はあ、、涙が止まらなかった。

 

 

 

 

「障害とは一体何でしょうか?

労働の重要な担い手であり、経営を支えている。

(中略)

障害のある人にとって幸福な社会とは、手厚い国家の福祉とは、

安定して衣食住の提供だと思っていた。

そればかりが全てではない。

労働と、その対価として与えられる賃金と日々の働く幸せ。」

 

「慈善事業ではなく業績で示す」

 

「人の幸せは、働くことによって手に入れることができる。

それはどんな人でも少しの差異はない」

 

「ビジョン。日本一強く、優しい会社を目指す。

人と環境にやさしい商品を作り続ける」

 

本文の中にあった言葉をメモした。

 

自分が社会にでて、あるいは学生時代のアルバイトを通して働くようになってから、働く幸せを実感する。

働くことは、大変、というイメージがあったけど、全く違って働く幸せがある。

本文の中でも、

人間の究極の幸せは、人に愛されること、人に褒められること、人の役に立つこと、人が必要とされること

の4つあり、働くことによって愛以外の3つの幸せは得られるのだ、とあった。

 

子育てを通しても、それは実感としてあり

子供が満たされるのは、何かスポーツや成績などでわかりやすく良い結果を残して褒められたことよりも

誰かを助けたり優しくしたりして人の役にたち、褒められたり、手を貸してと頼られたりすること。

その方が、自己肯定感が高まるように思う。

 

働いている方々のご家族からも具体的な話がある。

お母さまの話、ご兄弟の話。

障害を持つ方の兄弟姉妹は「きょうだい児」と呼ばれて、何か特別な感情がその中に入っているのではないかと

勘ぐってしまうが、決して特別なことはない。

兄弟姉妹はかわいそうでも不幸でもないし

一緒に遊ぶし、過ごすし、困っていたら手伝ったり助けたり、学びあったりする。

 

実際のご家族の話からの一次情報や丁寧なインタビューにどれだけの価値があるかと思う。

また、この方だから、ご家族も話ができた部分もあるだろうな。

本当に、世間に届いてほしい。

 

知的障害のある方が、働く幸せを実現するきっかけは、

こちらの会社の近くにあった学園長が、何度も会社を訪れ、短期間でもいいから

働くことを経験させてあげたいと粘り強く交渉されたそうだ。

学校を卒業した女の子二人を2週間働かせると、周りの女性たちが

二人なら何とかなる、面倒見るから雇ってほしい、と直談判したそうだ。(涙・・・)

 

そのほか、見学に訪れた少年の手紙。共感脳に涙。

 

知的障害のある方が、定年退職し、そのあとに兄弟姉妹の家族みんなで

暮らしている姿。

そのお嫁さんの気持ちまで、赤裸々に描かれている。

 

ご両親もご兄弟も、一言も障害を口にしなかった、ということは受け入れるという決意だったということ。

気配りや心遣い、その障害は不運などではなく、それすら人生であり日々の生活なのだ、と

不安に負けたら前へ進めない。

これからも自分は前に進んでいける思えた。

 

 

 

 

ノンフィクションライター、小松成美さんの著書は

スポーツ選手や芸能人などへのインタビューで有名だけど

今回は、川崎にある企業の話。

何度も新聞やニュースなどで目や耳にしたことのある話だった。

だけど、この丁寧なインタビューは本当に必読。

丁寧な取材と、相手との信頼関係をしっかり築いておられる。

 

障害があっても、家族に障害がある、と殊更いう必要もないし

あってもなくても、みんなが働ける皆働社会の実現、自分もそれに向けていこうと、気持ち新たにできた本でもありました。