明日はキョコ誕と言うことで、短編で切ないラブストーリーを書いてみました。
それではどうぞ
゜・:,。゜・:,。★゜・:,。゜・:,。☆
「…どうしよう。」
12月25日と言う日は、クリスマスでもあり、最上キョーコが誕生した日だ。
「ひとりぼっち…。」
それなのに、街中で彼女は一人でいる。
去年までは、マリアと一緒にパーティーを開いていたが、そのマリアがローリィと一緒にアメリカに行ってしまい、パーティーは今年はなしになった。
しかも、親友の奏江は仕事が入ったからとキョーコの誘いは蹴り上げ、千織はマネージャーと母で過ごすらしく、誘えなかったのである。
ちなみに光が一生懸命に誘うとしていたが、結局誘えなかった様子…。
おまけに、だるまやの夫婦はお客さんにクラシックのコンサートのチケットをもらったらしく、夫婦に出かけていって、居ないと言う状況。
「…こんなことなら、意地を張らないで敦賀さんと…。」
12月に入ってからと言うもの、蓮が何度もクリスマスを一緒に過ごしてほしいと誘われたのだが、
(どうして私なの…?)
自分を誘う蓮に疑問をもち、
(敦賀さんには好きな人がいるじゃない…その人を誘えばいいのに…。)
痛む胸を彼女は気のせいだと言い聞かせ、
(…あ。もしかして、断られて私を変わりに誘ってるとか…?そうよね…?そうじゃないと私なんか誘わないよね?)
きっと自分は身代わりだと思った。
『ごめんなさい、その日は仕事で埋まってて、無理なんです…。』
嘘だった。本当は夕方からオフだったと言うのに…今は断ったことをキョーコは後悔している。
(身代わりなんて嫌…私は“キョーコちゃん”じゃない…。)
変に働いたプライドが無ければ、身代わりでも素敵なクリスマスと誕生日を遅れたことだろう。何故なら彼女は…。
「…ずっと…否定してた…否定するしかなかった…だって、否定し続ければ、そばに居られるから…もうあんな思いは嫌だったから…。」
だから逃げていたと彼女は周りの歩行者に聞こえない声で呟き、指で京子じゃない?と指されても、キョーコはそこにずっと立っていた。
周りも騒げる空気じゃないことに感づいて、ジロジロ見ながらも通り過ぎていく。
彼女が静かに泣いていたからだ。
京子のファンなのか、心優しい人なのかは分からないが、数人の人間がオロオロしながら、彼女を見ている。
「もう、恋なんてしないって決めたのに…。」
それなのにキョーコはまた恋をした。
「敦賀さんには、好きな人がいるのに…。」
望みのない恋。どうして彼を好きになってしまったのだろう。
「苦しい…苦しいよ…敦賀さん…。」
胸を押さえ、キョーコは俯いた。涙が地面を濡らす。
すると遠くのほうから、黄色い声が聞こえて、何だろうとキョーコは前を向くと、
「…嘘…どうして…。」
「最上さんっ。」
「どうして…敦賀さんが…。」
彼は自分のファンをくぐり通りながら、キョーコのほうに向かってきた。
「良かった…!見つかって…!」
蓮は彼女の前に立つと、ホッとしたような表情を浮かべ、
「探してたんだ…!一緒に過ごそうと思ってっ。」
「…!?ど、どうして…。」
「どうしてって…君と過ごしたいから。」
「う、嘘です!私をバカにしないでください!!」
「バカになんか…。」
「誤魔化さないでください!私の気もしないで!!どんな気持ちで断ったと思ってるんですか!?好きな人に断られたからって、私を誘わないでください!」
「ま、待って!最上さんっ。何のことを言っているのか…!」
「もう良いです!!敦賀さんなんて大嫌いです!!好きな人とさっさとくっ付いて、私の事なんてほっといてください!!」
大声で叫びながら、キョーコは彼に背を向けて去ろうとしたが、
「離して…!!」
「嫌だっ。絶対に嫌だ!!」
腕を掴まれ、蓮に抱きしめられてしまい、抵抗して彼は離してくれない。
「離してよ…!お願いだから、離して…っ。これ以上、好きにさせないで…っ。」
蓮の腕の中は、暖かい。すっかり大好きなってしまった彼の香りが鼻をくすぐる。
「最上…さん…?」
「…私は“キョーコちゃん”じゃない…最上キョーコなの。他の誰でもないの!身代わりなんてしないで…!!」
「最上さん…!!」
突然、顎を掴まれて上を向かせられた。
数秒、何が起きたのかキョーコは分からなかったが、間近に蓮の整った顔があって、唇に何かを重ねられている。
キスだと気づいた時には、キスが深いものへと変化した。
「…!?い…や…っ。」
頭を後ろから抑えられ、首が思うように動けず、キョーコは力を振り絞って、赤いそれを噛んだ。
「い…っ。」
まさか噛まれるとは思ってなかったのか、彼は顔を歪め、その隙にキョーコは蓮を突き飛ばして、抱擁から脱出。
「いい加減にしてよ…!私をあなたはどうしたいの…!?」
唇をゴシゴシ拭いながら、キョーコは泣きながら蓮を睨む。
「…恋人になってほしい。」
噛まれたことで傷口から出てくる血を蓮は飲み込みながら、泣きそうな顔で言った。
「な…!?」
「君が好きだ。付き合ってほしい。」
「う、嘘よ!だって敦賀さんは…!」
「…どこから聞いた情報か知らないけど、俺が好きなのは君だよ。神に誓っていい。」
「だ、だって…だって…!信じられない…!信じられるはずがないじゃない!!私なんか…私なんか…!!」
「いい加減にしろ!!」
「…!?」
「今は信じられなくていい!私なんかって言うのも止めてくれ…!信じて貰えるように頑張るから!!だから、俺の気持ちまで否定するのは止めてくれ!!」
「つ、敦賀さ…。」
「君が好きなんだ!愛してるんだ!!」
苦しげに蓮はキョーコに思いをぶつける。
「わ、私…私は…。」
そっと彼はキョーコに近づき、その手を取って、ポロポロ流れる涙を唇で拭う。
「私は…うう…っ。」
次々に涙が流れ続けるが、彼は拭い続ける。
「…怖い、怖いの。また辛い想いをするのは嫌なの。」
「…うん。」
「でも信じたいの…好きな人と一緒にいたいの…どうしたらいいのか分からない…。」
「分からなくていいよ、今は…だだ俺は君を愛してるんだって知ってほしい」
「それ…ずるいです…。」
「そうだね…でも、こうでも言わないと信じて貰えなさそうだから…。」
「…信じてもいいですか…?」
「信じてくれると嬉しいな…?」
優しく蓮が微笑むと、キョーコは彼にゆっくりと蓮の胸に自分を預ける。
「…好き…敦賀さん…。」
「俺も好きだよ、最上さん。」
静かに見つめ合うと二人はキスを交わした。
その瞬間、拍手が鳴り響いて、二人は周りを見れば、自分たちを囲うように人がいて、拍手を送られている。
おめでとうと周りの人たちは笑顔で祝福してくれているが、良く見ればマイクを持ってスーツをきた女性とカメラマンがいて、一瞬にして報道だとわかった二人は、女性が何か言い出す前に、
「ご迷惑をかけ、申し訳ございません。この件に関しては翌日お答えします。」
蓮はぺこりと頭を下げるとキョーコを抱き上げ、その場を逃げた。ポカーンとしていた女性とカメラマンだが、我にかえったのか、慌てて追いかけ始め、さらには一般人まで。
キョーコと蓮は必死に逃げているのだが、その表情は幸せそうだった。
翌日、敦賀蓮が猛烈な告白が話題になり、意外にもファンの反応はよかった。どうやら、ここは祝福するところだろうと誰かが言ったのか、二人の仲を世間は認めたようである。
ちなみに何で誤解をしていたのかと聞かれてキョーコがあわあわとしたのは、また別の話だったのだった…。
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あとがき
ということでキョコ誕のお話でした。あ、魔人さん、これを30行のやつに入れてもらえると嬉しいですwww30文字ですみませんでした。
ローズ
それではどうぞ
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「…どうしよう。」
12月25日と言う日は、クリスマスでもあり、最上キョーコが誕生した日だ。
「ひとりぼっち…。」
それなのに、街中で彼女は一人でいる。
去年までは、マリアと一緒にパーティーを開いていたが、そのマリアがローリィと一緒にアメリカに行ってしまい、パーティーは今年はなしになった。
しかも、親友の奏江は仕事が入ったからとキョーコの誘いは蹴り上げ、千織はマネージャーと母で過ごすらしく、誘えなかったのである。
ちなみに光が一生懸命に誘うとしていたが、結局誘えなかった様子…。
おまけに、だるまやの夫婦はお客さんにクラシックのコンサートのチケットをもらったらしく、夫婦に出かけていって、居ないと言う状況。
「…こんなことなら、意地を張らないで敦賀さんと…。」
12月に入ってからと言うもの、蓮が何度もクリスマスを一緒に過ごしてほしいと誘われたのだが、
(どうして私なの…?)
自分を誘う蓮に疑問をもち、
(敦賀さんには好きな人がいるじゃない…その人を誘えばいいのに…。)
痛む胸を彼女は気のせいだと言い聞かせ、
(…あ。もしかして、断られて私を変わりに誘ってるとか…?そうよね…?そうじゃないと私なんか誘わないよね?)
きっと自分は身代わりだと思った。
『ごめんなさい、その日は仕事で埋まってて、無理なんです…。』
嘘だった。本当は夕方からオフだったと言うのに…今は断ったことをキョーコは後悔している。
(身代わりなんて嫌…私は“キョーコちゃん”じゃない…。)
変に働いたプライドが無ければ、身代わりでも素敵なクリスマスと誕生日を遅れたことだろう。何故なら彼女は…。
「…ずっと…否定してた…否定するしかなかった…だって、否定し続ければ、そばに居られるから…もうあんな思いは嫌だったから…。」
だから逃げていたと彼女は周りの歩行者に聞こえない声で呟き、指で京子じゃない?と指されても、キョーコはそこにずっと立っていた。
周りも騒げる空気じゃないことに感づいて、ジロジロ見ながらも通り過ぎていく。
彼女が静かに泣いていたからだ。
京子のファンなのか、心優しい人なのかは分からないが、数人の人間がオロオロしながら、彼女を見ている。
「もう、恋なんてしないって決めたのに…。」
それなのにキョーコはまた恋をした。
「敦賀さんには、好きな人がいるのに…。」
望みのない恋。どうして彼を好きになってしまったのだろう。
「苦しい…苦しいよ…敦賀さん…。」
胸を押さえ、キョーコは俯いた。涙が地面を濡らす。
すると遠くのほうから、黄色い声が聞こえて、何だろうとキョーコは前を向くと、
「…嘘…どうして…。」
「最上さんっ。」
「どうして…敦賀さんが…。」
彼は自分のファンをくぐり通りながら、キョーコのほうに向かってきた。
「良かった…!見つかって…!」
蓮は彼女の前に立つと、ホッとしたような表情を浮かべ、
「探してたんだ…!一緒に過ごそうと思ってっ。」
「…!?ど、どうして…。」
「どうしてって…君と過ごしたいから。」
「う、嘘です!私をバカにしないでください!!」
「バカになんか…。」
「誤魔化さないでください!私の気もしないで!!どんな気持ちで断ったと思ってるんですか!?好きな人に断られたからって、私を誘わないでください!」
「ま、待って!最上さんっ。何のことを言っているのか…!」
「もう良いです!!敦賀さんなんて大嫌いです!!好きな人とさっさとくっ付いて、私の事なんてほっといてください!!」
大声で叫びながら、キョーコは彼に背を向けて去ろうとしたが、
「離して…!!」
「嫌だっ。絶対に嫌だ!!」
腕を掴まれ、蓮に抱きしめられてしまい、抵抗して彼は離してくれない。
「離してよ…!お願いだから、離して…っ。これ以上、好きにさせないで…っ。」
蓮の腕の中は、暖かい。すっかり大好きなってしまった彼の香りが鼻をくすぐる。
「最上…さん…?」
「…私は“キョーコちゃん”じゃない…最上キョーコなの。他の誰でもないの!身代わりなんてしないで…!!」
「最上さん…!!」
突然、顎を掴まれて上を向かせられた。
数秒、何が起きたのかキョーコは分からなかったが、間近に蓮の整った顔があって、唇に何かを重ねられている。
キスだと気づいた時には、キスが深いものへと変化した。
「…!?い…や…っ。」
頭を後ろから抑えられ、首が思うように動けず、キョーコは力を振り絞って、赤いそれを噛んだ。
「い…っ。」
まさか噛まれるとは思ってなかったのか、彼は顔を歪め、その隙にキョーコは蓮を突き飛ばして、抱擁から脱出。
「いい加減にしてよ…!私をあなたはどうしたいの…!?」
唇をゴシゴシ拭いながら、キョーコは泣きながら蓮を睨む。
「…恋人になってほしい。」
噛まれたことで傷口から出てくる血を蓮は飲み込みながら、泣きそうな顔で言った。
「な…!?」
「君が好きだ。付き合ってほしい。」
「う、嘘よ!だって敦賀さんは…!」
「…どこから聞いた情報か知らないけど、俺が好きなのは君だよ。神に誓っていい。」
「だ、だって…だって…!信じられない…!信じられるはずがないじゃない!!私なんか…私なんか…!!」
「いい加減にしろ!!」
「…!?」
「今は信じられなくていい!私なんかって言うのも止めてくれ…!信じて貰えるように頑張るから!!だから、俺の気持ちまで否定するのは止めてくれ!!」
「つ、敦賀さ…。」
「君が好きなんだ!愛してるんだ!!」
苦しげに蓮はキョーコに思いをぶつける。
「わ、私…私は…。」
そっと彼はキョーコに近づき、その手を取って、ポロポロ流れる涙を唇で拭う。
「私は…うう…っ。」
次々に涙が流れ続けるが、彼は拭い続ける。
「…怖い、怖いの。また辛い想いをするのは嫌なの。」
「…うん。」
「でも信じたいの…好きな人と一緒にいたいの…どうしたらいいのか分からない…。」
「分からなくていいよ、今は…だだ俺は君を愛してるんだって知ってほしい」
「それ…ずるいです…。」
「そうだね…でも、こうでも言わないと信じて貰えなさそうだから…。」
「…信じてもいいですか…?」
「信じてくれると嬉しいな…?」
優しく蓮が微笑むと、キョーコは彼にゆっくりと蓮の胸に自分を預ける。
「…好き…敦賀さん…。」
「俺も好きだよ、最上さん。」
静かに見つめ合うと二人はキスを交わした。
その瞬間、拍手が鳴り響いて、二人は周りを見れば、自分たちを囲うように人がいて、拍手を送られている。
おめでとうと周りの人たちは笑顔で祝福してくれているが、良く見ればマイクを持ってスーツをきた女性とカメラマンがいて、一瞬にして報道だとわかった二人は、女性が何か言い出す前に、
「ご迷惑をかけ、申し訳ございません。この件に関しては翌日お答えします。」
蓮はぺこりと頭を下げるとキョーコを抱き上げ、その場を逃げた。ポカーンとしていた女性とカメラマンだが、我にかえったのか、慌てて追いかけ始め、さらには一般人まで。
キョーコと蓮は必死に逃げているのだが、その表情は幸せそうだった。
翌日、敦賀蓮が猛烈な告白が話題になり、意外にもファンの反応はよかった。どうやら、ここは祝福するところだろうと誰かが言ったのか、二人の仲を世間は認めたようである。
ちなみに何で誤解をしていたのかと聞かれてキョーコがあわあわとしたのは、また別の話だったのだった…。
゜・:,。゜・:,。★゜・:,。゜・:,。☆
あとがき
ということでキョコ誕のお話でした。あ、魔人さん、これを30行のやつに入れてもらえると嬉しいですwww30文字ですみませんでした。
ローズ