「あはは!すごいぞ!あのつなぎ!!さすが宝田社長だ!!」

爆笑する20代後半の男性。彼の名は新開誠士、映画監督だ。

「…あんまり笑わないであげてください。本人も不本意で着ているので。」

あまりにも爆笑してるので、蓮がたしなめる。

現在、ここは京都であり取り壊し予定の旅館を撮影に遣わせてもらっており、キョーコはスタッフの手伝いをしてせっせと動いていた。

なぜキョーコがこんな事をしているのかと言うと、他にやることがないからである。スケジュールは全て社がやってしまっていて、ほかにやることと言えば、食事管理と蓮への気遣いだけで、根が真面目なキョーコは我慢できず、スタッフたちの手伝いをしていたらしい。

その真面目が幸いして、初日の嫌がらせがなくなった。やはりと言うか当然と言うべきか。蓮の隣にいることを許されたキョーコに女性らが嫌がらせをしてきたのだ。本人は平然としていたけども。

二日目の今では、キョーコに下心がないとわかって、嫌がらせをやめて優しく接する女性が出てくるほど、スタッフたちは彼女が良い子だと理解したようだ。

「だったら脱げばいいだろ?」

恥ずかしいならと新開は蓮に言うが、

「…根が真面目なので、脱ぎたいけど脱がないって結論にいったったみたいです。」
「そりゃあ、すごいな…俺だったら今すぐ脱ぐね。でも、しかし…困ったな。もう撮るものがない。」

撮るものがないとは、一体どういうことだろうか?

「明日来るそうですよね、彼女。」
「…わかってるよな、宝田一味その1」
「…わかってますよ、なにせ社長の“お願い”ですから。」
「でさ、俺考えたんだけどさ。」

新開がニヤリと笑い、蓮は悪い予感がしながら、何をですかと聞き返した…。

その次の日。その“彼女”やらはきたのだが、

「何回撮り直すの!?ただ登場するだけなのに!!」
「何回でも。君がちゃんと出来るまで。」

新開に向かって怒鳴りつけ、あげくの果てに遣ってられないと仕事を降りるとまで言い出す。

彼女は松内瑠璃子。LME所属のアイドルだ。だだ彼女には困ったことに自分の思い通りにならないと投げ出すと言う難点があった。

そのことについて昨日、

『最上さん。』
『あ、監督。どうしたんですか?』
『…君に頼みたいことがあるんだ。』
『私に、ですか?』
『うん。』
『わかりました。それで頼み事とは?』

キョーコは新開から頼まれ事をされており、

『松内瑠璃子って知ってるかな?』
『あ…一応は。』
『なら話は早い。実は宝田社長から、彼女のある難点を改善してほしいって頼まれてね。』
『は、はぁ…?』
『で、君にも協力してほしい。』
『ぐ、具体的に何をすれば…。』
『彼女を挑発してほしい。』
『…へ?』
『彼女の難点は思い通りにならないと仕事を投げ出すって言うところでね…流石の宝田社長も困っているようだ。』
『仕事を、ですか…?』
『そう。』

それを聞いて、キョーコは眉間にシワをよせ、

『…それで具体的にどう挑発すれば?』
『そうだな…まあ、ほっといても向こうからしてくると思うけど。何せ、君は蓮のマネージャーだからね。』
『つまり…敦賀さんのファンなんですね?』
『そうそう。で、蓮にずっとくっついて煽る手もあるけど、それじゃあ意味ないから、君にはラブミー部の部員って言うウソをついて、彼女と役の座を奪い合ってほしい。』
『え!?役!?ま、待ってください!私、一般人なんですよ!?』
『だから偽ってだよ。ちょうど君はラブミー部のユニフォーム着てるし?』
『う゛…。』
『かなり彼女は天狗になってるから、あら治療しかないんだ。追い詰めるくらいにはね。』

ニヤリと笑う新開に、キョーコは背筋が凍った。この人は本気だと…。

結局、キョーコは引き受けた。新開の言っていた通り、キョーコが蓮のマネージャーだと知る名やいなや、嫌がらせしてきて、キョーコは不愉快な気分でいた。

しかも仕事を投げ出すなどプロとして失格で正直、頭にくる話で、

「別に、同じ素人なら、あの子でもいいんじゃない?」

瑠璃子がキョーコを指差し、そんな彼女にキョーコはくすっと笑うと彼女に近づいて

「…そうね?同じ素人なら、私でもできるわよね?じゃあ、やらせて貰うわ。そして望みどおり、仕事を下ろしてあげる。」

にこっとは微笑んだ。目は完全に笑っていない。

(その根性、叩き直してあげるわ。)

全力で、と心の中で言いながら…。



゜・:,。゜・:,。★゜・:,。゜・:,。☆

あとがき

かなり久しぶりに書くので、新開さんの口調が安定してません(泣

この話を書くために原作ひっぱり出してます(^_^;)

いや、しかし…最初のころ、キョーコもモー子さんもあんなにドピンクつなぎ着たくなさそうだったのに、慣れって怖いね?全然、普通に着ている(^_^;)

ちおりんは何故か恥ずかしがってないみたいですが…。


それではまたノシ


ローズ