「なぁ、滝口・・・。今夜のコンパ、男の人数が足りないんだけど」
そう言われて滝口は 「俺はいいよ」と軽く断って サークルの面子に手を振った。
大学生活は始まったばかり。
「付き合い悪いよな」とか「地元に彼女がいるんじゃない?」と わざとらしく聞こえるように言っている彼らに ふぅっ、とため息をついてしまう。
・・・なんのために大学に来てんだよ。
親は女と遊ばせるために金を出してると知ったら泣くだろうに・・・
と生真面目な彼には 「付き合い」というのが面倒くさかった。
高校の友達は気心も知れていて たまに弾けるときはあったが 基本 みんな真面目だった。
・・・ばばりょはどうしてるかな、今夜あたり連絡とってみるか・・・
そんなことを考えながらスーパーで買い物をして アパートへと帰る。
「ただいま・・・」
玄関のドアを開けながら だれもいない空間に声をかけると うっすらと「それ」が姿を現してきた。