訳あって三島由紀夫を追い掛けている


分からぬ訳では、ない

その思想

そま言葉

その決断も


だけど

彼は一体

何をそんなに怯えたのか

この社会の何に、そんなに畏怖を感じたのか


確かに大きく曲がる社会の真っただ中だった

そこを受け入れる者と受け入れられない者とでは大きく違う世の中だった


今の世に

若者はその衝撃的な最期をカリスマ的に想う


その為に君は死んだのか?


おかしな話しだ


何か論点がズレている



君が腹を切ったのは

思想の為ではないだろう?

ましては、世の為、人の為でもない筈だ


私は

あなたの講釈をまだ子供の頃に聞いた


それを大人になっても聞くにつれ

あなたの本心、本音は一体どこにあるのかと

そればかりを想ってあなたの言葉を聞いてきた


軽んじてはならない偉人だと

想っているから

だから

その人が普通の人として生きていた頃の

普通の言葉を知りたい



あなたには愛している人がいた筈だ

そして

それを残して行くことに、ささやかな懺悔も持っていた

だけど

美しく散ることに

あなたは大きな価値を見出していた

体を鍛え、色んな思想の元に

そうであるべき自分を探した


追い求めることの大きさに

あなたの命は見合わず

屈服して、腹を切った


私は

そう思う


だけどきっと

あの日の貴方は

思想に駆られた野人ではなく

我儘な武人でもなく

己の人生を示した勇敢な人として

今の私の目には映る


それを証拠に

今の世の中に

貴方のように命を賭して思想を訴える者などいない


命を賭して、この国を変えようなどと思う者は、いない


あの時代に

貴方は必要な人だった


そして

いつの時代も貴方のような人を欲しているのだが


そんな男は現れた試しが、ない









もしも



今、あなたがいたなら




私は迷わず会いに行くだろう



そして

酒でも共に飲みたいところだ




熱い男に会えるなんてこと

今は、凄く希少価値なのよ