書こうとした“ネタ”が思いのほか、膨らまずに停止中…ごめんなさい、魔○さん…こちらに逃げました…。
゜・:,。゜・:,。★゜・:,。゜・:,。☆
LME事務所の最上階。そこからローリィはすっかり更けた東京の景色を眺めていた。
『お姉様は…ご両親のぬくもりすら知らないのかもしれないわ…。』
眺めながら、考えていたのはマリアのあの発言。
彼の孫娘はまだ7歳だが、鋭いところがある。
もし、マリアの発言通りにそう言う環境でキョーコが育ったと言うのなら…。
「…知らなかったとはいえ、酷な依頼をしてしまったな…。」
恐らく、この件に関してキョーコの心の傷をえぐっただろう。
「…調べてみるか。」
窓ガラスに背をむけ、ローリィはデクスにある電話をとった。
その頃、キョーコはと言うと…。
蓮のマンションのドアの前で、ピンクの携帯を開いており、ため息をつくと携帯を閉じる。
(…“寝ててもいい”か…。)
ため息をついた理由は、蓮からのメール。今日はどうやら、どうしても帰りは1時過ぎになるらしい。
「一人でご飯たべるの久しぶりだな…。」
鞄をリビングにおくと、買った食材をキッチンに持っていく。
気分で手の込んだものを作る気がしなかったキョーコは朝に炊いたご飯で簡単にチャーハンを作り始めた。
「…いただきます。」
作ったチャーハンを皿にもり、リビングで食べ始めるが、ちらっと視線を横にすると彼女は表情を曇らせ、スプーンを持つ手を止める。
そのまま、キョーコは食事をやめた。食べたくなかった。
ソファーに座るとそのまま、横たわり目を閉じる。
そしていつの間にか、彼女は夢の中へと沈んでいった…。
見た夢は、一人で食事する自分だった。幼い自分がコンビニのお弁当を食べている。
母と食事をとったことがない。もちろん、手料理もない。
幼い自分は泣いていた。羨ましかった。周りの子供が。
けれど、それを必死に隠すしかなかった。コンビニで何か買ってくるのも、母は面倒くさいと口にしていたからだ。
自分のためにお弁当をかってくれるのに、料理を作ってほしいと言ってしまったら、今度こそ嫌われるかもしれないと恐れた。
結局、ショウの両親に引き取られるまでそれは続き、初めて食べた手料理は母ではなく、ショウの母の手料理。
思わず泣いて、ショウの母を困らせたを覚えている。
それから場面は数ヶ月前へと…。
帰ってこないショウを待っている自分。結局は帰ってこず、二人分の料理は半分は明日の自分の昼ご飯に変わる日々。
一人で食べるご飯は美味しくなかった。虚しいものだった。
それでも食事するのも、作るのも好きなのは、美味しいと口にすると微笑んでくれるショウの母と、自分の作った料理を美味いと笑顔で言うショウが好きだったから…。
また場面は変わる。蓮がいた。笑って自分が作った料理を美味しいと言ってくれる。言われるたびにキョーコは嬉しくなった。次は何を作ろうかと考えれば胸が踊る。
それは幸せという感情。
蓮は優しい。まるで包まれいるようで。ずっと、そこにいたくなる。願うならば、ずっとここに…。
「…上さん、最上さん。」
聞き覚えのある声が耳に届く。
「最上さん、起きて?」
その声にゆっくりと目を上げれば、蓮が心配そうにキョーコを見ていた。
「つ、敦賀さん…!?い、今何時…。」
バッと彼女は起き上がって、時計を見れば、0時前。
「あ、あれ…?どうして…。」
1時過ぎだったんじゃ…?と蓮を見れば、彼は苦笑いし、予定より早く終わったと答える。
「それより…何か悲しい夢でも見た?泣いてた…。」
「え…?」
彼の指が彼女の涙を拭う。涙の冷たさにキョーコは自分が泣いてたことに漸く気づく。
「どうして涙なんか…。」
キョーコは夢の内容を忘れていた。だから泣いていた理由も分からない。
すると蓮にぎゅっと抱きしめられる。
「…!?あ、あああの、敦賀さん!?」
抱き締められてキョーコは顔を真っ赤にし、
「薬のかわり。」
クスっと蓮が笑ったのが分かって、余計に彼女は真っ赤になった。
「く、薬って…。」
確かに蓮の温かさにあるものが消えていく。
キョーコは彼の背に戸惑いがちに腕を回す。
ああ…と胸が震えた。敦賀さんだ、と彼女は確かめるように胸板に顔を埋める。
会いたかった。蓮に会いたかったのだ。
どうやら予想以上にマリアの件はキョーコの心の傷をえぐったらしい。
そして、その心が真っ先に求めたのは蓮だった。
彼女は彼に抱きしめてほしかった。それなのに、蓮は帰りが遅く、一緒に夕飯をとることができないとわかり、落胆した。
さらに蓮のいない夕飯は美味しくなかった。
ポロッと彼女の目から、ひとつだけ雫がながれ、蓮のシャツに沁みを作る。
ずっと、ここにいられたらいいのに…。
蓮の腕の中、キョーコは確かにそう思ったのだった…。
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LME事務所の最上階。そこからローリィはすっかり更けた東京の景色を眺めていた。
『お姉様は…ご両親のぬくもりすら知らないのかもしれないわ…。』
眺めながら、考えていたのはマリアのあの発言。
彼の孫娘はまだ7歳だが、鋭いところがある。
もし、マリアの発言通りにそう言う環境でキョーコが育ったと言うのなら…。
「…知らなかったとはいえ、酷な依頼をしてしまったな…。」
恐らく、この件に関してキョーコの心の傷をえぐっただろう。
「…調べてみるか。」
窓ガラスに背をむけ、ローリィはデクスにある電話をとった。
その頃、キョーコはと言うと…。
蓮のマンションのドアの前で、ピンクの携帯を開いており、ため息をつくと携帯を閉じる。
(…“寝ててもいい”か…。)
ため息をついた理由は、蓮からのメール。今日はどうやら、どうしても帰りは1時過ぎになるらしい。
「一人でご飯たべるの久しぶりだな…。」
鞄をリビングにおくと、買った食材をキッチンに持っていく。
気分で手の込んだものを作る気がしなかったキョーコは朝に炊いたご飯で簡単にチャーハンを作り始めた。
「…いただきます。」
作ったチャーハンを皿にもり、リビングで食べ始めるが、ちらっと視線を横にすると彼女は表情を曇らせ、スプーンを持つ手を止める。
そのまま、キョーコは食事をやめた。食べたくなかった。
ソファーに座るとそのまま、横たわり目を閉じる。
そしていつの間にか、彼女は夢の中へと沈んでいった…。
見た夢は、一人で食事する自分だった。幼い自分がコンビニのお弁当を食べている。
母と食事をとったことがない。もちろん、手料理もない。
幼い自分は泣いていた。羨ましかった。周りの子供が。
けれど、それを必死に隠すしかなかった。コンビニで何か買ってくるのも、母は面倒くさいと口にしていたからだ。
自分のためにお弁当をかってくれるのに、料理を作ってほしいと言ってしまったら、今度こそ嫌われるかもしれないと恐れた。
結局、ショウの両親に引き取られるまでそれは続き、初めて食べた手料理は母ではなく、ショウの母の手料理。
思わず泣いて、ショウの母を困らせたを覚えている。
それから場面は数ヶ月前へと…。
帰ってこないショウを待っている自分。結局は帰ってこず、二人分の料理は半分は明日の自分の昼ご飯に変わる日々。
一人で食べるご飯は美味しくなかった。虚しいものだった。
それでも食事するのも、作るのも好きなのは、美味しいと口にすると微笑んでくれるショウの母と、自分の作った料理を美味いと笑顔で言うショウが好きだったから…。
また場面は変わる。蓮がいた。笑って自分が作った料理を美味しいと言ってくれる。言われるたびにキョーコは嬉しくなった。次は何を作ろうかと考えれば胸が踊る。
それは幸せという感情。
蓮は優しい。まるで包まれいるようで。ずっと、そこにいたくなる。願うならば、ずっとここに…。
「…上さん、最上さん。」
聞き覚えのある声が耳に届く。
「最上さん、起きて?」
その声にゆっくりと目を上げれば、蓮が心配そうにキョーコを見ていた。
「つ、敦賀さん…!?い、今何時…。」
バッと彼女は起き上がって、時計を見れば、0時前。
「あ、あれ…?どうして…。」
1時過ぎだったんじゃ…?と蓮を見れば、彼は苦笑いし、予定より早く終わったと答える。
「それより…何か悲しい夢でも見た?泣いてた…。」
「え…?」
彼の指が彼女の涙を拭う。涙の冷たさにキョーコは自分が泣いてたことに漸く気づく。
「どうして涙なんか…。」
キョーコは夢の内容を忘れていた。だから泣いていた理由も分からない。
すると蓮にぎゅっと抱きしめられる。
「…!?あ、あああの、敦賀さん!?」
抱き締められてキョーコは顔を真っ赤にし、
「薬のかわり。」
クスっと蓮が笑ったのが分かって、余計に彼女は真っ赤になった。
「く、薬って…。」
確かに蓮の温かさにあるものが消えていく。
キョーコは彼の背に戸惑いがちに腕を回す。
ああ…と胸が震えた。敦賀さんだ、と彼女は確かめるように胸板に顔を埋める。
会いたかった。蓮に会いたかったのだ。
どうやら予想以上にマリアの件はキョーコの心の傷をえぐったらしい。
そして、その心が真っ先に求めたのは蓮だった。
彼女は彼に抱きしめてほしかった。それなのに、蓮は帰りが遅く、一緒に夕飯をとることができないとわかり、落胆した。
さらに蓮のいない夕飯は美味しくなかった。
ポロッと彼女の目から、ひとつだけ雫がながれ、蓮のシャツに沁みを作る。
ずっと、ここにいられたらいいのに…。
蓮の腕の中、キョーコは確かにそう思ったのだった…。