我が家の御近所で首つり自殺があった


私は現場を見ていないが

勿論、この数日騒然な騒ぎになっている


何でも

お爺様が電柱に紐を括りつけ

それで首を括ったらしく

消防車が来て、下ろしたのだとか



ご近所でありながら

私は彼の存在も知らなかったし

つまり

その苦痛も、知るよしもなかった



そんなに悩む前に何故

周りの人間が案じてあげられなかったのか、とも思う反面


死ぬなら自宅でやれよ

公共の場でやるのはルール違反だろ的な

情け容赦ない気持ちも持っている



彼が亡くなった場所は

人通りの少ない

夜にはすっかり暗くなる路地で

地元の人間なら買い物帰りなどによく通る

薄暗い通りだ


そこを

これから通れなくなるじゃないか


考えてくれ、そういうことも

自ら死を選んだ人は

その死に場所から離れられなくなるということも


そこで生活していく人間が

どれだけそれに怯えるのかと言うことも


そんなこと

考えられない程に困窮していたのでしょうけれど・・・




とにかく

不幸な亡くなり方をしたお爺様の

せめてものご冥福をお祈り致します






では

私が死ぬなら

どういった方法が良いだろうと

不謹慎にも考えた



理想は脳内出血だとか脳梗塞とかでパタリと倒れ

そのまま逝ってしまうのが理想だ

苦しまなくて、済む


入院費も掛からないし

家族に色々と迷惑を掛けないで済む

ドナーへの移植もスムーズに進むだろうし

何より、呆気ない



うん

この「呆気ない」のが、いい




私が死ぬ時は

それは半分は私が望んでいたことだ

別に悲しいことじゃ、ない


「死にたがってたけど、ようやくあの人死ねたのね」

そんな風に笑って欲しい


「ようやく、ひとつになれるのね。大好きな人と」

そんな風に、祝って欲しい


出されるお寿司をしこたま堪能して

日本酒でどんちゃん騒ぎをして欲しい


泣かずに

ジャズなど流して

「冴子は歌が下手だった」と、笑って欲しい



私は私で

霊体になって

「なんでやねん」と突っ込むから


その時は「何か寒くなって来た」と

皆で笑って欲しい



そう考えると

死ぬことも

楽しそうだな



気味が悪いかも知れないけれど

大切な人の元へは

私は必ず会いに行くつもりでいるから


出て来ても、怖がらないでね


せめて

お礼を

言えると

いいなぁ





本当は、そんなモンじゃないのだろうけれど


もしも死がそういうものならば


悪く、ない