今更、警察が来た






以前私が仲良くしていた女性が

私が寝ている同室で自殺をしたことから

取り調べは以前も一応全て済ませ

遺書などがあったことから

私に嫌疑が掛かることもなく終わっていたのだが



その彼女が薬物に関与があったのではないのかと

再調べが始まって

私のところにも私服警察が来た訳だ



そもそも、そんなこと

はなから感付いていた筈なのだ

解剖報告を聞いていないので

当日の彼女がどうだったかまでは知らないが



それを今更動くということは

その販売元や組織に動きがあったということだ



全く面倒臭い





私は「彼女」と親しくはしていたが

彼女がどんなルートでそれを仕入れ

どんな仲間と共有していたかなど知らない


第一、彼女は私に「それ」の存在など話したことはなかったし

私も見掛けたこともない


ただ

私が彼女の雰囲気で

「やっているんだろうなぁ」と思っていただけで


私といる時の彼女は

お酒以外に「酔う」ものを服用してはいなかった



「販売元に心当たりは?」

「どんな種類の薬物でした?」と聞かれても困る



「見ていませんから分かりません」と

答えるだけ



第一発見者の私にまず聞き込みに来るのは

捜査のセオリーなのかも知れないが



あまりにも

「友人を眠っている間に失った者に対しての配慮」に

欠けていませんかね?





「今日は付き合ってよ」と言われたんです


時々顔を合わせるお姉さんに


彼女は私にとても親切で

時に叱りながら

時に愚痴りながら

私に色んな話をしてくれたんです


その日、彼女の自宅に行っても

この化粧品が良いだとか

最近あのブランドは高くて手が出ないとか

そういう何でもない話をしていたんです


「お酒なら腐る程あるの」と

彼女がどんどん飲むから

私も付き合って飲みました


高級マンションの彼女の部屋からは

都心が一望出来

「素敵ですね」と私は言ったけど

「彼と過ごす為に借りたのよ」と

笑っていた



自殺の原因は

その彼とうまくいかないことにあった



私はもしかしたら知らないうちに

自分が起動スイッチを押してしまったのではないかと

かなり思い悩んだが


彼女の方は

「その日」を選んでいたのだ


何かの記念日だったのか

その日に対するこだわりがあったのか

とにかく彼女は

その日に宛てて遺書を書いていた

そして

私に対する詫びも



つまり


私は「最後に過ごす相手」に選ばれた訳だ







捜査がどう進むかなんて知ったこっちゃない



私は大切な友人を亡くしたんだ


助けることも

その袖を掴むことも出来ずに


一番傍にいたのに



もしかしたら

私があの時何か言えば

彼女は思い留まったかも知れない


私が何かしたら

それどころではなくなったかも知れない


私が、私が

何かしていたら!!!!!








警察ってのは

正しいことをするのを名目に

結構横柄だ




人の心なんか考えやしない








だから言えるんだ



「彼女から薬物の使用を勧められたことは?」


なんて質問













私は

警察が大嫌い