煌びやかなパーティー会場。
その会場の扉が開かれて、皆がそちらを自然とみると一瞬にしてザワザワしだす。
そこにキョーコの腰を抱いたレンがいたからだ。
王の側近であるレンが今まで女性を正式な場所に一度も連れてきたことなどないため、貴族のお嬢様たちの色んな視線を一気に集めるキョーコ。
一方、他の視線はレンに向けられている。原因は彼の服装。今の彼の服装は騎士団の服ではなく、この国の王家が着ることが許されている紋章が刺繍された服を着ているためだ。
一体どういうことだと周りが思っているとレンたちは歩きだし、真ん中を通ろうとするため、無意識と皆が道をあける。
レンたちは王と王妃がいる王座の前で止まり、
「いい?キョーコ。」
レンは彼女に訪ねるとキョーコは頷き、二人は同時に指をパチンと鳴らし、魔法を解く。
魔法が解けたのと同時に周りは驚く。そこには王妃に似た美しすぎる王子とジュエル王国の姫君がいた。
「父上、母上。戻って参りました。」
「よく戻ってきた、我が息子よ。」
レンとキョーコは片膝を床につけ、王と王妃に礼儀をする。
王は嬉しいに笑う。本当の意味で息子が戻ってきたのだから。
「はじめまして。わたくしはジュエル王国の王女、キョーコともうします。」
キョーコは深く頭を下げる。
「まあっ。あなたがキョーコ?じゃあ…。」
王妃が期待するように我が息子をみると彼は微笑んで、
「はい、母上。私はこのジュエル王国の王女、キョーコ姫に求婚しました。」
「嬉しいわっ。こんな可愛らしい姫が私の娘になるのね!」
ぴょんぴょん跳ねて子供のように嬉しがる王妃。そんな王妃に本当に王妃なのか一瞬疑ってしまう周囲の人々たち…。
「ごほんっ。」
王妃の近くにいた年老いたメイドがワザとらしく咳をすると王妃は我に返ったように慌てて椅子に座り直す。
ちなみにこのメイドは、王妃の教育係だったとか何とか…。
「…ここに連れてきたと言うことは、つまり彼女は承諾したと言うことだな?」
「はい、父上。」
「意義はないか?キョーコ姫。」
「はい。そのとおりです、国王陛下。私はクオン王子の求婚に承諾いたしました。」
王の問いに二人は頷くと、
「そうか。では…。」
にこやかに笑って、次の話に進めようとしたら、
「ま、待ちやがれ!!」
割って入ってきたのはアトカキ王国のショウ王子だった…。