リハビリ室に入ると、まず背中を器具で10分程温める。

20センチ位離した所から
照らす方法だ。

その後先生が、痛みのある部分に、ピッと鳴る器具をあてて行く。


全く痛みもなく、振動もない。
(素肌ではなく、Tシャツの上からだった…記憶)


スポーツ選手が治療に使っている高価な機械だそうだ。


大きな窓から春の木漏れ日が射し込む。


なぜかいつも80年代~90年代初期のヒット曲が流れている。

全部知っている懐かしい曲ばかり。


杏里の『オリビアを聴きながら』…ユーミン…サザン…尾崎亜美…聖子ちゃんの『赤いスイートピー』
亡くなった伝説のミュージシャン“尾崎 豊”の
『15の夜』『I LOVE YOU』が流れた時は胸が熱くなった。

…特にバラードのゆったりとした曲に癒されていく。


先生は2人、イケメンで背が高い
それでいて、物腰が低く明るく元気でいつも笑顔いっぱいの30代位の先生。

この先生がリハビリ室の責任者の先生。

ちょっと咳をするといつも『喉飴』を差し出してくれる。


もう1人は、体育会系のハキハキした20代の先生…
2人とも、いつ行っても
“イキイキ”してる。キラキラ


リハビリ室は、毎日爽やかで心地良かった。キラキラ


待ち時間は診察室よりかかったが、置いてある雑誌などを読んで過ごす。


リハビリ室の隣の入院病室でいつも、開けっぱなしの6人部屋から

『食べ物!!食べ物!!』

とひっきりなしに叫んでいる痴呆のお爺さんの声が
響いていたが、
一向に気にならなかった。

週刊誌などは、何年ぶりに手にしただろう。


三浦友和さんと百恵ちゃんの息子が、ミュージシャンとしてメジャーデビューした記事…

皇室の雅子様と愛子様の事…

AkBと秋元氏の関係…



とにかく、世間との関係に距離を置いて暮らしていた私にとって 何もかも、新鮮に映った。


どれだけ社会の暗闇に閉じ込もって生きていたのだろう…


1春から初夏にかけて風薫る空気に触れ、穏やかな
おひさまの日射しにあたる事…


2短い距離だけど欠かさず散歩する事…


3そして、2人のリハビリの先生と楽しく会話し懐かしい曲に浸る事…

この3つの事を3ヶ月続けて行くうちに


まるで氷が溶けて行く様に少しずつ闇の世界から
脱出する事ができたような気がした。