「・・・どうした? 具合でも悪いのか?」
「・・・・・・ううん・・・」
「マオ?」
僕は 泣き顔を見られたくなくて 大ちゃんの胸に飛び込んだ。
そして しっかりと抱きしめる。
僕より広い肩幅と 高い身長。
だから 泣き顔は俯いてしまえば 大ちゃんからは見えない。
・・・大ちゃん・・・「幽霊」でもいい。僕の幻想でもいい
僕は狂ってしまっているのかな、なんて思うほど 大ちゃんがリアルだ。
温かくて ちゃんと胸が鼓動を打っているのがわかる。
「おいおい、マオ・・・」
「・・・・・・お帰り。おかえりなさい、大ちゃん」
涙があふれてしまう。
大ちゃんは ちょっと困った感じで「たった半日出かけていただけで大げさに歓迎されちゃってるよ」と笑っている。
・・・半日じゃないよ、そして もう二度と大ちゃんに会うことはできないと思ってたんだ。
どうして大ちゃんがここにいるのかなんていまはどうでもいい。
もう離したくない。
離れたくない。
二度と離れない。