「・・・・そうだね・・・。「自然」が一番」
納得してくれたのか マオは「まだ手を洗ってなかったし うがいもしてなかった。大ちゃん、ハウスっっ」と 俺から慌てて離れる。
「おいおい・・・、俺は犬か」
「・・・・・どうだろう・・・」
ふふっ、と笑って マオはキッチンにも置いてある泡石けんで手を洗いだした。
「それ・・・なんて花?」
ハッピーバースデーの歌が二順した頃に俺が尋ねると マオは
「山査子なんだって」
と答えてくれた。
「山査子って赤い実のやつ?」
「そうなんだって。メイフラワーって言うんだってよ」
「五月の花・・・てそのままじゃないか」
「僕も思った」
はは・・・とふたりで笑うしあわせ。
些細なことでも マオといれば嬉しくなるし楽しくなる。
マオにとって 俺もそういう存在で有り続けたいと思っているけれど 合格点はもらえているだろうか。
「ちょっと邪魔かもしれないけど・・・」
うがいまで済ませたマオは その花瓶をキッチンのテーブルに置いた。
「それじゃ向かい合って食べても マオの顔が見れなくなるぞ」
「たまには隣で並んで食べるのもいいじゃない?」