仕事ばかりしている

仕方ない

生活の為、だ



馴染みの女性は

いつもマルボロとマルメンを買って行く


毎日のように来るので

私は彼女が来店するとすぐさまその二つをレジに用意する

「いつも有難う」

彼女はそう言って代金を支払って出ていく


実に美しい女性だ

夜の蝶であることが見て分かる程


きっとひとつは自分の分で

もうひとつは男の分だ

彼氏か、馴染みのお得意さんか

とにかく

別の誰か、のものだ



それが先日

彼女が言ったのだ


私は彼女が来たから

いつものようにマルボロとメンソールを揃えて準備していたというのに


「メンソールの方は、もういらないの。別れたのよ」


「ああ、そうですか。すみません」


何故か詫びた私に

「ううん、いいの」

彼女は言った


その少しやつれた彼女の美しさといったら!!



何か

ドラマを感じちゃって

切なくなった




後日

馴染みの男と会えば

バレンタインのことで頭は一杯、だ

今年は新入社員の女性から期待出来るとか

いくつ貰えるかな?とか

実に馬鹿馬鹿しい


男は幾つになっても子供だな


だから言った

「たくさん貰えればそれはアンタの成績になるんかい?」

「そんなに甘いモンが食いたいか?」


だけど

友人は返した


「人の好意を受けられるのは輝いた時だけ。お前の目には俺は輝いて見えねぇだろ?だからそう見てくれる女が欲しいだけだ」


あの

お馴染みの女性客を思い出した


輝けないからその恋は終息してしまったのだろうか?

それともその輝きを彼が理解出来なくなってしまったからなんだろうか?


熱の冷める理由とタイミングは

他人には全く理解出来るものでは、ない



だけど


勘違いってことも、あるよ



たくさんチョコを貰えば

それで完結か?


アンタ

私と会ってる時、散々愚痴零して悪態垂れて

酔って泣いて

私の腰にしがみ付くじゃないか


それが何をチョコの数何かで

自分の理解者を図ってんの?


イケ面が多く貰うのは仕方のないことだよ

イケ面でも何でもないアンタは

その本質で勝負してるんじゃなかったのかい?


私は

そんな君に、今夜のデートを任せたんだぜ


私を酔わせて



出来るだろう?



アンタの欲しいチョコは

私の鞄に、あるよ