(は、早い…!早いわ、あの子…!!)

ジュリエナは息を上げながら、数メートル離れた先で走っているキョーコを追いかけていた。

『キョーコ!!』

必死に叫ぶが彼女は聞こえていないのか、足が止まることはない。

『ああ!もう!!』

イラついた彼女は通りかかったタクシーの前へと出る。

そのため、タクシーの運転手は急いで急ブレーキをかけ、ジュリエナの前で止まった。

普通ならここで怒鳴りつけるなり、何かするのだろうが、目の前に現れた絶世の美女にポカーンとしていた。目も釘付け。

タクシーが止まったことにジュリエナは満足そうに笑うと運転席に近寄り、

「のってもいい?」

片言で運転席に笑いかけると彼は真っ赤になって、

「も、ももももちろんです!!お、おおお乗りください!!」

一旦運転席から降りると後ろのドアをあけて、彼女が乗りやすいようにする。

「ありがとう。」
「い、いえいえ!」

笑顔でお礼を言われて、運転手はもうデレデレだった。

「そ、それでどこに向かえば?」
「あのこをおいかけて。」

パタンっとドアを閉め、運転手は後ろにいる彼女に訊ねれば、ジュリエナは指で走っている少女を指す。

「わ、わかりました。先まわりすれば宜しいのですね?」
『yes!』

満面の笑顔をもらった運転手はさらにデレデレになり、張り切って出発した。

しかし、少女と車の速さなど一目瞭然なため、すぐに先まわりして、車は道路の脇に止まる。

「あの、それで料金ですが…。」

いくらかと言う前に早く、ジュリエナはすでに財布から一万を取り出していて、

「おつりはいらない。」

押し付けるように運転手に渡し、

『迷惑をかけてごめんなさいね。』

運転手の頬にキスすると車から降りていった。

その後、しばらくポカーンとしていた運転手だが、ハッと我にかえって直ぐに雄叫びをあげたのは言うまでもない。

『キョーコ!!』

一方、ジュリエナは車を降りてから、直ぐに少女の前へと立ちふさがり、

「じゅ、ジュリエナさん…!?」

やっと声が届いたようで、彼女は動きを止めたのだった…。



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あとがき

今回はいつもより短めになってしまいました(^_^;)

うまくジュリエナが動いてくれなくて(>_<)

それではまた

ローズ