、ボタンがないと着せられないのだから。

しょうがないので、やはりパジャマにしてキョーコが寝てる寝室に戻り、

「…耐えろ、俺…。」

ブツブツ言いながら、蓮は脱がせる時もやったように、キョーコに組み敷くような体制になって作業を始めた。

数十分後。

「…やっと終わった…。」

身も心も疲れた果てた蓮がベッドサイドに座っていた。

「よくやったよ、俺…。」

蓮は自分を称える。

「…う…ん…。」

すると後ろのキョーコが大きく動いたので、慌てて立ち上がり、彼女の顔を覗く。

うっすらと彼女が目 を開けた。

「あ…良かった。目を開けて…。」

蓮はホッと胸をなで下ろし、

「…敦賀さん…?」
「そうだよ?君、事務所の近くで倒れてたんだ。」
「…そうなんですか…?あ…頭がボーとする…。」
「無理もないよ。最上さん、熱があるから。」

苦笑いした蓮は、キョーコの額に手を当てて熱を計ると、

(まだ全然熱いな…。)

「しばらく寝てていいから。」

彼女に微笑んで言う。

するとだ。

キョーコは幸せそうに笑った…。