「え…。」
キョーコは一緒に住まないかと蓮に誘われて、戸惑った。
「戸惑うのは当たり前だと思う…でも、君を1人にしておけないんだ…。」
「敦賀さん…。」
「それに…俺のほうでもマンションを探したんだけど、なかなか良い物件がなくってね…君は未成年だし、何よりも女の子だ。安いところは皆、セキュリティーが良くない。でもセキュリティーをとると、家賃が高くて君が苦労する。」
「せ、セキュリティーが良くなくても良いんですよ?」
泥棒が入ってきても、盗むものなどないだろうとキョーコは思ったのだが、
「良い訳ないだろう!?」
蓮が急に怒って、怒鳴った為に彼女は驚く。
「何かがあったらどうするんだ!?家に忍び込んでくる奴が金目当てとは限らないんだぞ!?」
「お、お金じゃないんなら、何を…。」
「それは…!!」
つまり、キョーコ自身…いや、この場合は“女”目当てと言ったほうが正しい。蓮はそう言う犯罪を口にしそうになったが、女性に言う言葉ではないため、
「と、とにかく、セキュリティーがなってないところは俺は絶対に反対だから。」
高ぶった気持ちを必死に落ち着け、
「だから、そうなると必然的に家賃の高い場所になるから、それならいっそ、俺のマンションの一部屋を貸したほうがいいと思ったんだ…。」
結論的に自分のテリトリーにおいたほうがキョーコは一番安全なのだと蓮は思ったようだ。
「で、でも、お、男の人と住むなんて…。」
モジモジと恥ずかしそうにキョーコは言うが、
「…今まで男と住んでたのに?」
「そ、それとこれは別問題です…!」
正論を言われて言い返す。全くもって別問題だ。男と言っても相手は幼なじみでずっと好きだったのだから戸惑う必要などなかった。
「別問題か…まあ、確かにそうなんだけど…。」
蓮はよく分からないが軽くショックを受け、
「大丈夫。変なことなんてしないから。」
苦笑いを浮かべるとキョーコの頭を撫でようと手を伸ばすが、
「…あ。もしかして頭を撫でるの嫌かな…?」
よく考えれば、頭を撫でるのを嫌かもしれないと思って、彼女に聞くと、
「そんなことないです。敦賀さんの手、温かくて好きです。」
キョーコは首を振り、頬を染めて嬉しそうに笑ってくれる。
それを聞いた蓮はとても嬉しくなって、彼女の頭を撫でるとキョーコが気持ち良さそうに目を閉じた為、さらに機嫌は良くなって、
「じゃあ、一緒に住んでくれる…?」
「…はい。」
確かめるようにたずねれば、笑顔でキョーコは頷いてくれたのだった…。