ハイヒールはもういらない! | 天使のエッセイ

ハイヒールはもういらない!

 

癌が見つかる少し前、

すでに体調はかなり悪かったんだけど、

 

その時にふと気づいたことがあったんだ。

 

 

 

ニューヨークでミュージシャンの夫と暮らし、

ダンスやアートを楽しむ日本人女性といえば、

 

なんかすごくカッコいい感じがするけど、

 

 

「それって本当にわたしなの???」

 

 

 

その疑問が頭をよぎったとたん、

 

わたしは今の自分自身に

恐ろしくなるほどの違和感を感じたんだ。

 

 

 

異国の生活は日常生活も仕事も交友関係も

何もかもが自分の国で生きるより何倍も大変なのに、

 

無理して、無理して、無理して、

これでいいんだと自分に言い聞かせ、

 

何かが煮え切らないまま25年以上もの年月を

アメリカで暮らしてきてしまったけど、

 

今になって、突然ふと、

 

 

「ひょえええーーーー!!!」

 

 

…って感じになって、

 

 

「わたし、こんなところでアメリカ人のふりして、

一体なにやってるんだろう?!」

 

・・・って思えてきたの。

 

 

 

わたしはそもそも

 

ちびで、シャイで、おとなしく、

ちょっと勉強ができること以外にはとりたててとりえもなく、

 

でも、かといって悪目立ちするようなタイプでもない

 

ごく普通の日本人の女の子だったんだ。

 

 

両親も祖父母もむしろわたしが内気すぎることを心配してた。

 

 

 

ところが、いつごろからかな?

 

 

自分は普通とは違う生き方をしなくてはいけないと思い始めたのは?

 

 

自分は賢く、美しく、華やかで、ドラマチックな

普通とは違う生き方、あり方をしなければいけないという考えに

 

わたしは長い年月の間、縛り付けられ続けてきた。

 

 

その呪縛に縛り付けられた結果、今のわたしになったわけだけど、

 

わたし、本当にこうなりたかったのか?

 

 

 

そもそもわたしが人と違う人生を生きなくてはと思ったのは

 

自分に自信がなかったから。

 

 

そうならなければ、自分のようなつまらない人間は

誰の目にも映らない透明人間になるだけだって思っていた。

 

 

でもね、多分これは本当に自分が望む姿じゃなかった。

 

 

 

わたしは多分本当はすごく普通な感じがよかったんだよ。

 

 

同級生と結婚して、

子供産んで、

子供たちにバレエ教えて、

 

旦那さんとは仲良しの可愛い奥さん+ママ・・・とかね。

 

 

そっちの方がずっと自分にしっくりくるし、楽しそうだし。

 

 

 

・・・それなのになぜかこうなちゃった。

 

 

確かに今の自分自身には今でも違和感いっぱいだし、

無理してるし、あんまり楽しくないし、

 

なのに自分にはこれしかなかったんだって、ずっと思い込んでいた。

 

 

 

自分には日本は無理って思い込んでいたけれど、

ふと日本へ帰って日本で暮らしてる自分を想像したら

 

結構悪くないって思えた。

 

 

そして日本へ帰る妄想を重ねていくうちに、

本当に日本へ帰りたくてたまらなくなった。

 

 

渡米して25年+日本へ帰りたいと思ったのは初めて。

 

 

 

英語の先生とか、通訳とか、自分の力を活かせる仕事して、

ダンスの先生してる友達にダンス習いに行って、

 

ルックスとか地位とかお金とかはどうでもいいから、

優しい日本人の旦那さんとほのぼのと楽しく暮らすとか、

 

すごく萌えるのよ。💗

 

 

もちろん、現実と妄想は違うし、

 

みんなそういう普通の幸せを手に入れるために長年、

日々の努力をかさねてきているわけで、

 

実際わたしが元気になって日本へ帰ったとしても、

すべてが自分の妄想通りにうまく行くはずはないのはわかってるけど、

 

憧れてしまうんだわ。💗

 

 

 

多分わたしがカッコいい女性でいることに妙にこだわったのは

親に認めてほしかったから。

 

特にわたしが大好きな父はいつもわたしに凛とした完璧さを求めたから。

 

未だに!

 

 

・・・でももう疲れた。

 

 

カッコよくなくても、穏やかに、平和に日々を楽しみ、、

 

若作りなんかしないで年相応に年を取り、

変化を受け入れ、それさえも味わい、楽しみ、

 

もがかずナチュラルに、軽やかに生きられたらどんなにいいか!

 

 

 

皮肉なことにというか、面白いことにというか、

 

癌になったことが原因でやっと

自分の現実離れしたイメージをキープすることへの呪縛が解けた。

 

 

もしも神がわたしにもう一度生きるチャンスをくれたなら、

 

わたしはアメリカにいようが、日本にいようが、

背伸びせずナチュラルなカッコよくなくても優しいわたしとして生きていこう。

 

 

ハイヒールはもういらない!👠