お兄ちゃん先生 | 天使のエッセイ

お兄ちゃん先生

 

いくつか前の記事に

 

小学生の時に大好きだった

自由人っぽい音楽の先生の話を書いたときに

 

「そういえばあの先生もいい先生だったなあ」って

思い出したもう一人の先生がいたんだ。

 

 

でもまあ、あんまりうちわの思い出話ばかりでもって思って

その先生の話はとばそうかと思ったのだけど、

 

思い出話はやはり同窓生などにはとても喜ばれる。

 

 

なので、今日はその先生の話を書こうと思う。

 

 

 

その先生、S先生は中学の体育の先生だった。

 

とはいえ、S先生は正規の先生ではなくて、

大学卒業したばかりの非常勤講師のお兄ちゃん先生だった。

 

 

爽やかで、ハンサムで、優しいS先生は女の子たちの憧れの的。

 

 

男の先生なので女子のクラスを教えることは通常なかったけれど、

 

一度女子の保健のクラスの代行をされた時は、

積極的な女の子たちはみんな前の方の席をじんどっていた。

 

 

 

わたしはおませさんのようでいて、

 

まだ男の子を好きになったりとか

そういう気持ちはわかない子供っぽい子だった。

 

 

若い男の先生はわたしも大好きだったけど

 

どちらかというと、遊んでもらいたい感覚。

 

 

 

恋するよりは、

早朝、建設中の新しい中学校に忍び込んで

中を探察しにいくような、

 

バカなことをするほうが好きだった。

 

 

 

そんなわたしは同じようなバカ友達3人で、

ある早朝、暗いうちから家を飛び出して遊びに行った。

 

 

布団の中には自分の代わりに

大きなピンクパンサーのぬいぐるみを寝かせて

 

こっそり家を出た。

 

 

 

盛り場へ行くとかではなくて、

行くのはいつも遊ぶ公園など。

 

 

誰もいない真っ暗な公園は

時間が経つとともに少しずつ明るくなっていく。

 

いつも行くのと同じ公園のはずなのに

まるで違う場所にいるみたいだった。

 

 

・・・とはいえ、そんなことをしていてもすぐに飽きてきたわたしたち

 

中の一人が「S先生の家に遊びに行こう!」といいだした。

 

 

S先生は学校の近くの団地に住んでいて、

一人の子が先生の住所を覚えていた。

 

 

 

朝、6時になるかならないかの時間に

先生の家の呼鈴を鳴らす3人の中学生。

 

 

先生はもちろんまだ寝ていたようで、

寝ぼけ顔でパジャマのまま出てきた。

 

 

普通なら「こんな時間になにしてるんだ!」と、

怒鳴られるシチュエーション。

 

 

でもS先生は文句も言わずに私たちを家に入れてくれて、

相手をしてくれた。

 

 

少しして、

「先生、おなかすいた」というわたし。

 

「ご飯しかないけど」と、

S先生はわたしたちにおにぎりをつくってくれた。

 

 

S先生はわたしたちが帰るというまで家にいさせてくれて、

 

もちろんその時のことを、決してほかの先生に言ったりはしなかった。

 

そんな馬鹿なことをしたわたしたちに説教したりすることもなかった。

 

 

その時のことを思い出すたび、

わたしはS先生はなんていい人だったのだろうと思う。

 

 

全然楽しくなく、

あまり意味もなく時間ばかりが過ぎていってたように感じていた中高生時代も

 

実は意外と愛に満たされていたのかもしれないよね。

 

 

思い出して胸が熱くなるような思い出に感謝だね💖