「馬鹿やろう!!お前、熱があるのにやる気だったのか!!」

雷が落ちるように怒鳴ったのは、ローリィだった。

いつものように大変、嫌でも目立つ煌びやかな衣服をお召しである。

何故、ここに彼がいるのかと言えば、キョーコに話があったらしく、このロケ場にきたらしいのだが、蓮を見た途端に彼が調子が悪いと気づいた。

『聞いてください、社長さん!!敦賀さん、熱があるのに雨で濡れるシーンをやろうとしてるんですよ!?』
『なに!?』

と言う具合でキョーコが事情を話せば、ローリィは蓮に雷を落としたのである。

「そうですよ!!もっと言ってください、社長さん!!」

雷を落としたあと、キョーコも加わる。実は彼女はローリィが来る前から蓮に雨のシーンを止めるように説得していたのだが、自業自得だからだと聞いてくれなかった。

そんな蓮だが、流石に二人に怒られたせいか、気まずい表情を浮かべている。

「風邪が悪化したらどうするんですか!?」
「そうだぞ、蓮!!お前が仕事が出来なくなったら、困るのはお前だけじゃないんだ!!」
「す、すみません…でも…。」
「でも、じゃないですよ、敦賀さん!!」
「最上くんの言うとうりだ!反論は認めんぞ!!」
「う゛う゛…。」

反論もさせてくれないので、だんだんと小さくなっていく蓮。

結局、このシーンはキョーコとローリィが監督に事情をはせば、監督は渋りながらも、今後を考えて、人工雨で降らせる予定だった雨を取り消しにしてくれた。

ちなみに監督がローリィに少しばかりビビっていたのはここだけの話である。

「それじゃあ、俺は帰るぞ。」
「あ、はい!!あと高校の件ありがとうございます!!」

ぺこりとキョーコは頭を下げてお礼を言う。

どうやら話の内容は高校についてらしい。

「礼は及ばない。それよりも編入試験に受からなきゃな?」
「はい!!」
「あと、俺よりも蓮に礼を言ってやれ。こいつが最初に言い出さなきゃ俺は動いてねぇしな。」
「…え?」

そう言われて彼女は蓮を見れば、彼は苦笑いし、

「約束したからね。知り合いに聞いてみるって…。」
「あ…。」

そういえば…とキョーコは思い出す。

「…ありがとうございます、敦賀さん。」

本人すら忘れていたのに覚えていてくれてキョーコは嬉しく感じた。

「お礼なんていいんだよ?俺は何もしてないし。」
「…ほ~?」
「社長。」

にっこりとローリィに笑う蓮。

「…お前、性格が悪いよな。」
「人聞きの悪い。」

そんな彼に頬をひきつらせるローリィ。

「…?」

二人の会話の意味が分からないキョーコは首を傾げたのだった…。