————— side Keita.T
 
 
 
毎年来る度に周りからお祝いされたりしてきて嬉しかったけど
 
 
それ以上に嬉しいことがあるんだって改めて感じたよ・・・
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
いつものように仕事で楽屋の中に入ると、涼平君と龍一君がいた。
 
 
 
 
慶「おはよう。」
 
涼「はよ。」
 
龍「おはよ、慶太。」
 
 
 
 
挨拶を交わして椅子に座ると、向かい側に座ってパソコンを弄ってる龍一君が見える。
 
ソファに座ってる涼平君は携帯を弄ってるから何をしてるのかは分からない。
 
 
 
きっと自分の趣味のをしてるんだろう
 
 
 
そう思った僕は聞くのを止めて仕事の内容を見始めた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
仕事を終えて楽屋に戻ろうとドアノブに手をかけたのと同時に聞こえた声。
 
 
 
 
『…——で…——だから…』
 
『じゃぁ…———を…』
 
 
 
 
微かに聞こえる声で龍一君と涼平君だと分かったけど、何を話してるかは全く分からない。
 
 
 
 
『…——で…』
 
『りょーかい。』
 
 
 
 
そう聞こえてから静かになったから楽屋のドアを開けた。
 
それと同時に涼平君が帰るところで目の前にいた。
 
 
 
 
涼「お、慶太お疲れ。」
 
慶「お疲れ、ダンスの練習?」
 
涼「おぅ。」
 
 
 
 
じゃぁな、と言いながら涼平君は楽屋を出て走り去っていった。
 
 
 
 
慶「…そんなに急ぐことなのかな…?」
 
 
 
 
急に走り去ったから不思議に思っていたら龍一君が近付いて来た。
 
 
 
 
龍「先にやりたいことがあるんだよ、涼平には。」
 
 
 
 
お疲れ、と一言だけ言われて龍一君も歩き出した途端、いきなり止まって振り向いた。
 
 
 
 
龍「慶太、このあと暇?」
 
慶「え?うん・・・。」
 
 
 
 
仕事終わったの昼間だし。
 
 
そう思っていたら、龍一君がニカッと笑って
 
 
 
 
龍「今日の夜6時。代々木公園に来いよ。」
 
 
 
 
そう言われたまま龍一君は歩き去ってしまった。
 
 
 
夜6時に代々木公園で・・・?
 
 
 
 
慶「なんで夜に…?」
 
 
 
 
昼間なら分かるけどなんで夜にやるのかな
 
そう思いながら僕も帰る支度をして楽屋を出た。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
家に戻って服を着替えて一休みしてから17時には家を出た。
 
 
 
 
慶「…寒っ…」
 
 
 
 
白く染まる息と外側から伝わる冷たさに、もう12月で冬なんだなって実感した。
 
 
コートのポケットに手を入れながら龍一君に言われた代々木公園へ向かった。
 
 
 
 
 
 
 
ゆっくり歩きながら進めば代々木公園の入口が見えてきた。
 
 
夜6時になる前だと思いながら代々木公園に入ると2つの人影が見えた。
 
 
 
よく見ると、人影は龍一君と涼平君だと分かったけど
 
何故か龍一君はギターを抱えていた。
 
 
 
不思議に思いながら龍一君と涼平君の近くに歩み寄った。
 
 
 
 
龍「お、来たな。」
 
慶「そりゃぁメンバーに言われたら行かずにはいかないでしょ。」
 
涼「それもそうだな。」
 
 
 
 
龍一君に言われて一言答えてから涼平君に言われると
 
 
 
 
龍「慶太、そこで座っててよ。」
 
 
 
 
急に言われて指差した方向を見ると、大きな木の下にベンチが1つあった。
 
 
訳も分からないままベンチに座ると、龍一君はその場に座り込んでギターを抱え直した。
 
 
 
 
涼「慶太、そのまま聞いててよ。」
 
慶「え…?」
 
 
 
 
聞いててって何を?
 
 
 
そう聞こうとしたのを遮るように響き出したギターの音色。
 
 
 
 
————…~♪~♪~♪
 
 
 
 
龍一君が奏でてるギターの音色に乗るように、今度は涼平君が歌い出した。
 
 
 
 
涼「~♪~♪」
 
 
 
 
公園の中に響き渡る龍一君のギターの音色と涼平君の歌声。
 
 
時々、龍一君がコーラスに入ったりしていて
 
 
 
 
龍「~♪~♪」
 
 
 
 
時には龍一君が歌って涼平君がコーラスに入って
 
 
それが何だか心地よくて、次第に笑顔になる僕がいた。
 
 
 
 
————…~♪~♪~♪…
 
 
 
 
龍一君と涼平君の歌声とギターの音色が小さくなったから、終わったことに気付いた。
 
 
 
 
慶「…凄い…」
 
龍「サンキュ。」
 
慶「でも、どうして夜だったの?」
 
涼「…慶太、今日何の日?」
 
慶「え?あ…」
 
 
 
 
涼平君に言われて携帯の時計と日付を見て気付いた。
 
 
 
 
慶「…僕の、誕生日…」
 
 
 
 
仕事で忙しかったりしていて、誕生日のことすっかり忘れてた。
 
 
 
 
涼「龍一と話したんだ。慶太の誕生日には歌でお祝いしようって。」
 
龍「いつも慶太がメインだったし、たまにはと思ったからさ。」
 
 
 
 
結構時間かけたんだぜ、と言いながら龍一君は立ち上がって僕を見てきた。
 
 
チラッと涼平君の方を見ると、涼平君もニコニコしたまま僕を見ていた。
 
 
 
 
慶「…っ…」
 
 
 
 
あまりにも嬉しくて、涙が出そうになった。
 
 
 
 
————…ガシッ
 
 
龍「うぉっ?!」
 
涼「慶太?」
 
 
 
 
感動して泣きそうになるのを隠すように龍一君と涼平君に抱き付いた。
 
 
 
 
慶「ありがと…龍一君、涼平君。」
 
 
 
 
僕がそう言えば
 
 
どういたしまして、と涼平君が僕の肩を優しく叩いて
 
龍一君は僕の頭を優しく撫でてくれた。
 
 
 
 
慶「これからも、よろしくね。」
 
涼「こちらこそ」
 
龍「よろしくな。」
 
 
 
 
一言交わせば龍一君と涼平君も一言で答えてきて
 
 
僕は更に嬉しくなって、龍一君と涼平君に更に抱き付いた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
毎年来る自分の誕生日
 
それぞれ違う形でお祝いされてきた
 
 
でも、2人からの誕生日プレゼントは最高に嬉しかった。
 
 
 
これからも龍一君と涼平君と一緒に歩いていきたい
 
 
w-inds.と一緒に
 
 
 
 
 
そして、今年も今日を過ぎれば、彼にとって大事な日がやってくる・・・
 
 
 
 
 
 
 
          END and...
 
 
 
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慶太さん、誕生日おめでとうございます!
今回は道産子が慶太に歌をプレゼントという形にしました。
いろいろなことがあったけど、慶太さんの歌声は凄く大好きです。
これからもパワーアップしたパフォーマンスを期待しています。