約三十の嘘
これはすばらしい。新しい領域を開拓した気分です。このシナリオはもともと舞台用だったものを映画の脚本に書き直したものらしいのですが、これがなかなかいい出来で、すっかり魅了されてしまいました。
まず、ストーリーが面白い。
映画のシーンの九割が電車の中という、退屈しそうなシチュエーションでありながら、それを忘れさせるような、流れるような展開。ギャグのキレもいい。
そして役者の演技がすばらしい。
出演は椎名桔平、中谷美紀、妻夫木聡、田辺誠一、八嶋智人、伴杏里。この七人の演技合戦が見もの。みんな楽しそうに演じてました。
それから音楽がカッコいい。
音楽担当はクレイジーケンバンド。この映画で初めて耳にしたんですが、彼らの音楽、いいですね。さりげなくてせつなくて、大人の風格があって、インチキくさい。30代後半の俺は、すっかりハマってしまいました。
主題歌の「あぶく」は、ゆったりしたノリの名曲です。
映画って、いろいろな要素が複雑に絡み合って構成されているものなんだけど、それらが見事に調和されていると、気持ちいいものなんです。こういういい作品に出会うと、映画見続けてきてよかったなって思うんですよね。今年は邦画が面白いかな?