日頃からDVDレンタルは日常だったけれども

ここ最近は自粛していた


なんせ借りる本数によれば

相当な金額になるからだ


しばらくなんちゃら放送が無料視聴をサービスしていたのに乗っかって

多くを録画して撮り貯めていたのを観ていた




そうだ。

兄さん、お誕生日おめでとう御座いました

併せ

キャラクターボイス賞受賞もおめでとう御座います


今年の贈り物は、お手紙に書いた通り


出来ましたら、着用しているお姿を拝見しとう御座います

いえいえ

お礼記事の催促ではなくて

これからのイベント等が楽しみで御座います。。





話を戻す


久々に出向いたレンタルショップで

私はだんみつさんのDVDを探していたのですが

流石人気絶頂の方は勢いが凄い

全て貸出し中



ならば、何か面白い掘り出し物はないかと物色していると


コアなDVDを発見しました



私は東京で生まれましたが

神奈川に住んでいた期間の方が長く

中でも横浜は、私の拠点であり

故郷でもあると思っています


ええ。

でらっくすな方が毛嫌いする

浜っ子であることに頑ななプライドを持った人間なので御座います



その浜っ子なら知らない人はいないであろう女性がいます

横浜の街を顔を白く塗り、白いドレスで闊歩する

あの美しい人



私は2度程、彼女をお見掛けしたことがあります

最初は10代の時

高島屋のエスカレーターで

「あの人、何??」と友人に聞いたら

「知らないの??」と訝しがられ、そこから色々と聞いて知った

あまりにも目立ち過ぎる恰好の女性でした


彼女がその伝説で世間を圧倒していた頃から

私の世代は既にほど遠く

私と同世代の人間にとっては

奇異にしか映らなかったし

馬鹿にしている者も、いた


だけど

私より年上の殿方にとって彼女は

憧れの女性であり、その話しぶりからは

高嶺の花に対する敬愛の念まで感じ取れた



2度目にお見掛けしたのは20代の時

桜木町の地下へ続く入口に立っていらした

私の当時の自宅から1分のところだった


携帯電話のない私は

男との連絡をそこからほど近い公衆電話でしていて

10円玉を入れながら、ずっと彼女を観察していた


誰かを待っているのか

約束があるのか


そんな素振りはまるでないのに

何故かそう思ったのは

彼女の職業故ではなくて


その表情が

決して悲しげではなく

どこか嬉しそうな、待ちわびているような表情に見えたからだ


美しい人だった



10円玉を詰め込んで

男を待っている私も

もしかしたら彼女と何か同じものを共有しているのかも


そう思ったら、少し嬉しく


電話ボックスを出た時に

目の合った彼女に

軽く会釈した




伝説の数々は尾ひれを付けて飛び交っていたから

どれが本当の彼女かなんてことは、私には分からない


戦後アメリカ兵相手の娼婦になった彼女は

その美しさで売れっ子になり

相当な高値が付いたと


その後、その話を聞き付けた日本人が

彼女を買おうとしても

粗暴な態度の男性には口も利かなかったプライド高い人だということ


その振る舞いや言葉遣いから

相当高貴な出自の人ではないかと


実は唯一忘れられない

アメリカの将校さんを今も待っているとか




まさに

横浜の生ける伝説は


その夜

図々しくも突然会釈した私に


深々と

会釈を返してくれた


丸い背をさらに丸め



そのお姿は


頼りなげなひとりの可愛らしいおばあさんにも見えたし


お顔を上げた口元は凜と引き締まり

世の中を生き抜く覚悟を決めた

逞しいお姉さんにも見えた



そのお声も拝聴したかったが

こんな深夜の桜木町で

女が声を掛けるなんて野暮なこと


私には出来なかった


お仕事の邪魔をしてはならない





私はその後も

いわゆる、自分の体を売り物に商売をする女性をたくさん見て来たし

友人にも少なくないが


一部の世間が彼女達を馬鹿にしているのが

理解出来ない


違法、なのでしょうけれど

誰を傷付けている違法だというのでしょう?



そりゃ、

若い子がお小遣い欲しさや、家出の為に

軽くそれを選ぶのは愚かだし

止めるべきなのかも知れない


また

その裏で男達が牛耳って利益を上げるようなことは

社会的にも確かに良くない



この現代では何を言っても無駄なのでしょうけれど


戦後、生きる為にそれを始めた人達がいたことは事実で


差別や好奇の眼差しがあっても生きる為に仕方の無かった人達はいる


それは現代も同様で

福祉が色んなことを提案しても

それに漏れる人達は実際大勢いる


そして

その職業にプライドを持っている人達も



人はプライドがなくては生きられない

生かされている、のではなく

生きようと思ったら

プライドは不可欠だ


人が後ろ指を指して笑うようなことにも

プライドがあれば凜として生きることが出来る




あのメリーさんは、どうかまでは知らないが



私の知る姉さん達は

凜と生き、しかもいつも名言を私に聞かせる



「本当に良い男ってのはね、金を持ってるとか思いやりがあるとか、そういうことじゃないの。自分の夢を追うことで女に夢を見せてくれる男のことよ」


「良い女ってのはね、辛い時ほど笑ってるモンよ。もしも男が戻って来なくても、心には残ることが出来る」


「アンタさ、アンタはこんな女になっちゃダメ。世の中の男はね、一度値段の付いた女に二度と価値を見たりしないのよ」



私の生きる心構えから言えば

然程遠くないと自分では思っている




今夜観たDVDは

そんな生ける伝説の彼女と知り合いだった人々


そのインタビューと

彼女と親しくしていた人の人生


そして

現在の彼女の行方


当時の横浜の映像や

彼女の映像を見て


私もうっかり20年前に戻った




ようやく見ることの叶った彼女の素顔は

故郷の養老院で過ごす普通のお婆様だった


もう白塗りをしない

可愛らしいお顔をした

何の変哲もないお婆様だ




でも、

そのお心の中に

お強く横浜の街で生き抜いた情熱があるのだと思うと


敬意を表さずにはいられない



ブレずに貫き通したその行いは

世間の全てが理解しなくとも

私のような変わり者は

心痛む程お察しします




お元気そうで、何よりです


そのお姿を拝見出来、嬉しかった



それから数年経っている今では

どうかは知るよしもないが



あなたの凜とした美しさを

当時、目の当たりに出来たことを

幸運に思います




そのDVDに出会えて良かった