私の職場で今、二十歳の女の子が無断欠勤を続けている


職場は勿論十代から六十代まで活躍する

社員、契約社員、パート、アルバイトが入り乱れる所だ

人間関係も他に漏れず色々と、ある


私の部署で一番幅を利かせているのは

四十代のミセス達だ

彼女達は会社立ち上げ当初からいるお局様で

仕事内容も一番難しいと言われるものを任されている

だけど勤務時間は9時から2時半

つまり扶養範囲内に収まる都合の良い時間帯だ


対してそうではない私達は8時から17時

仕事が押せば18時、19時なんてことも日常茶飯事だ


遅れて来て途中で帰るのに関わらず威厳が強いのは

花形と言われる難しい仕事をこなしているからだ


そんな中、残業も快く受け入れ

休日も返上して出勤したりする二十歳の子は部署のサブリーダーに選ばれて

皆に指示をする立場になった


それがどうにもミセス達には気に食わないらしい


誰がどこに就くかという「配置」を決めるのは彼女の役目なのだけれど

それを毎朝取り上げては文句を言っている

分かっている筈なのに「誰がこれ、決めたの?」という具合に

その度に彼女が胃を傷めて、切ない顔をしていたのは知っていた

他にも何か言われたのか私は知らないが何かがあったのだと思う

私はフォローをしていたつもりだったが

恐らく彼女のまだ拙い心にはこちらが思うより深く、傷が付いていたのだろう


自分の娘のような子の言う事に何故攻撃的な言葉を発するのか

それがおばさんというものなのか


派遣社員はおかしなことを言いだしたり、自分の都合を押し付けてきたり

定時になれば蜘蛛の子を散らすように人が消え

思うように仕事が捗らなかったり

責任者としての若い心には色んな憤りや不満があったのだと思う


ある時突然ふらふらと会社から出て行き

lineに一言「もう我慢できないさようなら」と書き込んだ


ミセス達は勿論ブチ切れだ

「勝手なことを」「我儘だ」と彼女を責める

他の人達も

「若い子はこれだから」「どうしようもないな」なんて口にする



おかしいね



私が感じるのは後悔でしか、ない

何でもっと早く彼女の気持ちに寄り添ってあげられなかったのか

薄々感じてはいたのに、何で守ってやれなかったのか

今の子はドライだから、と

どこかで大丈夫だろうと

私はこんだけ若い人達とメールのやり取りをしているのに

それでもリミットを気付けない

そんなに鈍感だったのかと

何の為の同僚だと



だけど

こうも思う

若い時の職場の苛立ちは

自分の成長を見る機会

本気で嫌なら辞めたら良いし

また別の職場なら自分を発揮出来るかも知れない


そうやって彼女はまだ模索途中の輝かしい時期にいる


選べよ

良く考えて

ちゃんと、選べ


慰めメールもしたかったがそれはあえてしなかった

もう、二十歳だもの

自分のことは自分で決めて良い

私の子育てと同じだ


物分りの悪いお局様達は

何でそうなってしまったのだろう?


男も女も、歳を取ると口うるさく嫌味たらしく

過去の自分と比較して

自慢話ばかりしたがる




きっとこれを読んでいても


ひとごとに感じている人が


その当事者であろうと、思う