(…昨日は逃げられたが、今日こそ聞いてやるぞ!!)

朝の6時に蓮のマンションの前に社は立っていた。

昨日、蓮が思わず抱きしめてしまう特定の女性=蓮の想い人について、それはもう、しつこく社は彼に質問したのだが、さすが俳優と言ったところか、蓮のほうが一枚上手で、交わされまくり、今日こそは吐かせてやるぞっと意気込んでいる。

(よし、いくぞ!)

フンっと鼻をならして、蓮が住んでいるフロアに向かい、限界の前にたって、チャイムを鳴らした。

「…まだ寝てるのか?」

鳴らして一分経過したが、反応がないため、寝てるのかと思ったが、

「いや、そんなわけないよな…今日は朝の撮影があるから、俺はこうして早くここにきたわけだし…。」

ぶつぶつ言っていたら、ガチャとドアの開く音がした為、蓮が出てくるのを予想して、

「れ…。」

蓮と呼ぼうとしたのだが、社の目に入ったのは、黒髪の少女だった。

思わず、一時停止する社。

「あ、マネージャーさんですよね?敦賀さん、シャワー浴びてるんです。中に入って待っててください。」

笑顔で少女は彼に笑い、ドアを全開に開ける。

(…え…と…俺はフロアを間違えた…かな…?)

驚きのあまりに頭が混乱して、情報が整理できない。

「あの…もしかして、私がここに住んでること、敦賀さんはお話してないんですか?」

首を傾げながら、彼女は自分にそう訪ねてきた。

「す…住んでる…?」

今、彼女はなんと言っただろうか。ここに住んでると言った。

「はい。四日ほど前から…。」

こくんと少女は素直に頷く。

(蓮のやつー!!)

社は蓮に対して怒りを覚えた。

(また俺に隠し事をしてたな!?)

蓮の笑顔が胡散臭いと見破ったあと、お互いに隠し事はしないと約束したのだが、されたと知って怒ったらしい。

けれど、またと言うことは、隠し事をいくらかされたことがあるようだ。

「あ、あの…?」
「…!あ、ごめん。じゃあ、上がらせてもらうよ。」
「は、はい。」

少女の不安そうな声にハッと我に帰った社は中へと上がる。

「えっと…俺、社倖一って言うんだけど…君は?」

廊下を歩きながら、後ろについてゆくように歩いていた彼女に名前を尋ねると、

「も、最上キョーコと申します。」

それはそれは綺麗なお辞儀をされた。

(…礼儀正しい子だな…。)

良く見れば、背筋がピンと真っすぐしている。

そんな正しい姿勢ができる人間など、そうそういない。そういう教育を受けなければ…。

「あ、あのさ…キョーコちゃんは…その…お嬢様なの?」
「へ!?」
「ち、違うの?姿勢がいいから、そうなのかと思ったんだけど…。」
「ち、違います!これはあの…!その…。」
「あ、ごめん…いいたくないなら、言わなくていいんだよ?」
「は…はい…。」

頷いた彼女は俯く。社は悪いことを聞いてしまったなと思った。

そのまま、無言でリビングについてしまい、

「じゃあ、座ってまってるよ。」
「はい…。」

社はソファーに座り、キョーコはキッチンある方向へと向かっていく。

「…社さん!」

待つこと、数分。まだ髪が濡れたままの蓮が現れた。

「…お前、頭ちゃんと乾かさないと風邪引くぞ。」
「わかってますよ、そんなこと。それより…どうしてこんなに早く?7時にくるはずでしたよね?」
「そうだよ。でも、お前に聞きたいことがあったから、早く来たんだ。おかげで謎がとけた。」

社がそう言えば、蓮はあろうことか、舌打ちをする。

「舌打ちしたな!?」
「したくもなりますよ!言いたくなかったし、遊ばれるのは目に見えるんですから!!」
「これが遊ばずにはいられるか!!」

社が知る限り、蓮はここに女性が住んだことなどない。

「ここに女性が住んでる!つまり、お前が…!ふごっ。」

つい抱きしめてしまう特定の女性とやらはあの子のことだな!あの子が好きなんだな!?と、社は言おうとしたのだが、蓮に口を手で抑えられて言えなくなる。

「大声で言わないでください!必死に口説き初めたんですから!!」
「…!」
「あ…。」

蓮はやってしまったと思った。社の口が上がったのがわかった為。

目もニヤリと笑っていて、社はやっと認めたなと言い出そうである。

その瞬間、蓮は抵抗することを諦めたのだった…。



゜・:,。゜・:,。★゜・:,。゜・:,。☆


あとがき

皆さん、こんばんは。現在、夜中の三時でございます。みなさん、本誌読まれましたか?

買う前に立ち読みしたローズは、その場でぎゃあああって叫びたくなりました。

何なんですか、あれ。本当に花とゆめだったのかしらと疑いました…本気で。

いや、もうね…あれ?わたし、薄い本を買ってしまったの?って…いや、薄くないけど…。

次回は来年…タイムマシンが本気でほしいです。そういえば、スキビのゲームのエンディングテーマが「タイムマシーン」だったな…オープニングテーマの方が好きだけど…。

それではノシ


ローズ