長兄がガンらしい。義姉はすぐにでも戻ってくるだろうと、知らせてはくれなかった。
軽い検査入院のつもりだったようだが、正月も病院で過ごさねばならないようだ。
 鳥取と米子。特急で1時間それからバスか汽車で30分。自家用車なら2時間半。
東京の人は通勤距離というだろうが、なかなか帰省もままならぬ。
何かの用事でもないと帰らない。88を過ぎた母を看てもらっているのに、何と薄情な私だろうか。
 母は特別養老院で比較的しゃんとしている。年寄りの癖で同じことを何回、何回も繰り返すが、頭はまだボケていない。
長兄はまだ68歳で、4人に一人はガンで死ぬとはいえまだその年ではない。
 義姉の心はいかばかりか。思うとつらい。自身も血圧も高く、そして膝も痛がっている。私は自分のことばかりしか視野になくそこまで思いやることができなかった。
 なんとも情けない限りではあるが、今の状態では致し方ない。やはり、健康で何でも食べられるということが、一番の幸せかも。