雪が白く降りしきる
雪が降る 雪が降る
雪が白く降りしきる
道という道を白く埋(うず)め
家家の屋根を白く包(つつ)む
合唱曲「樹氷の街」より
本日 わが町は 雪が降っております
雪が降ると 思い出す記憶、
悲しい記憶なのだけれど
書いておこうと思う
大きいあんちゃんが
命がけで
弟妹を守ろうとしてくれたあの日のことを…
私たちの住んでいた家は
豪雪地帯のど田舎にあり
冬の期間は 雪に閉ざされるような
そんな場所でした
大雪が降ると
父は会社から帰宅することができず
町内の公民館に避難することが多かった
その日は朝からの大雪で
町は完全に閉ざされ
学校は 昼から休校になった
私(たかみん)と
小さいあんちゃんは 小学生、
大きいあんちゃんは高校生だったと思う
その頃母は午後からのパートに出ていて
母の帰宅は18:00過ぎだった
大雪の中を 徒歩で2時間かけて
一番小さな私が最初に帰宅し
最初に目にしたのは
雪に埋もれかけた我が家だった
くたくたの体で 1時間ほど雪かきをしていたら
塾を終えた小さいあんちゃんが
やっと帰宅してきた
もちろん彼もクタクタだった
そして問題だったのは
私たち3人兄弟には
自宅の鍵が与えられていなかったことだ
自宅の横にはガレージがあってその中に鍵が隠してあり
子供達は帰宅すると
その隠し場所から鍵を取り出して家に入ることになっていた
だがそのガレージは
大きくて重い
鉄のシャッターで閉じられており
満身の力を込めて
ガラガラと大きな音をたてながら
こじ開けないと
そのシャッターは開かなかった
その日の大雪は
ガレージを半分まで 埋め尽くし
鍵を取り出すことはできなかった
雪国の建築物にはよくあるのだが
我が家には玄関に
1畳分ほどの「風徐室」があり
自宅の鍵が手に入らずに
凍えたままなすすべもない
私と小さいあんちゃんは
その風徐室の中で
からだを寄せ合い
冷えきった体で
寒さと
襲いかかる雪の恐怖と闘っていた
長いので続きます…